わたくしの暮らす有料老人ホーム。

各階に設置してある、施設へ対するご意見箱。
そこに紙が置いてある。

これは通常、家族や面会に来られた方の書くべきもの。
でも、わたくしはご意見箱用紙を一枚手に取り思っていたことを綴ることした。


『拝啓

ようやく夏の暑さも峠を越え、残暑の中にも秋の気配を感じる季節となりました。

この頃、わたくし思い悩むことがございまして・・・
こちらへお伝えしたならば、きっと窺いくださると思い、

書き綴ってみることにいたしました。


施設、職員の皆様・・・、

こちらにお勤めの加藤という人に、一体わたくしは何をしたのでしょうか。
どうしてこのような仕打ちをされるのでしょうか。


連日にわたり色々な物が盗まれ、洗濯物のボタンがハサミで千切られ
わたくしが何か悪いことをしたのでしょうか。


どうか、そのことについてお返事をいただきたく存じます。』



わたくしの思いは届くのか・・


ご意見箱なるものに思いを綴った紙を一枚、そっと入れた。


車椅子、進ませながら、この辛い思いを辿り・・・
夕食の時刻まで、大人しく居ようと・・・自室へ戻った。