静岡県伊豆半島北部の道路を研究していこう、というこのブログ
第62回のテーマは『県道韮山伊豆長岡修善寺線』です。
かなりマイナーな県道だと思います。
しかし、管理人にとっては通勤でよく通る道です。
城山(じょうやま)の下には狭路も残されていますが、改良された箇所があり、旧道がありますので、紹介したいと思います。
<1・ルーツ>
現在『県道韮山伊豆長岡修善寺線』となっていますが、それまでは、『修善寺三島線』でした。
昭和28年8月29日に認定されました。日本テレビ開局の翌日です。
もう旧道路法ではなく、現・道路法に基づいての認定です。
告示文が、『道路法(昭和27年法律第180号)第7条の規定に基き…』とあります。
昭和27年4月製版『靜岡県三島土木事務所管内圖』には載っていません。
『他の道路に属する区間』欄の
・江間村日守 → 日守は函南では?
・大仁町爪生野 → 大仁町ではなく修善寺町と思われる。しかも“爪”ではなく“瓜”
・北狩野村横瀬 → 北狩野村ではなく修善寺町と思われる。
など、少し謎も多いです。
また、伊豆長岡町小坂地先で1.7km『靜岡下田線(→下田街道)』と重用していることになっていますが、これも解せません。下田街道って小坂を通っていましたっけ???
しかし、これらの情報より、『修善寺三島線』は、
瓜生野~熊坂~小坂~古奈~江間~日守~大平~新城橋~三島
の経路と思われますので、現在の韮山伊豆長岡修善寺線の大部分の元の道と言えそうです。
<2・韮山伊豆長岡修善寺線認定>
昭和35年4月1日に県道路線が再編され、韮山伊豆長岡修善寺線が認定されました。
※修善寺三島線は同日廃止
・認定(昭和35年4月1日)
・区域決定(昭和35年4月1日)
・供用開始(昭和35年4月1日)
<3・データ集>
まずは『道路現況調書』のデータから。
<韮山伊豆長岡修善寺線>
路線番号 3129
路線名 韮山伊豆長岡修善寺線
読み にらやまいずながおかしゅぜんじせん
総延長 12255m
重用延長 (空欄)
実延長 12255m
旧道総延長 102m
旧道重用延長 11m
旧道実延長 91m
起点 伊豆の国市原木[国道136号交点]
終点 伊豆市瓜生野[国道136号交点]
出典『平成28年4月1日現在 静岡県道路現況調書』静岡県道路保全課
続いて『一般国道・県道路線調書(昭和58年4月1日現在)』のデータを引用します。
・整理番号 129
・路線名 韮山伊豆長岡修善寺線
・法第7条該当号 4
・起点 田方郡韮山町 <注>
・終点 田方郡修善寺町 <注>
・重要な経過地 田方郡伊豆長岡町 <注>
・認定等年月日 昭35.4.1(第218号)認定
昭48.1.20(第43号)整理番号、起点の告示改正
・区域決定 田方郡韮山町原木字上町104番地先 から
田方郡修善寺町瓜生野字涙戸86番地先 まで
・告示年月日 昭35.4.1(第220号)
・供用開始 田方郡韮山町原木字上町104番地先 から
田方郡修善寺町瓜生野字涙戸86番地先 まで
・告示年月日 昭35.4.1(第221号)
・沿革等 昭35.4.1(第218号)県道路線の再編成のため
県道修善寺三島線及び県道長岡伊豆長岡(停)線を
県道韮山伊豆長岡修善寺線で認定
修善寺三島線及び長岡伊豆長岡(停)線は昭35.4.1(第219号)に廃止
<注> 原文ママ引用。現在は市町村合併により変わっています。
起点 伊豆の国市
終点 伊豆市瓜生野
重要な経過地 (空欄)
平成16年3月23日『静岡県告示第340号』、平成17年3月22日『静岡県告示第390号』
→静岡県例規集もご参照ください。
なお、静岡県地理情報システムにて、地図切り替えで『道の情報』を選ぶと『道路台帳図』が閲覧可能です。
見たい路線を拡大してクリックすると右側にリンクが表示されます(2019年4月27日現在)。
併せてご確認ください
図上の『◎』が起終点です。
『道路現況平面図』『ブロック接続起終点図』などご確認ください。
<4・終点の考察>
昭和35年4月1日の認定時の告示ですが、終点は『熊坂327』とあります。
地図に落とすと、下図の通り、沿線にありません。
推測ですが、『瓜生野327』だったのではないかと思われます。
場所は下図の通り、ちょうどヤマダ電機のところです。
大仁~大仁橋~瓜生野の経路が元々の下田街道(県道静岡下田線→二級国道下田三島線(現・国道136号))なので、ちょうど下田街道との交点になるので、元々の終点はこの地点(瓜生野327)だったと思われます(推測)。
現在の終点は、『一般国道・県道路線調書(昭和58年4月1日現在)』によると、瓜生野字涙戸86番地先とのことですが、区間を延長する告示は見つけられませんでした。
区間を延長する場合、『一般国道・県道路線調書(昭和58年4月1日現在)』に載っているはずなので、実際に告示が出ていない(出し忘れ)の可能性もあります。
終点の写真です(2017.4.30撮影)。
<5・旧大仁町神島小室地区の改良>
平成元年5月9日の告示です。大仁町(現・伊豆の国市)神島の小室地区で533.0mの区域に加え、306.0mの区域が追加されました。
また、平成元年9月16日の告示で306.0mの区域が319.0mに伸びました。
さらに、平成4年7月24日の告示で、319.0mの区域が488.9mに伸びました。
図にすると下図になります。
供用開始は2回に分け、平成4月8月25日と平成10年2月6日に出ています。
平成12年3月31日の告示で旧道区間の496.5mの区域が除外されました。
旧道区間ですが、現在は、伊豆の国市道『大2087号線』になっています(2018.8.13伊豆の国市役所にて調査)。
平成11年第4回(12月)定例会 大仁町議会会議録 より
議案第60号 大仁町道路線の認定について
本案は、韮山伊豆長岡修善寺線、神島字小室地内の県道が道路改良事業の完了に基づき、新たな区域に変更されましたので、現在利用されております道路を町道に所管替えをし、管理していくものであります。
認定します町道2087号線は、神島字小室地区の子育て地蔵尊から約100メートルほど修善寺側に寄ったところが起点となります。終点は熊坂橋幅員となります。延長が496.5メートル。幅員が5.3メートルから6.1メートルの路線となります。
『終点は熊坂橋幅員となります』は原文ママ。『熊坂橋付近』か?
2018.10.21撮影。熊坂橋。韮山伊豆長岡修善寺線は右折です。右折した先にヘキサがあります(1枚目の写真)。
正面に立つ連続雨量100ミリ超過で通行止の看板です。
この先の城山下は狭路ですので、ここから先に突入するドライバーに決意を固めさせるものです(大げさ)。
現道と旧道(大2087号線)との分岐点(南側)です。後ろに見える岩山が城山(じょうやま)。
反対側の分岐点(北側)です。
<6・大門橋北側の改良>
続いて、大門橋の北側です。平成7年12月26日の告示で185.0mの区域に加え、116.1mの区域が追加されました。
平成8年9月24日にも告示が出ています。
供用開始は平成13年4月1日でした。
旧道は地理院地図からは抹消されていますので、過去の航空写真で見える道を茶色ラインでトレースしています。
現在は切通しを通る片側1車線(交差点は右折レーンあり)の立派な道ですが、改良前は狩野川と山のすき間を通る細い見通しの悪い道でした。
そして、この区間、旧道区域は区域除外されていません。県道のままです。
『平成28年4月1日現在 静岡県道路現況調書』で旧道の延長が102mありますが、この区間が旧道です。
静岡県地理情報システムで見ると、『7ブロック』となっています。
大門橋北側『7ブロック』の現地写真です。2017.4.2撮影
<7・その他の写真>
最後に石堂橋の写真です。2019.2.3撮影。
起点(国道136号交点)から、この橋まで『原木沼津線』と重用しています。
※本ブログは公的機関の公式発表ではありませんので、正式な情報が必要と
される方は関係機関へお問い合わせください。
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※地理院地図は2019年4月24・25日現在。いずれも300×400ピクセル以内です。
※静岡県公報は著作権法第13条第2号の規定より、地方公共団体が発する告示ですので、著作権を有しないと考えられますので、そのまま転載しました。
※参考資料 『静岡県田方郡伊豆長岡町土地宝典』平成2年5月30日発行 帝国地図
『静岡県田方郡大仁町土地宝典』昭和63年5月29日発行 帝国地図
『静岡県田方郡修善寺町土地宝典(修善寺地区)』昭和60年3月12日発行
帝国地図