バイト落ちた。

 
 

 

 

 

時間に余裕があってシフトは入れまくりだったから、絶対受かるだろうと思っていた。

いざ面接に向かい、これまで連戦連勝だった真面目かつ快活なスタイルで勝負に畳みかけると、

もはやすべてが私の見方のように思えた。そう、始めはうまくいったのだ。

趣味から始まり、夢を語り、働くことを前提にした未来予想図まで披露させられた。

白いタートルネックに緑のエプロンを身に着ける私、素敵ですよねえ。にやにや。

本日はグアテマラのコーヒーでございます。

 

ああ、来週からここで働くのかあ。

よし、終わったら一応店の人たちにあいさつしとこう。第一印象を大切にしなくっちゃ。

 
 

 

が、ひととおり質問が終わって、少し沈黙した後、嫌な予感がした。

「大学は、どうするの??」

その質問から、雰囲気が変わる。それ、今は考えないお約束じゃん?という私のスタイルは通用しない。

もちろん、このマネージャーからすれば二か月先に復学するかもしれないという不安定なスケジュールを持つ人材はハッキリ言って微妙なのだろう。私としては復学するつもりはなかったが、何せ嘘がつけなかった。

「正直、まだ決めかねてるんですよね。」

マネージャーの顔がひきつる。うがっ、やっちまった?ああ、この人親に甘やかされて大学に余裕で金渡した挙句、

字書いて生活しようなんてニート宣言してるクズなんだ。うちのイメージに合わないな。ってか俺のプライドが許さないわ。

って思いましたあ??あっ!!思ってる思ってる!!!くっそ最悪だあああああ!!!違う、違います!いや違わないけど、ちがーーーう!

目の前に座るこの人は何を言えばいいのか必死に考えているらしい。

面接をする立場っていうのも、まあ大変なんでしょうね。

 

私はもう、語ることも聞くこともないから、妙に落ち着いている。

開始時にもらったコーヒーをすする。あれ、コーヒーってこんなに苦いんでしたっけ。なんか、すげえまずい。

マネージャーは急に思いついたのか、最後に一個質問をした。

「いろいろ店舗があるなかで、どうしてここを受けようと思ったんですか。」

たしかに、この駅に全部で三つ、同じ系列の店舗があった。そんなものに理由あるかよ、と半ばやさぐれてきた自分を叱りつつ、

まだポイントを稼げそうな答えがあることに気づいた。よっしゃ、これで形勢逆転だ。

 

「この○○○店さんは、朝早くからやっていますよね。私朝のお店の雰囲気が好きで、

朝早いのも得意なので、自分に合っているかな、と思いました。」

にこおおお!と笑ってみる。最後まで笑顔を絶やさずに、ぎりぎりまで媚びうる女。

 マネージャー、なぜか弾ける様に笑う。目が点になる私に、

 
 

 

「今回さ、クローズ募集なんだよね。言ってなかったかな。」

 マネージャー、今回はご縁がなかったということで、失礼さしてください。。。

 そのあと来たぺこぺこした不採用の案内を静かに、スワイプして抹消した。