静岡県伊豆半島北部の道路を研究していこう、というこのブログ
…ですが、今回は遠征編として神奈川県内の県道を扱います。

第55回のテーマは『真鶴半島公園線』です。

前回予告で『緊急編集』と書きましたが、なぜ取上げることにしたのかは最後に書きます。
イメージ 1


<1・調査のきっかけ>
イメージ 2

この県道の特徴は『6の字』状になっていることです。
起点・終点はどこなのか。

『平成30年度県土整備局所管施設等の概要』という資料がWEBで見れます。

この資料によると、真鶴半島公園線は

起点 足柄下郡真鶴町真鶴
終点 国道135号交点

となっているので、終点については真鶴駅前の国道135号交点で間違いなさそうですが、起点がどこなのか、この資料からはわかりませんでした。

①『こう』なのか
イメージ 3

②『こう』なのか
イメージ 4

③それとも『こう』なのか
イメージ 5

③の場合起点はどこなのか


一応、ウィキペディアを確認してみました。

ウィキペディアの記述

起点:真鶴町真鶴:真鶴岬付近
終点:真鶴町真鶴:東海道本線真鶴駅南側出口前(国道135号交差点)

とあります(2019.3.11閲覧)

ウィキには出典資料の明示はありませんでした。

ウィキペディアは③を支持していますが、起点がどこなのかがわかりませんし、
出典資料の明示がなく、いまひとつ信用できません。

なお、その後、ウィキが編集されたとしてもこの記事はそのままとさせていただきます。

<2・『道路台帳平面図』の調査>

やはり正確な情報は管理者に問い合わせるしかない、ということで、
神奈川県にメールで問い合わせることとしました。

****************

2018/2/20に返信いただいた内容

(1)起点の地番について
   足柄下郡真鶴町真鶴三枚畑413番地先
(2)起点位置がわかる図面等
   小田原土木センターが所持している道路台帳平面図(1/1000)でご確認ください。

 神奈川県県土整備局道路管理課
  TEL:045-***-****

****************

起点の地番は、『足柄下郡真鶴町真鶴三枚畑413番地先』とのことですが、
地番からすると①か②と思われ、③は否定されそうです。

図面については小田原土木センターで確認してほしいとのことなので、
居ても立っても居られず、県西土木事務所小田原土木センターにて確認しました。
(調査日:H30.3.2)
※お忙しいところ、ご対応いただき、ありがとうございました。

『道路台帳平面図』を閲覧した結果、
起点・終点の位置については下図の通り、結果的に②が正解でした。
イメージ 6

イメージ 7

イメージ 8


ですので、真鶴駅を背にしてY字交差点を右に行き、『反時計回り』に走行する向きが、起点→終点の『順走』となります。時計回りだと『逆走』になります。
イメージ 9

認定時の告示などです。

まず、認定と区域決定(昭和35年4月1日)
イメージ 10

イメージ 11

イメージ 12

続いて、供用開始と旧道路法での路線(→真鶴停車場線)の廃止(昭和35年4月1日)
イメージ 13

イメージ 14

イメージ 15

旧道路法時代は『真鶴停車場線』だったようで、後述あおまるさんのブログによると、起点は現在の漁協辺り(真鶴605番地=現在の5㎞地点付近)とのことです。

※出典:『フィールドは果てしなく 公報解析室』[739][真鶴町][全線の供用開始]

<3・現地写真>
最初に出したヘキサの写真も含め、2018.3.18撮影
イメージ 16

イメージ 17

イメージ 18

イメージ 19

イメージ 20

イメージ 21


<4・歴史について>
現在の『県道真鶴半島公園線』になる前は、『真鶴停車場線』であったようですが、
その他の区間について町史に記述がありました。

H7年9月30日真鶴町発行 『真鶴町史 通史編』より  一部中略

真鶴岬の国有林払い下げが具体的に動き出した1951(S26)年は道路網の整備が始まった年でもあった。
琴ヶ浜を通る町道琴ヶ浜線は、1949(S24)年8月31日のキティ台風の来襲で、全線流失という大被害を受けたが復旧作業が行なわれ、国有林の下まで1952(S27)年3月には開通した。
真鶴岬の尾根筋を走る町道真鶴岬線は、1927(S2)年ころから奥村金作らの観光開発計画とともに整備されてきていたが、御料林の時代はその中に道路を延長することができなかった。
しかし、御料林が国有林になり、その払い下げの話が具体化してくると、払い下げ後をにらんで道路の建設も具体化してきた。1951(S26)年度には町道琴ヶ浜線の終点から国有林内を通り、町道真鶴岬線に接続する観光道路の建設が組み込まれた。関係者が最も気を使ったのは、松や楠(くすのき)の大木をいかに保存するかということであった。何度か設計変更を行ない、松や楠の大木を中央に残し、道路をその両側につけるという方法で観光道路を完成させたのは1953(S28)年度であった。略
1954(S29)年4月16日をもって県立公園の指定を受けることとなった。県立公園の指定は真鶴町としては、また別な面で重要な課題の解決をにらむものであった。それは、真鶴半島の尾根筋を走る町道真鶴岬線の県道編入という問題であった。真鶴駅から半島の尾根を通り、御林を経て琴ヶ浜に降り、町中を経て再び真鶴駅に戻る路線全部を県道に編入してほしいという希望も含まれていた。
この件は、当初県の担当者は難色を示し、なかなか話が進展しなかったが、1960(S35)年4月1日付で、真鶴半島公園線として県道編入が認められ、その願いがかなえられた。


<5・今回取り上げようとしたきっかけ>

最後になりましたが、真鶴半島公園線を今回取り上げた理由についてです。

真鶴半島公園線について調べようと思ったのは、『6の字状になっているから』、なのですが、あおまるさんが2018/6/12(火) 午後 9:54エントリの、[739][真鶴町][全線の供用開始]で取上げてしまったので、自ブログで取上げるのは、一旦はやめることにしました。

しかし、最近、e-かなマップに『道路情報マップ』というメニューが追加されていることに気づきました。

県土・まちづくり→道路情報マップ

静岡県地理情報システムで静岡県管理道路の図面が見られることは本ブログでも取上げていますので、ご承知と思います。WEB上で、道路現況平面図などが見られる素晴らしいシステムですが、静岡県と同様に神奈川県でもWEB上で図面が見れるようになるかもしれません。

この、e-かなマップの『道路情報マップ』ですが、2019.3.16現在、『一部の路線』の『道路図郭』という『枠』のみが表示され、『実際の図面』を見ることはできません。反映済みの路線はそのまま拡大していくと地図上に幅員や『起点を表すフラスコ型の記号』、『終点を表す矢印』が表示されます。少し前から気づいていましたが…。2019.4.26追記
今後、閲覧できる路線が充実していき、かつ、実際の図面を見ることができるようになると思われます。

そこで、本ブログにて取上げようと思った次第です。


e-かなマップの『道路情報マップ』ですが、仙石原新田線とか江ノ島線とかマニアックな路線が掲載されることを期待しています。
※江ノ島線:車道橋は県道ではなく、実は歩行者橋が県道だ、という。

*************

※地理院地図は2019年3月11日現在。いずれも300×400ピクセル以内です。
※神奈川県公報は著作権法第13条第2号の規定より、地方公共団体が発する告示ですので、著作権を有しないと考えられますので、そのまま転載しました。