職場におけるメンタルへの配慮 | 都の西北 / 山梨 / 甲府 / 愛宕山からチトフナ(世田谷)に!

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2004年12月に山梨県に移住,15年を過ごした後に
2020年3月に世田谷に引っ越しました!

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職場におけるメンタルへの配慮

今日(11/22)は産業カウンセラー育成講座の一環で
毎年この時期に開催されている 『第27回実践研究発表会』に
代々木まで行ってきました.

演題はそれぞれすべてが興味深い内容でした.
カウンセリングに関わる種々の技法を高めた研究や
ブログでのコンフリクトな問題に感情の変容から考察を加えた研究
驚いたのは区の家庭相談センター(配偶者暴力相談支援センター)の
方からの赤裸々に語られた家庭内暴力(DV)の話,
あまりにもリアルなので驚きつつ,こんなに苦労している家族が
世の中にたくさんあることを再認識しました.
 → 区内で毎月120件の相談があるそうです.
   その半分くらいが家庭内暴力の問題だそうです.

本日の発表は4件,そのあとに興味のある登壇者を聴講者が選んで
2時間のディスカッションをするので,
朝10時から5時までの結構長丁場です.
今日の講演は4件とも素晴らしい報告内容でしたが,
特に興味深かった講演が 『私は困っていない』 でした.

 クライアントが 『困っていない』 というケースは
 総じて対処が難しい場合が多いのが一般的です.

この話は職場に発生した 『アスペルガー症候群』 の女性を
元上司であるカウンセラーが偶然にフォローして
最終的に過呼吸の症状を治療した事例を紹介したものです.
クライアント自身の症例認知と周囲のフォローによって
治療がうまくいったケースであり,内容の詳細全部は書けませんが,
成功事例としては実にレアなケースかもしれません.

このような症例に近い事例は
小生も経験したことがあったのでちょっと驚きました.

 かつてのあの問題は 発達障害によるものだったのか....

今の自分であればまだしも,当時の知識のない昔の自身には
これを発達障害の一つであるアスペルガー症候群と認知して
適切な処置ができたかというと,それは難しかったように思います.

アスペルガー症候群: 知的障害を伴わない広汎性発達障害の一種
           相互的な社会関係とコミュニケーションが取れない
           自閉症の一種とも考えられています.

2時間のディスカッションで議論になったことは,

・本人に病名を告知した方が良いのか?
・症例を部署内関係者に告知するか否か?
・どのようにしてそう云った症例を見極めるのか?

ユニバーサルな答えは無く,ケースバイケースで対応すべきと考えますが,
ディスカッションの流れでは,告知することで本人の自覚が生まれ,
これを知った周囲がクライアントをフォローすることで
クライアントの居心地の悪さが無くなることで
(これを『窮屈感』の排除と表現していました)
治療がうまくいくケースがあるということです.
周知することの効用がこれほど明確にあることに驚きました.

こういった障害への対処は,個人のプライベートな情報をどのように扱うか,
大変センシティブな対応を必要とします.
オペレーションを間違えるとクライアントを傷つけてしまいます.
場合によってはとんでもない事態を招くこともあり得るわけです.

従って,クライアントに症例を告知することは勇気がいることであり,
これを職場の仲間(上司,管理職)で情報共有することは更に怖い話です.
ただ,恐れていてばかりではだめで,本人の承諾があれば
こういった治療方法も有効であるということです.

この他に,職場のメンタルヘルス全般に関しても議論ができ
ウツに始まるメンタルヘルスの問題がもはやどこの会社にもある現状と
その対処に関して,人事部の方々や役所の関連業務に関わる
専門家と議論できたことは実に有意義でした.

ただ,メンタルヘルスに関しては治療よりも
発生させない環境を作ることが肝要です.
とは言え,これが発達障害の問題をも含むのであれば
必ずしも予防することで対応できないと言えます.

如何に職場を健康状態で保つか,メンタル不全者を出さない,
これらは切実な課題であるものの,対応が簡単ではないことを
教えていただいた大変有意義な1日でした.
実践者の報告事例は理屈づめではない現場の声であることから
本当に勉強になります!

来年も参加予定です!