年商2兆円の三洋電機でも消えていく昨今 | 都の西北 / 山梨 / 甲府 / 愛宕山からチトフナ(世田谷)に!

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2004年12月に山梨県に移住,15年を過ごした後に
2020年3月に世田谷に引っ越しました!

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年商2兆円の三洋電機でも消えていく昨今 

 「三洋電機」事実上の消滅  60年あまりの歴史にピリオド

今日(5/18)の日経新聞朝刊,一面からです.

買収元のパナソニックが三洋電機の規模を大幅縮小,
3年を目処に2500人いる従業員を 1/10 程度に減らすとのことです.
 本社人員の1000人を配置転換,希望退職で100人規模まで削減
 基本はパナソニックとの一本化,とは言えそのパナソニックもリストラの最中

本社以外で働く人員:1500人も3年以内に 1/10 程度にするそうで,
パナソニックは何のために三洋電機を買収したのか?
三洋のリストラを身銭を切ってするためなのか,疑問は残りますね!

鳥取三洋は売却,北米のテレビ事業は分離するようで
 (小売り最大手のウォルマート向けテレビ事業が残りの大きな部分とか)
事実上,かつての年商2兆円企業であった三洋電機は消滅します.
 (一昔前,我々が就職する頃,関西では三洋電機は常に人気企業でした)

パナソニックの三洋電機買収は誤算の連続,
買収総額は8000億円にも上りましたが,
その多くがのれん代と言われ(儲かったのはゴールドマンサックス!)
回収らしい回収はほとんど出来ずじまいです.
 → 本来の目的は電池事業,それが鳴かず飛ばずの状況

 2011年 半導体事業を オン・セミコンダクター(米国)に売却
      小型モーター事業を日本電産に売却
 2012年 白物家電をハイアール(中国)に売却
      デジタルカメラ事業を当社ファンドに売却

ここ2年で旧三洋電機の事業は切り売りされてしまい
東南アジアや欧州ではブランド価値が高かったはずの家電事業すら,
すでに見る影が無くなってしまいましたね.

 先日(2013/01),ベトナムに行ったとき
 三洋のブランドが根強く残っていることに驚き,
 何故パナソニックはこのブランドを生かした戦略を展開しなかったのか
 とても疑問に感じました.

今回の三洋電機関係のリストラは
三洋のブランド価値低下に歯止めがかからないため....
とありますが,本当でしょうか? そのブランド価値は何故潰れたのでしょうか?
今回のリストラは,パナソニックの事業戦略の失態から始まっているように
思えてなりません.そもそも,三洋電機がパナソニックに買収されなければ
部分的には生き残れていたように思えます.
三洋電機の元社員からすると,納得がいかない腹の内だと思いますね!

三洋の買収で最も狙いがはずれた点,リチウムイオン電池の生産計画
特に日産リーフに代表される電気自動車の不振に依るところが大きく
三洋電機から買収した車載電池事業の2012年度の営業赤字550億円
兵庫県加古川の工場に1000億円を超える投資をしたモノの
まったく投資の回収が出来ない状況だそうです.
 (ハイブリッド社用電池兼用ラインに変更したそうですが?)

 残念ながら,1回の充電で150kmくらいしか走れない電気自動車は
 確かに近場中心の走行距離は,平均で80kmに満たないとデータが
 物語るモノの,それは消費者心理とデータが1対1でないわけで,
 走行性能に不安を持った消費者は積極的に購入しなかったわけす.
 結局は,消費ニーズはハイブリッド車に走っているのが現状ですね.

 パナソニック津賀社長のコメントにもあるように
 今のパナソニックは顧客ニーズ,市場ニーズが的確に拾えていない,
 残念ながら未だに『プロダクトアウト型ビジネス』を展開しているように
 思えてなりませんね.

それにしてもリストラを断行するパナソニックもぼろぼろの状況,
ダイヤモンド(5/18号)の特集記事 『パナソニック最後の賭け』から
その内容を探ると,プラズマパネルと液晶の関わるテレビ関連事業における
減損額は6000億円,プラズマテレビからの撤退すら噂されています.

 ちなみに,プラズマはパイオニアの事業部を丸ごと取り込んでいる事実
 パイオニアのプラズマ部隊も三洋と同じく
 パナソニックの愚策が故に消えたとも言える?

三洋電機が消えてしまう理由,
それは買収先の不振に他なりません...
巨大企業の消滅なんて,実は直ぐに起こりうることを
今回の事象は的確に伝えてくれたわけです(怖).

 日経新聞が言う 『会社30年設』 まんざら適当とは思えませんね!