静岡県伊豆半島北部の道路を研究していこう、というこのブログ

『伊豆箱根鉄道駿豆線 停車場県道シリーズ』ですが、まだ終わっていません。

第54回のテーマは『消えた停車場線(伊豆箱根鉄道駿豆線編)』です。

このタイミングでしかやれなさそうなので…。

伊豆箱根鉄道駿豆線は明治時代から走っています。
大正時代の旧道路法で県道認定されたが、現在の道路法では認定されなかった停車場線県道があります。
今回はそれらを紹介します。



県道だけでなく旧道路法では郡道もありましたので、併せて紹介します。

なお、現行の道路法で消えた停車場線もそのうちにやりたいと思います。
※中部(駿遠線)西部(奥山線)がメインになりそうですが…。

<1・郡道>
郡道は最後にしようかなとも思いましたが時系列にするとこのポジションが書きやすいので最初に『停車場郡道』を紹介します。

本ブログではおなじみ、大正12年11月18日發行『靜岡縣田方郡制録』靜岡縣田方郡役所發行です。
『郡道路線認定調書』が記載されています。『停車場線郡道』をピックアップします。
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・大場停車場線     延長 貳町参拾四間五分(280m)
・原木停車場線     延長 壹町壹間(111m)
・畑毛大場停車場線   延長 壹里貳拾参間五分(3969m)
 ※縣道三島熱海線に拾丁貳拾九間(1144m)重用
・中 伊豆長岡停車場線 延長 拾六町四十八間(1832m)
 ※縣道靜岡下田線に四丁貳拾八間(487m)及び
  長岡伊豆長岡停車場線に壹町(109m)重用

です。メートル法に変換してみましたが自信がありません。

大場駅には『停車場線郡道』があったということです。
畑毛大場停車場線は、現道路法にて畑毛大土肥線で認定、その後現在、函南停車場反射炉線となった道のルーツでしょう。
(畑毛大土肥線→函南停車場反射炉線、はまだまとめていません。そのうちに…)

中 伊豆長岡停車場線は現在の韮山反射炉線のルーツでしょう。

本稿の主旨と関係ないですが、郡道大仁三津線に六拾参間(114.5m)渡船場延長があります。
田京駅の約150m北側の踏切のところで下田街道を分岐し、大門橋、小坂、長瀬、三津坂を経て三津まで至る道と思われます。
渡船が必要となる箇所は大門橋(現在は国道414号)しか思いつきません。
大門橋って渡船郡道だったんですね…。

<2・大正9年4月1日認定の府縣道>
旧道路法が大正9年4月1日から施行され、旧道路法による府県道が一斉に認定されました。
その第一号として下記が認定されています。
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・戸田韮山停車場線  (→現・静浦港韮山停車場線)
・大仁停車場線    (→現・大仁停車場線)
・長岡伊豆長岡停車場線(→現・古奈伊豆長岡停車場線)
・三島町停車場線   (→現・三島田町停車場線)

表中の三島停車場線は現在の御殿場線下土狩駅になりますので、本稿では除外します。
延長はメートル法の延長を<4・昭和17年7月31日の告示より>の所に記載しています。

なお、戸田韮山停車場線(→現・静浦港韮山停車場線)ですが、昭和17年10月19日に下記告示がありました。
松原橋付近の告示になります。
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場所がわからなったところは入れませんでした。
※南江間718-1は農地ナビが参考になります。
 一応、公図も調べましたが…。


<3・大正15年11月13日認定の府縣道>
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・畑毛大場停車場線 (→畑毛大土肥線→現・函南停車場反射炉線)
・八幡野修善寺停車場線(→現・中大見八幡野線)
・修善寺停車場線

郡道で認定されていた畑毛大場停車場線が県道になりました。
また、修善寺駅には停車場線県道がありました。
しかも、『八幡野修善寺停車場線』『修善寺停車場線』の2つです。
『八幡野修善寺停車場線』ですが、現在の中大見八幡野線(鹿路庭峠越え)のルーツでしょう。
中大見八幡野線は点線県道ですが、歴史のある道ですので、そのうちに取り上げます。

※鹿路庭峠=ろくろばとうげ と読みます。

なお、修善寺停車場線は昭和25年8月4日廃止されました。
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延長はメートル法の延長を<4・昭和17年7月31日の告示より>の所に記載しています。

<4・昭和17年7月31日の告示より>
昭和17年7月31日の靜岡縣告示第769號にて延長の更正が行なわれました。
まずは、大正9年4月1日認定分と大正15年11月13日認定分のメートル法での延長
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続いて昭和3年9月18日認定分
・韮山停車場韮山線 (→現・韮山韮山停車場線)
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続いて昭和11年4月21日認定分
・伊豆仁田停車場御園線 (→現・御園伊豆仁田停車場線)
・伊豆長岡停車場反射爐線(→現・韮山反射炉線)
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郡道で『中 伊豆長岡停車場線』だった道が県道になりました。

<5・昭和35年4月1日の告示・旧道路法の路線廃止>
県道路線の再編のため、旧道路法にて認定された県道は廃止されました。
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原木停車場線は旧道路法では郡道になったのみで県道とはならなかったようです。
現道路法では県道になっていることはご存知と思います。



<6・昭和27年4月製版『靜岡県三島土木事務所管内圖』より>
旧道路法時代末期の管内図です。起終点位置は正確ではありません。
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※本ブログは公的機関の公式発表ではありませんので、正式な情報が必要と
 される方は関係機関へお問い合わせください。

『伊豆箱根鉄道駿豆線 停車場県道シリーズ』はこれで終わりです。

※次回予告・緊急編集、神奈川県の『あの県道』(予定)


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※地理院地図は2019年3月8日現在。300×400ピクセル以内です。
※静岡県公報は著作権法第13条第2号の規定より、地方公共団体が発する告示ですので、著作権を有しないと考えられますので、そのまま転載しました。