田んぼに黒い物体が…。
田んぼの側を通りかかったら、何となく黒いものが視界に入ってきた。
ごみ袋でも飛んできたのかなと思って通り過ぎようとしたとき、「あれ、生き物か!?」。
足を止めてじっと見てみると、黒いものもの上部が動いた。
黒ネコでした。
向こうもこちらをじーっと見ています。
こういう時、多くの人が思わずすることをしてしまった。
「ニャァーオ」と何度か鳴いてみたのだ。こういうのって、深い意味はないよね。
でも他の人が見たら、「なんだあのオヤジ。気持ち悪い」なんた思われる光景だ。
幸い周りには誰もいなかったので、暫く「ニャァーオ、ニャァーオ」とやってみた。
そのうち、そんなことをしている自分の姿が可笑しく思えてきて、思わず吹き出してしまった。
でも、またこの光景も他の人が見たらきっと不気味だったろうな。
何となく一人芝居をしたような気分になった。
高倉健が亡くなったという。もし、健さんが同じことしたら、きっとカッコいい映画のシーンになるんだろうな。
健さん演じるやくざが、敵に追われる中でもちょっと心が動かされ、猫に「ニャァオ」とやる。
また、駅のホームに入ってきた猫ちゃんに、「お前もひとりか」などと言って抱き上げる。
同じ男でも自分と健さんとではこうも違うものなのだなと、とり憑かれたようにしばらく妄想が続いた。
そして、やはり高倉健は映画の大スターだったんだなぁと、ひとり納得して仕事についた。
