静岡県伊豆半島北部の道路を研究していこう、というこのブログ
…ですが、今回は伊豆半島南部の県道です。

第63回のテーマは『県道手石湊線』です。
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南伊豆でやり残しがありましたので、このタイミングでやっておきたいと思います。

<1・ルーツ>
旧・道路法時代は『下田湊線』でした。昭和13年7月2日に認定されました。
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なお、偶然かわかりませんが、同日、『下田港線』に関する告示も出ていて、延長が122m→680mとなっています。
延長しかわからず、地番が書かれていないので、どこがどうかわったのか全く分かりません。

このように、『下田湊線』と『下田港線』が共存していました(ややこしい)。

※道路とは関係ない話ですが、同じ日の告示に

 昭和13年7月8日,9日,10日ノ三日間内務大臣ノ命令ニ依リ(略)靜岡縣全區域ニ於テ
 監視、通信、警報傳達、燈火管制、消防、防毒、避難及救護ニ関スル防空訓練ヲ行フ
 
 という告示も出ています。時代を感じます。

昭和17年7月31日の靜岡縣告示第769號にて延長の更正が行なわれますが、このとき下田湊線の延長は9865mとなっています。
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昭和35年4月1日に県道路線が再編され、どちらも廃止されます。
『下田港線』は同名の『下田港線』として再出発します。
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<2・現・道路法にて>
昭和35年4月1日の県道路線の再編により、『下田湊線』は『手石湊線』となりました。

・認定(昭和35年4月1日)
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『手石湊線』は賀茂郡南伊豆町内で完結する県道となりましたが、
起点が『賀茂郡下田町』終点が『賀茂郡下田町湊』になっていて、ちょっとおかしいです。

昭和48年1月20日に県道路線認定の内容(起終点など)が一斉に変わりますがその際も、
・起点 賀茂郡下田町  → 下田市手石
・終点 賀茂郡下田町湊 → 下田市湊

となっていて、相変わらずおかしいです。
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昭和53年3月31日の告示でやっと、
・起点 下田市手石   賀茂郡南伊豆町手石
・終点 下田市湊  → 賀茂郡南伊豆町湊

となり、南伊豆町に直されました。しかしこの県道、南伊豆町手石は通らない県道です。
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<3・認定時の区域>
引き続き、昭和35年4月1日の告示より。

・区域決定(昭和35年4月1日)
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・供用開始(昭和35年4月1日)
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終点は『湊字池田685-1』とのことで地図に入れると現在の終点より手前のカーブのところです。
現在の手石湊線は海岸線にぶつかるところまで県道ですが(下の方で示しています)、認定当時は海岸線まで達していなかったようです。
土地宝典図を見たら終点付近には『国立療養所湊病院』がありました。
その後、共立湊病院となった施設です。病院の入口のカーブ付近が認定当時の終点です。

起点については、公図で『湊字向井条1662番1』を調べたのですが周辺に目標物がなくよくわからなかったので、終点から約1kmで示すと下図になります。
起点についても現在の起点より少し先になります。
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起点・終点とも現在とは異なりますので、下の方で記述しております。

<4・データ集>
まずは『道路現況調書』のデータから。

<手石湊線>
路線番号    3120
路線名     手石湊線
読み      ていしみなとせん
総延長     1403m
重用延長    (空欄)
実延長     1403m
起点      賀茂郡南伊豆町湊[下田石廊松崎線交点]
終点      賀茂郡南伊豆町湊[弓ヶ浜]

出典『平成28年4月1日現在 静岡県道路現況調書』静岡県道路保全課

続いて『一般国道・県道路線調書(昭和58年4月1日現在)』のデータを引用します。

・整理番号    120
・路線名     手石湊線
・法第7条該当号 6
・起点      賀茂郡南伊豆町手石
・終点      賀茂郡南伊豆町湊
・重要な経過地  (空欄)
・認定等年月日  昭35.4.1(第218号)認定
         昭48.1.20(第43号)整理番号、起点、終点の告示改正
         昭53.3.31(第339号)起点、終点の告示改正
・区域決定    賀茂郡南伊豆町湊字田尻415番地先 から
         賀茂郡南伊豆町湊字一本松891番の1地先 まで
・告示年月日   昭35.4.1(第220号)
         昭45.4.10(第284号)
・供用開始    賀茂郡南伊豆町湊字田尻415番地先 から
         賀茂郡南伊豆町湊字一本松891番の1地先 まで
・告示年月日   昭35.4.1(第221号)
         昭45.4.10(第285号)
・沿革等     昭35.4.1(第218号)県道路線の再編成のため
         県道下田港線を県道手石湊線で認定
         下田港線は昭35.4.1(第219号)に廃止 <注>

<注>『沿革等』欄の下田港線はママ。下田湊線の誤りと思われる。

なお、静岡県地理情報システムにて、地図切り替えで『道の情報』を選ぶと『道路台帳図』が閲覧可能です。
見たい路線を拡大してクリックすると右側にリンクが表示されます(2019年5月4日現在)。

併せてご確認ください


図上の『◎』が起終点です。
『道路現況平面図』『ブロック接続起終点図』などご確認ください。
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<5・終点側>
現在の終点は一つ上の図で示した通り、海岸線にぶつかるところです。

昭和45年4月10日の告示です。
起点側はそのまま、終点側の地番が変わり、差し引き307m延長が伸びました。
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ちょうど海岸線にぶつかるところの地番になります。
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<6・起点側>
起点側の変更は、昭和55年3月25日の告示にありました。
延長が104.3m増えています。
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県道下田石廊松崎線の弓ヶ浜大橋開通によるものです。
元々の橋(湊橋)が架け替えられましたが、上流にずれたため、手石湊線の延長が伸びたものです。
旧・湊橋があったころのラインを茶色で引いてあります。
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参考までに下田石廊松崎線の告示を載せておきます。
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『広報南伊豆』№148 昭和55年4月号(昭和55年4月1日静岡県賀茂郡南伊豆町役場発行)によると

『弓ヶ浜大橋開通』『橋長91.60メートル』
青野川河川改修工事として53年12月着工しました湊橋の工事も順調に進み、
55年3月完成し橋名も弓ヶ浜大橋と改名になりました。
湊橋は弓ヶ浜大橋附近の工事が完成しますと解体されます。

とあります。

<7・写真>
いずれも2017.6.10撮影です。

まず起点側です。弓ヶ浜大橋の左岸(東側)になります。交差点名は『新湊橋』です。
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続いて終点側。突き当りは弓ヶ浜海水浴場です。
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撮影日は6月ですが、海水浴客がいました。沖合に島が見えます。
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灯台があるので、神子元島と思われます。
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※本ブログは公的機関の公式発表ではありませんので、正式な情報が必要と
 される方は関係機関へお問い合わせください。

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※地理院地図は2019年5月1日現在。いずれも300×400ピクセル以内です。
※静岡県公報は著作権法第13条第2号の規定より、地方公共団体が発する告示ですので、著作権を有しないと考えられますので、そのまま転載しました。