静岡県伊豆半島北部の道路を研究していこう、というこのブログ
…ですが、今回も前回に引き続き南伊豆のやり残しです。

第64回のテーマは『県道波勝崎線』です。
かつてはこの県道を通って、『波勝崎苑』まで路線バスが走っておりましたが、
現在は走っておりません。
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<1・認定>
認定は昭和47年10月31日です。
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なお、昭和53年3月31日の告示で、終点が修正されています。
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現在、波勝崎線の終点は、国道136号交点ですが、このころの国道136号は蛇石峠経由でしたので、終点で接続する道路は国道136号ではありませんでした。

昭和47年12月12日の告示の通り、『下田石室松崎線(現・下田石廊松崎線)』として、南伊豆町子浦~松崎町雲見間が開通しました。
南伊豆道路(マーガレットライン)という有料道路での開通でした。
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※『下田石室松崎線』→『下田石廊松崎線』名称変更は昭和51年
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区域決定・供用開始は2回に分けて行われました。
まず、昭和48年3月31日の告示です。告示の通り2.449kmの区域決定・供用開始となりました。
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続いて、昭和50年3月31日の告示です。告示の通り1228.0mの区域決定・供用開始となりました。
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公図・土地宝典で地番を調べましたが、一つの地番が広かったり、周辺に建物等がなかったので、延長から、どの区間だったのかを推測しました。

この後、書きますが終点側でルートが変わっていますので、昭和50年3月31日の告示を使って、起点から1228.0mを取ると、下図になります(1.227kmになってしまいましたが、そんなに変わらないと思いますので…)。
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そして残りの区間が、昭和48年3月31日の告示で区域決定・供用開始されていた区間と推測されます。

終点で接続する道路ですが、現在は国道136号となっています。
これは、昭和52年4月1日の告示で国道136号のルートが大きく変わり、蛇石峠経由から雲見経由に変わったためです。
※なお、現在も下田石廊松崎線が重用している。
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<2・終点付近の改良>
地理院地図で過去の航空写真と比較すると、終点付近が改良されてルートが変わっています。

昭和55年2月29日の告示です。この分と思われます。
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596.5mの区域が除外され、472.5mの区域となりました。

なお、『伊浜字宿戸2355-1』は広いので図示しませんでした。
そこで、『伊浜2234-5』を基準に延長から推測しました。
※『伊浜2234-5』ですが、告示だと字根冝田平とありますが、公図では伊浜字祢宜田平2234-5です。
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※青ラインが旧道

<3・データ集>
まずは『道路現況調書』のデータから。

<波勝崎線>
路線番号    3347
路線名     波勝崎線
読み      はがちざきせん
総延長     3353m
重用延長    (空欄)
実延長     3353m
起点      賀茂郡南伊豆町伊浜[波勝崎]
終点      賀茂郡南伊豆町伊浜[国道136号交点]

出典『平成28年4月1日現在 静岡県道路現況調書』静岡県道路保全課

続いて『一般国道・県道路線調書(昭和58年4月1日現在)』のデータを引用します。

・整理番号    347
・路線名     波勝崎線
・法第7条該当号 5
・起点      賀茂郡南伊豆町伊浜
・終点      賀茂郡南伊豆町伊浜字木端狭間
・重要な経過地  (空欄)
・認定等年月日  昭47.10.31(第840号)認定
         昭53.3.31(第348号)終点の告示改正
・区域決定    賀茂郡南伊豆町伊浜字大窪2566番の5地先 から <注>
         賀茂郡南伊豆町伊浜字泓ノ田1518番の1地先 まで
・告示年月日   昭48.3.31(第292号)
         昭50.3.31(第375号)
・供用開始    賀茂郡南伊豆町伊浜字大窪2566番の5地先 から <注>
         賀茂郡南伊豆町伊浜字泓ノ田1518番の1地先 まで
・告示年月日   昭48.3.31(第304号)
         昭50.3.31(第379号)
・沿革等     昭47.10.31(第840号)南伊豆町道波勝崎線(一部)を
         県道波勝崎線で認定。

<注>公図で伊浜2566-5を調べると『伊浜字大久保』となっていて『大窪』では
   ありませんでしたが、資料より原文ママ『大窪』と引用しました。
         

なお、静岡県地理情報システムにて、地図切り替えで『道の情報』を選ぶと『道路台帳図』が閲覧可能です。
見たい路線を拡大してクリックすると右側にリンクが表示されます(2019年5月11日現在)。

併せてご確認ください


図上の『◎』が起終点です。
『道路現況平面図』『ブロック接続起終点図』などご確認ください。
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<4・歴代の資料より>
現在、重用延長がない、波勝崎線ですが、かつては重用延長がありました。単位m

『昭和50年4月1日現在 静岡県道路現況調書』静岡県道路維持課 より
総延長   3,637
重用延長    327
未供用延長 1,187
実延長   2,123

『昭和54年4月1日現在 静岡県道路現況調書』静岡県道路維持課 より
総延長   3,531
重用延長    277
未供用延長     0
実延長   3,254

『昭和55年4月1日現在 静岡県道路現況調書』静岡県道路維持課 より
総延長   3,377
重用延長    208
未供用延長     0
実延長   3,169

『昭和57年4月1日現在 静岡県道路現況調書』静岡県道路維持課 より
総延長   3,399
重用延長    230
未供用延長     0
実延長   3,169

重用延長のなさそうな波勝崎線が、どのように重用していたのか。

まずは、昭和52年2月1日の告示です。
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下田石廊松崎線のうち、南伊豆町子浦~松崎町雲見について、
24205mだったのが、12250mと2149mの区域になっています。

差し引き、9806mの区域がなくなっているということです。
また、『B』の2149mがこの時点では残っている、ということです。

では、この『B』の2149mがどこなのか。

昭和58年3月31日の告示です。
伊浜588-6~伊浜2242-5の2163.3mの区域がなくなっています。
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延長が似ているので、イコールと考えられると思います。

この伊浜588-6~伊浜2242-5を図示すると下図になります。
この緑色の区間が、昭和58年3月31日まで下田石廊松崎線の旧道だった、と考えられ、重用区間だったと推定されます。
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<5・昭和55年に改良された区間>
南伊豆町議会の会議録を見ていたら次の内容がありました。

平成16年3月南伊豆町議会定例会 議第26号 南伊豆町道路線の認定について
祢冝田線ですが、(中略)伊浜地区の波勝崎入り口付近の、元県道波勝崎線の一部でありました延長60.2メートルを認定したいものです。
なお、この路線につきましては、昭和47年10月31日に町道から県道に移管され、
また県道波勝崎線として、昭和55年、道路改良された経過があります。
その後、県道として認定されていない位置分でございます。

H30.4.12に南伊豆町役場で『祢冝田線』を調べました。下図になります。
昭和55年に区域除外された区間をなぜ、平成16年のタイミングで町道認定したのかは、謎です。
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※南伊豆町役場で調べた際、役場のインデックスに書かれておらず、調べるのに時間がかかりました。
 『8101祢冝田線』は『8090尼ケ墓線』の図面と一緒に描かれていました。
 もし調べる方がいらっしゃったら参考までに。

<6・写真>
いずれも、2017年6月24日撮影

まずは起点(波勝崎)側。
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2ブロック・3ブロック境界付近(伊浜集落への分岐点)
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終点側
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南伊豆道路(マーガレットライン)が有料道路だった当時、この付近に料金所がありました。
『広報南伊豆』昭和58年9月号№189(昭和58年9月1日静岡県賀茂郡南伊豆町役場発行)によると、
『南伊豆道路マーガレットライン 8月1日無料開放』
南伊豆道路、マーガレットラインが、災害発生から約1年ぶりの7月16日復旧開通、更に8月1日午前零時を期して、無料開放されました。
同道路は、昭和47年12月に供用開始がなされ、南伊豆と西伊豆を結ぶ主要道路として、重要な役割を果たしてきましたが、昨年8月の集中豪雨と9月の台風による災害で土砂崩れを起こし通行止めになっていたが工事も順調に進み、7月16日正午復旧開通しました。更に静岡県や日本道路公団等へ、有料道路の無料開放を陳情してきた地元1市6町村の念願がかなえられ、8月1日をもって日本道路公団から静岡県に移管、無料開放されたものです。
とあります。

※本ブログは公的機関の公式発表ではありませんので、正式な情報が必要と
 される方は関係機関へお問い合わせください。

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※地理院地図は2019年5月8日・9日現在。いずれも300×400ピクセル以内です。
※静岡県公報は著作権法第13条第2号の規定より、地方公共団体が発する告示ですので、著作権を有しないと考えられますので、そのまま転載しました。
※参考資料 『静岡県賀茂郡南伊豆町土地宝典(三坂・三浜地区)』
      平成元年12月22日発行 (株)帝国地図三島営業所