大学4年生から加入している 『応用物理学会』 は
足掛け33年間,年会費を払い続けている(だけ?)
自身にとっては思い出深いコミュニティーです.
→ 自身にとって実体のない学会は,積る会費の問題もあるので早々に退会
こういった活動は原則個人もちなので,今でも年会費は3万円以上,
でも,応物学会は寄付だと思って退会しないことにしています.
母校への寄付を含めると年間5万円以上の出費です.
毎月送られてくる会報誌 『応用物理』 の8月号に
懐かしい名前を見つけました.
研究会だよりにかつて同じ会社にいた同僚が
産学共同研究の紹介
と題して,投稿しており,なかなか彼女らしい
核心を突いた内容に 『さすがだなぁ~』 と思ったので
紹介したいと思います.
彼女は,今の会社が合併で設立された2004年,
その時の合併先にいた切れ者で,有名人でもありました.
小生が山梨に転勤になった際に
『こんなところでご一緒するとは!』
そんな言葉を交わしたその思い出がとても鮮明に残っていますが,
→ おそらく,彼女は覚えていないと思います?
いつの間にか会社は退職されて次の道に歩んでいかれました.
超親しいというほどではないのですが,自身の最初の国際会議での発表の際
緊張しまくっていた小生に対して,超有名人の彼女には余裕が感じられ,
凄い人は凄いんだなぁ~,と驚きが鮮明に記憶に残っています.
たぶん,年齢は小生とほぼ同じくらいだと思います.
我々の業界(応用物理のフィールド)は女性が極めて少なく,
我々世代の女性研究者三羽烏と言われるほどの有名人のひとり,
学会や研究会ではいつも居並ぶ先輩たちに堂々とコメントする姿に,
尊敬の念を掲げておりました.俺にはできない....
そんな彼女が,最近の応用物理の現状を的確に捉え,
数々の指摘をしている短いコラムに,そうだよなぁ~
と共感した次第です.彼女,委員会の運営委員長やってるようです!
その積極さは今も健在のようです!
応物学会に足を運ばなくなって10年以上,
最期の参加は知り合いの先生にあるセッションの座長を頼まれた2003年
自身が発表は2001年が最後だったか,
全くかかわりがなくなったと言える昨今です.
そんな自身の無知さもあって,最近の応物学会の状況を
彼女は以下のように紹介してくれていました.
講演会の発表は大学など公的機関によるものが
多数を占めるようになったが,
これらの多くが産業の志向性から乖離するものとなった結果,
企業からの講演会参加者がさらに減少するという
悪循環に陥っている.
応用物理学関連論文が2000年代初頭より
連続して減少しているが,詳しく見てみると,
大企業の論文数が減り,次いで物理学関連の
博士数が減り,それを追って物理学全体の論文数が
減少していることが示された.
https://annex.jsap.or.jp/IAP/symposium/2016s_symposium_report.html
その原因は,
1.大学のインパクトある短期的成果を偏重する傾向
→ 基礎研究に対する見方に,大学と企業での逆転現象がある!
企業の方が基礎研究に力を入れている現状だそうです?
この指摘には少し驚きました.
日本人ノーベル賞受賞者のコメントそのもの,
大学はそれほどまでに基礎を重視しなくなっているのか...
大学のポスドク制度で任期制が多くなった現状大学雇用の
大きな問題なのかもしれません? 職探しの短期論文作りが
大学本来のミッションから乖離しているのかもしれません?
2.産業界のパラダイムシフト
→ 産業が技術指導ではなく,コンセプト・アイディア主導になっている!
アップルがファブレスであれだけ大きく,業界の確たる位置を占めたのも
まさにこのパラダイムシフトで,小生はこの業界でまだ働いているので
それは強く感じています.技術優先ではなくなっていることは確か!
先日(6/21)聴講した,丸の内セミナーでの延岡健太郎教授の
デザインエンジニアリングとアート思考といった発想はまさにこれです.
https://blogs.yahoo.co.jp/bwbtx230/archive/2017/6/25
3.産と学の間の信頼関係の構築
→ 欧米に比較すると,お互いの歩み寄りはまだまだということです.
今だにお互いに踏み込めない一線があるようです.
そもそも,大学の先生と話をする必要性を
技術者があまり感じなくなったことを強く感じています.
技術者を遠い昔に卒業した身の自身には
現状の厳しい応用物理の立ち位置を知るに至り,
何か協力できることがあればと考えますが,
たぶん何もできないと思います.
それを有言実行されている昔の知人に対して,
強い技術者魂を感じて,昔の古き良き時代を思い起こしました.
やりたいことができる居場所を探して辞めていった
多くの方々は,今も技術者魂を持ち続けているんだろうか...?
そんなことを ふと, 感じました.