静岡県伊豆半島北部の道路を研究していこう、というこのブログ

第43回のテーマは『県道修善寺戸田線』です。

2018年も残りわずか、ということで
2018年最後のテーマは番号にちなんで静岡県道18号修善寺戸田線です。

<1・旧道路法時代>
靜岡縣田方郡役所発行『靜岡縣田方郡制録』大正12年11月18日発行を確認しました。
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郡道『修善寺戸田線』が認定されておりました。
その後ですが、昭和3年9月18日の静岡県告示第503号にて
府県道戸田修善寺線が認定されます。

昭和17年7月31日の静岡縣告示第769號にて延長の更正が行なわれました。
それによると戸田修善寺線(旧道路法)は、認定路線延長は23999mで、
戸田村内で土肥沼津線に303mが重用とあります。
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逆に言うと、303m重用した地点に元々の戸田村の道路元標が
あったと推定されます。

また、昭和29年9月5日発行『修善寺町勢要覧 昭和29年』です
(静岡縣田方郡修善寺町役場発行)
発行から50年経過しているので、著作権保護期間満了と考えます。
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これによると、新井旅館前を境に戸田修善寺線、修善寺大仁線が変わっている
ようなので、新井旅館前に修善寺の道路元標があったと推定されます。


<2・現道路法にて>
恒例により認定の告示を見ていきます。
・認定(昭和35年4月1日)
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路線名は『戸田港修善寺線』でした。
起点は『戸田港』、終点は『2級国道下田三島線交点』とあります。

戸田は現在沼津市の一部ですが、平成17年(2005年)に沼津市と合併するまでは
『戸田村』でした。
現道路法を見ていただければわかりますが(検索すれば出ますので検索してください)、第七条で都道府県道の意義及びその路線の認定が定められています。
この中に、『村』を起終点にできる項目がありません。
一方、
五 主要地、主要港、主要停車場又は主要な観光地とこれらと密接な関係にある高速自動車国道、国道又は前各号のいずれかに該当する都道府県道とを連絡する道路
という項目があります。これを使って『戸田港』と『2級国道下田三島線』とを結ぶ県道として認定されたと思われます。
だから、『戸田港修善寺線』だったのだと思われます。

区域決定、供用開始も見ます。
・区域決定(昭和35年4月1日)
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・供用開始(昭和35年4月1日)
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認定時の起終点の場所は現在の場所とは異なりますが、その位置も含めて後述していきます。

※本ブログは公的機関の公式発表ではありませんので、正式な情報が必要と
 される方は関係機関へお問い合わせください。

<3・修善寺側の変更・その1>
この県道は路線名が変わって起終点が入れ替わりますので、修善寺側、戸田側とします。
昭和38年5月7日の告示です。
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戸田側はそのまま、修善寺側が変更になっています。延長が1.1km修善寺側で短くなりました。
認定時の地番、変更後の地番は下図です。
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認定時の地番ですが、元々の終点が『2級国道下田三島線交点』でしたので、ここを『2級国道下田三島線』が通過していたことになります。
越路トンネルの開通により国道の経路が変わり、それにより県道戸田港修善寺線が短くなったものです。
『平成28年4月1日現在 静岡県道路現況調書』によると、越路トンネルは建設年次の欄にS38とあります。

なお、細かい話ですが、告示だと『坪の内』ですが、土地宝典・公図だと『坪ノ内』です。

<4・戸田側の変更>
続いて昭和42年8月1日の告示です。沼津土肥線との交点がこのタイミングで現在と同じになっています。
沼津土肥線の変遷については改めて、とします。
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新旧分岐点の写真です。2018.7.29撮影
写真では旧道は曲げて書きましたが、元々は直線的だったと思います。
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戸田側、沼津土肥線交点(現:修善寺戸田線の終点)2018.7.29撮影
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<5・修善寺戸田線に変更>
昭和46年10月1日の告示です。
路線名が戸田港修善寺線→修善寺戸田線に変更、また、起終点が入れ替わりました。
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こちらはS41.3.25発行『静岡県統計年鑑 昭和39年』です(静岡県企画調整部統計課発行)。
『戸田港修善寺線』の当時、県道126号線でしたので、現在、県道126号線は欠番になっています。

<6・修善寺側の変更・その2>
平成4年9月11日の告示です。
戸田側はそのままで修善寺側の地番が変わって79.3m延長が伸びました。
修善寺道路の開通により、起点の位置が若干東に移動し、延長が伸びました。
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修善寺道路の開通でこの付近はかなり変わってしまいました。
以前の国道の線形は残されていません(図上、青いラインで示しています)。
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私がまだ子供のころ(昭和50年代)は修善寺ロープウェイの建物も残っていたと思います。

『起点の位置考察』
現在の起点は、信号機付き交差点が2ヶ所連続していますが、『ブロック接続起終点図』を見ると、東側(修善寺駅寄り)の
交差点が修善寺戸田線の起点です。このため、修善寺戸田線は国道136号とわずかに重用しています。
静岡県地理情報システムにて、『道路幅員図』を見ると、119.4m『一般国道136号重用』と書かれています。
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<7・データ集>

まずは『道路現況調書』のデータから。

<修善寺戸田線>
路線番号 1018
路線名  修善寺戸田線
読み   しゅぜんじへだせん
総延長  22169m
重用延長 145m
実延長  22024m
起点   伊豆市修善寺[国道136号交点]
終点   沼津市戸田[沼津土肥線交点]

出典『平成28年4月1日現在 静岡県道路現況調書』静岡県道路保全課

『一般国道・県道路線調書(昭和58年4月1日現在)』のデータを引用します。

・整理番号    18
・路線名     修善寺戸田線
・法第7条該当号 5
・起点      田方郡修善寺町
・終点      田方郡戸田村
・重要な経過地  (空欄)
・認定等年月日  昭35.4.1(第218号)認定
         昭46.10.1(第630号)路線名、起点、終点の告示改正
         昭48.1.20(第43号)整理番号の告示改正
・区域決定    田方郡修善寺町修善寺字栗原663番の1地先 から
         田方郡戸田村戸田字大中島321番の12地先 まで
・告示年月日   昭35.4.1(第220号)
         昭38.5.7(第245号)区域短縮
         昭42.8.1(第504号)
・供用開始    田方郡修善寺町修善寺字栗原663番の1地先 から
         田方郡戸田村戸田字大中島321番の12地先 まで
・告示年月日   昭35.4.1(第221号)
         昭42.8.1(第505号)
・沿革等     昭35.4.1(第218号)県道戸田港修善寺線で認定
         昭46.6.26(建設省第1069号)県道戸田港修善寺線が
         修善寺戸田線として主要地方道指定
         昭46.10.1(第630号)戸田港修善寺線は修善寺戸田線に路線名の
         告示改正

※認定時の経緯により『道路法第7条該当号』は『5』になっています。

静岡県庁にてH29.2.6に『道路台帳』を確認した結果、
『起点』伊豆市修善寺
『終点』沼津市
『供用開始の区間』『区域決定』についてはともに
伊豆市修善寺字栗原663番の1地先 から <注>
伊豆市戸田字大中島321番の12地先 まで <注>
になっていました。

<注>
戸田についてですが、『伊豆市戸田』は明らかに誤植で『沼津市戸田』が正、
また修善寺側も平成4年9月11日の告示で79.3m延長が伸びたハズですので、
『修善寺字清水前533番』が正と思われます。

なお、静岡県地理情報システムにて、地図切り替えで『道の情報』を選ぶと『道路台帳図』が閲覧可能です。
見たい路線を拡大してクリックすると右側にリンクが表示されます(2018年12月29日現在)。

併せてご確認ください


図上の『◎』が起終点です。
『道路現況平面図』『ブロック接続起終点図』などご確認ください。

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<8・その他>
修善寺戸田線は修善寺温泉場付近、北又付近に狭路があります。現地の青看は虹の郷方面に迂回する市道『110003 温泉場大芝山線』を案内しています。
ところで熱海大仁線は県道が狭いという理由で熱海市道との入れ替えが行なわれましたが、修善寺戸田線は市道と入れ替えはしないんでしょうか。
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※地理院地図は2018年12月25・26・27日現在。いずれも300×400ピクセル以内です。
※静岡県公報は著作権法第13条第2号の規定より、地方公共団体が発する告示ですので、著作権を有しないと考えられますので、そのまま転載しました。
※参考資料 『静岡県田方郡修善寺町土地宝典(修善寺地区)』
      昭和60年3月12日発行 帝国地図
      『静岡県田方郡戸田村土地宝典』
      平成2年4月22日発行 帝国地図三島営業所