誠意なんかもろいもの,誠意が安さに勝てない規制のない自由競争社会
8/7の日経新聞夕刊に大変興味深いコラムがありました.
松井証券の松井道夫元社長の『私のリーダー論』に
日本郵船在職時の経験と重なる証券時代の経験,
それは自由化に基づく規制緩和,これで世界が一変すると言うことです.
安ければ誠意なんか吹っ飛ぶ!
自由化前の海上運賃は実質カルテル状態,
当時の顧客が求めるものは誠意だったそうです.
ピカピカのコンテナを用意したそうです.
それが自由化されたとたん,運賃引き下げ一色になり,
顧客の要求もまったく異次元になったそうです.
『錆びていようが,汚かろうが,雨漏りしなければよい!』
手数料自由化後の証券業界も似ており,
手数料が引き下げられない規制時は顧客に対しては
誠意しか示せなかったのが自由化で一変,
安い手数料のみの競争環境に変わりました.
ユーザー側からすると当たり前ですが,
売り手側からすると誠意を尽くせばなんとかなる,
古くからの付き合いだからそう簡単には切られないだろうと,
自分の都合の良い考え方を優先して,
顧客もそうするだろうと思ってしまいます.
ところが世の中はそうなっていない,
基本は誠意や古くからの付き合いよりも安い方に流れます.
だから古くからの商スタイルを変えられなかった老舗企業や団体は
破綻して無くなってしまったと言うことです.
このお話し,とても腹落ちしますし,全くその通りだと思います.
顧客は必ずと言っていいほど安い方に流れます.
誠意で高いものを買うことは無いとは言えないものの,
それが続くとは言えないのが現実ではないでしょうか?
残念ながら,経済学の基本理念,自由競争下での安さ優先は,
必ずしもすべてがそうではないにしろ,
かなりの部分がそうであろうことを松井元社長のコラムで再認識,
喉元に現実を突き付けられた印象です(汗).