静岡県伊豆半島北部の道路を研究していこう、というこのブログ

第60回のテーマは『県道三島静浦港線』です。

<1・旧道路法にて>
現道路法では『県道三島静浦港線』となっていますが、旧道路法時代は『三島静浦線』でした。昭和3年9月18日の認定です。
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昭和17年7月31日靜岡縣告示第769號にて延長の更正が行なわれました。これによると、起点は三島市傳馬町、終点は駿東郡靜浦村獅子濱、三島市内で566m他路線に重用、靜浦村内で土肥沼津線に約2.6km重用となっています。

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昭和33年6月製版『靜岡県沼津土木事務所管内圖』です。
25が三島静浦線です。こういうのを『力技』っていうんですかね?? 点線で描くとかそういう発想はなかったんでしょうか。
大平山の西側を越え、多比で海岸線に達します。路線の終点は獅子浜なので、多比~獅子浜間の約2.6kmが重用となります。

続いて昭和27年4月製版『靜岡県三島土木事務所管内圖』です。
203が三島静浦線です。
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少し小さくて見にくいかもしれませんが、現在の三島静浦港線は北上していくとそのまま三島停車場線になり三島駅に達しますが、この地図を見ると、当時の三島静浦線は『みしままち』駅(20と書かれている付近)に達していることがわかります。
『みしままち』駅は、こちらで書いた通り、現在の三島田町駅になります。
したがって、現在の三島郵便局の前を通る道が当時の『三島静浦線』だった、ということになります。

<2・三島静浦線当時のトピック>
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昭和31年2月28日の告示です。三島静浦線の起点が、三島市伝馬町→小中島町に変更、また、起点から三島市堀之内字君沢原58-2までの区域が変更になりました。
それぞれの位置を図に示すと下図になります。
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※本ブログは公的機関の公式発表ではありませんので、正式な情報が必要と
 される方は関係機関へお問い合わせください。

伝馬町1244-1は三島大社前、小中島町1730-2は現在の本町交差点の南側、堀之内字君沢原58-2ですが、土地宝典で調べたところ、ズバリの地点がなく、近い住所が上図の場所にありました。北上した時に三島駅に向かう道と三島田町駅に向かう地点の
分岐点になりますので、このタイミングで、現在の経路になったと思います。
※現在の本町交差点が十字路になった

なお、堀之内という大字は現在失われてしまいました。現在の地名・地番は異なると思います。

<3・現・道路法にて>
昭和35年4月1日に県道が再編され、旧道路法時代に認定された『三島静浦線』が廃止、代わって『三島静浦港線』が認定されました。
・旧路線廃止(昭和35年4月1日)
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・認定(昭和35年4月1日)
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・区域決定(昭和35年4月1日)
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・供用開始(昭和35年4月1日)
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道路の区域としては、三島市小中島1726-6~沼津市多比380となっています。この当時の起点は本町交差点です。
終点については下の方で考察しています。

<4・起点の変更>
昭和39年11月27日の告示です。終点はそのまま(沼津市多北になっていますが多比ですね)で、起点が変更となり、1035m短くなりました。
当初、本町交差点が起点だったのが、起点が三島玉川交差点に移動。本町交差点~三島玉川交差点が三島静浦港線から外れました。この時に外れた区域は三島停車場線に吸収されています。
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国道1号の開通(三島市ホームページによるとS37)によるものですが、以前、三島停車場線の所でも書きましたので、ここではおさらい程度で済ませます。

なお、三島停車場線の所で書いた通り、三島市玉川は地番が変わってるようなので、下記、『一般国道・県道路線調書(昭和58年4月1日現在)』の地番を図に入れています。
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<5・データ集>
唐突ですが、ここでデータ集です。

まずは『道路現況調書』のデータから。

<三島静浦港線>
路線番号    3140
路線名     三島静浦港線
読み      みしましずうらこうせん
総延長     9096m
重用延長    1213m
実延長     7884m
自動車交通不能 2548m
起点      三島市富田町[国道1号交点]
終点      沼津市多比[静浦港]

出典『平成28年4月1日現在 静岡県道路現況調書』静岡県道路保全課

四捨五入の関係と思われますが、総延長=実延長+重用延長になっていません。


続いて『一般国道・県道路線調書(昭和58年4月1日現在)』のデータを引用します。

・整理番号    140
・路線名     三島静浦港線
・法第7条該当号 1
・起点      三島市
・終点      静浦港
・重要な経過地  (空欄)
・認定等年月日  昭35.4.1(第218号)認定
         昭48.1.20(第43号)整理番号、終点の告示改正
         昭53.3.31(第339号)終点の告示改正
・区域決定    三島市富田町622番地先 から
         沼津市多比字小谷戸562番の27地先 まで
・告示年月日   昭35.4.1(第220号)
         昭39.11.27(第739号) <注。ママ引用。742号が正>
・供用開始    三島市富田町622番地先 から
         沼津市多比字小谷戸562番の27地先 まで
・告示年月日   昭35.4.1(第221号)
         昭39.11.27(第742号) <注。ママ引用。供用開始告示無>
・沿革等     昭35.4.1(第218号)県道路線の再編成のため
         県道三島静浦線を県道三島静浦港線で認定
         三島静浦線は昭35.4.1(第219号)に廃止

なお、H29.2.6に静岡県庁にて『道路台帳』を確認したところ、区域決定、供用開始は一緒でしたが、延長などがもう少し詳しくわかり、下記でした。

・路線の延長        9096.1m
・供用されている区間の延長
  実延長         7883.6m
  重複延長        1212.5m
・自動車交通不能区間の延長 2548.2m
・最小車道幅員         0.20m(箇所:沼津市大平)

なお、静岡県地理情報システムにて、地図切り替えで『道の情報』を選ぶと『道路台帳図』が閲覧可能です。
見たい路線を拡大してクリックすると右側にリンクが表示されます(2019年4月13日現在)。

併せてご確認ください


図上の『◎』が起終点です。
『道路現況平面図』『ブロック接続起終点図』などご確認ください。

これによると、三島静浦港線は9ブロックに分かれており、9ブロックの終点が路線全体の終点となりますが、この9ブロックの終点はWEBでは公開されていません。

<6・終点の考察>
WEBでは公開されていない『9ブロックの終点』ですが、H28.8.17に沼津土木事務所にて『ブロック接続起終点図』を確認したところ、終点の位置は下図でした。
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なお、S35.4.1認定時やS39.11.27の告示を見ると、終点は『沼津市多比380』となっています。
一方、『一般国道・県道路線調書(昭和58年4月1日現在)』・『道路台帳』では、
『沼津市多比字小谷戸562番の27地先』となっています。
同じ図に書き込むと下図となり、少し離れています。
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なお、『沼津市多比380』という地番はなく、『380-□』のように枝番がついています。このため、『380-□』の区域を赤枠で囲みました(精度は高くないのでご注意ください)。
また、『沼津市多比字小谷戸562番の27地先』とありますが、公図で多比562-27を調べると、字は宮下となっています。

それでは終点付近の写真です。2017.4.15撮影。
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写真を見るとわかりますが、ちょうどこの場所で国道414号が29ブロックから30ブロックに変わっています。

『道路台帳作成要領』の『第3章 道路台帳の作成』を見ると、市町界や県道以上の道路の交差点ではブロックを切ることとなっております。

の『第3章道路台帳の作成』

この地点が県道以上の道路の交点ということを暗に示しています。

※必ずしもこの通りになっていない箇所もありますが…。
 例:下田市の国道136号の1ブロックと2ブロックの境界
   中島橋交差点(国道414号交点)ではなく本郷交差点(旧修善寺下田線
   (現在は市道)交点)になっているなど

<7・沼津市大平地区>
沼津市大平地区のルートです。地理院地図では途中までしか黄色に着色されていませんが、上述『道路台帳図』を見ると、緑色の線の区間も三島静浦港線になっています。
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ここからは現地写真です。2018.7.14撮影。
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東海バスオレンジシャトル大平車庫前のヘキサです。
県道139(原木沼津)と140(三島静浦港)のおだんごヘキサになっています。
『重複区間』とわかりやすく書かれています。

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約120m西に行ったところのヘキサ。県道139(原木沼津)単独になっています。
この間で県道140(三島静浦港)が分岐していることになります。

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分岐点はここです。ここから2019.1.27撮影
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なぜか『140 6/5』のペイントが2ヶ所書かれています。
※橋のところのペイントと図面があっていると思われます。

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上述『道路台帳図』によると、『山口橋』L=3.40、W=2.70

よくとりあげられますが、一応、お約束なので。
狭路区間にある『静岡県』印のデリニェーター。2018.7.14撮影。
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6ブロック・7ブロック境界付近。地理院地図では黄色に塗られていませんが
県道三島静浦港線です。再び2019.1.27撮影
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ここから2018.7.14撮影。右折するところに橋があります。上述『道路台帳図』によると、『山中橋』L=2.20、W=3.00
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『標識が…』、と思ったら『山火事注意』でした。ここにヘキサがあったらなぁ
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出水時は『洗い越し(?)』になります。
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7ブロック・8ブロック境界付近。ここから本格的な登山道です。
境界を示すものを探しましたが見つかりませんでした。
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※地理院地図は2019年4月9日現在。いずれも300×400ピクセル以内です。
※静岡県公報は著作権法第13条第2号の規定より、地方公共団体が発する告示ですので、著作権を有しないと考えられますので、そのまま転載しました。
※参考資料 『静岡県田方郡中郷村土地宝典』昭和8年2月10日発行 帝國市町村地圖刊行會