静岡県伊豆半島北部の道路を研究していこう、というこのブログ
第36回のテーマは『県道仙石原新田線(その1)』です。
神奈川県・静岡県の越境県道の一つです。
今回は神奈川県内も扱いますので、いつやろうか、と準備していた『遠征編第1弾』になります。
神奈川県側はハルニチさんやあおまるさんがこれまで告示を紹介しているので、少々恐縮しますが、神奈川・静岡越境県道ということでお許しいただきたいと思います。
<1・静岡県側認定時の告示>
まずは恒例により認定時の告示ですが、静岡県側からです。
認定(昭和44年10月21日)
※裾野市の市制施行は昭和46年1月1日ですので、当時は駿東郡裾野町になります。
(出典:『裾野市統計書 平成29年版』)
区域決定、供用開始(昭和48年1月30日)
余談ですが、昭和45年3月27日告示で『整理番号337 畑毛大土肥線』が廃止になっています。
この間、約5ヶ月、整理番号337がダブっていたことになりますが、問題なかったのでしょうか。
※『畑毛大土肥線』は現在の『函南停車場反射炉線』の一部
静岡県側の考察は後ほど。
<2・神奈川県側認定時の告示>
続いて神奈川県側の告示です。
この項目はあおまるさんの『フィールドは果てしなく』『箱根最終決戦(概要版/246編前編)』
を参考にさせていただきました。この場をお借りしお礼します。ありがとうございます。
なお、公報の写真は撮り下ろしです。
認定(平成3年4月12日)
区域決定、供用開始(平成3年4月12日)
静岡県から遅れること約20年、神奈川県でも『仙石原新田線』の認定、区域決定、供用開始となっているようです。少し疑問が残る点もあります(後述→<6・『箱根町統計書』より>)
神奈川県内の延長について、2018年3月に問い合わせしたところ、2018/03/28に下記回答がありました。
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総延長=595m、実延長=595m、重用延長=0m
神奈川県県土整備局道路管理課 からの回答
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ご協力ありがとうございます。
上記の通り、
『総延長 イコール 実延長』かつ『重用延長ゼロ』です。
したがって、神奈川県内に重用区間はありません。
ウィキを見ると、『神奈川県道737号長尾芦川線と途中まで重複』といった記述があります(2018.11.17現在)が、重用延長ゼロですので、『誤り』、ということになります。
※その後、ウィキが編集されたとしても、本文はこのままとさせていただきます。
<3・神奈川県内のルート>
県西土木事務所小田原土木センターにて『道路台帳平面図』を調査しました。
お忙しいところ、対応いただき、ありがとうございました。
そのまま転載したいところですが、権利上問題があり例によって地理院地図に
落としてみました。
起点は、県道長尾芦川線交点となっています(重用はしていない)。
終点は、県境となっています。
地理院地図と線形が異なります。
登山系サイト『ヤマレコ』さんでGPSログらしき軌跡を見ることができますが、『ヤマレコ』の軌跡、道路台帳平面図、地理院地図の3者を比較すると、ヤマレコと道路台帳平面図は似ています。地理院地図だけは違います。
よって、道路台帳平面図は実際に近いのだと思います。
なお、静岡県側の起点も書き入れました。
神奈川県、静岡県、両者の図面を比較すると、道1本分(21m)、不連続となっています。
<4・現地写真>
まずは起点付近。訪問時、通行止めになっていました。
2018.10.14撮影
黄色マルの個所、案内図があります。
案内図です。
案内図の所在は、箱根町元箱根になるので、起点の住所は元箱根です。
下図の場所が通行止めでした。
続いて神奈川県側終点。別日に撮影
2018.5.27撮影
徒歩道が県道
『道路台帳平面図(1:1,500)』によると、黄色線のような線形
読みにくいですが、『昔は駿河(静岡県)への峠道なので、駿河津峠と呼ばれていました』とあります。神奈川県側の告示に『箱根町元箱根字駿河津峠166番地先』とありました。
そしてここから『静岡県道337号 仙石原新田線』です。
<5・周辺の道路>
取上げるタイミングがなさそうなのでこの機会で取り上げます。
【周辺の道路1・長尾芦川線】
仙石原新田線の起点へのアクセスに長尾芦川線を使いましたが、
『道路台帳平面図』を見ると、深良水門の方に曲がる道が県道のようで、
正面の『湖尻橋』は『道路台帳平面図』に記載されていませんでした。
2018.10.14撮影
【周辺の道路2・芦ノ湖スカイラインに続く道】
芦ノ湖スカイラインの特別区間(湖尻線)と県道湯河原箱根仙石原線を結ぶ道、
この道です。
ウィキの芦ノ湖スカイラインの項目を見ると、箱根町道に接続されている旨、記載されていたため、箱根町役場で確認しました
(箱根町役場確認日:2018.10.22、ウィキの確認日:2018.11.17)。
箱根町役場で分かったことは、『この道は箱根町の町道ではない』とのことでした。
では、どこが、管理しているのか。
箱根町の町道ではないのに箱根町に聞くのも変ですが、箱根町の担当者に聞いたところ、『■■■■■■センター園路1号』ではないか、とのことでした(答えはすぐ下に!)。
そこで、いてもたってもいられず、メールにて問い合わせしたところ、回答を得ました。
2018/11/01 にいただいた回答(神奈川県自然環境保全センターからの回答)
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お問合せのあった道路は、自然公園法に基づく「公園車道」として設置されています。
管理者: 神奈川県自然環境保全センター
路線名: 園路1号線
延長: 815m
開通時期: 昭和35年
神奈川県自然環境保全センター 箱根出張所
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お忙しいところ、ご対応いただき、ありがとうございました。
この道、道路法の道路ではなく、自然公園法に基づく「公園車道」とのことです。
ウィキが何を根拠として『箱根町道』と書いたのかわかりませんが、国道でも県道でもない→市町村道、と安易に考えるのは危険です。
※他にも同じような事例を確認しています。
※その後ウィキが編集されたとしても、このままとさせていただきます。
延長が815mとのことなので、県道から815mを地図上で測定すると下記になります。
延長を測定しただけなので起終点があっているかどうかわかりませんが参考まで。
2018.12.08追記
写真を見返していたら次の写真がありました。
2018.3.11撮影、湖尻新橋付近
『凍結スリップ注意』の下に『自然環境保全センター』とあります。
これが管理者だったとは…。
<6・『箱根町統計書』より>
歴代の『箱根町統計書』を見ていたら意外なことに気づきました。
『箱根町統計書 昭和43年度版』S44.4発行 神奈川県足柄下郡箱根町企画室
→ 仙石原新田線の記載なし。
『箱根町統計書 昭和44年版』S45.2発行 神奈川県足柄下郡箱根町企画課
→ 『仙石原新田線』と記載あり。ただし延長が空欄
『箱根町統計書 昭和45年版』S45.12発行 箱根町企画課
→ 『136号 仙石原新田線』道路延長 1,000m
数値は左から、道路延長、橋りょう延長、隧道延長、実延長、県管理延長
『統計はこね 平成元年版』H元.12発行
→ 『路線番号136 仙石原・新田線』 総延長・道路延長 1,000m(平成元年4月1日)
『統計はこね 平成2年版』H3.1発行 箱根町企画課
→ 『路線番号136 仙石原・新田線』 総延長・道路延長 595m(平成2年4月1日)
『統計はこね 平成29年版』H30.3発行 は、箱根町ホームページで確認できますが、
→ 『路線番号738 仙石原新田』 総延長・道路延長 595m(平成29年4月1日)
になっています。
『仙石原新田線』が昭和44年版から登場します。
上の方で書いた通り、平成3年4月12日の告示で認定されたんじゃなかったっけ??
箱根町企画観光部企画課広報情報係様より許可を頂き転載しました。
お忙しいところご協力くださりありがとうございます。
そういえば、県西土木事務所小田原土木センターで確認した『仙石原新田線の道路台帳平面図』ですが、図面の左上に縦書きで『昭和五十九年九月三十日調製』と書かれていました。
この県道、実際いつ誕生したんでしょう??
※地理院地図は2018年11月10日・13日現在。いずれも300×400ピクセル以内です。
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その1はここまで。その2に続きます(静岡県側の考察はその2になります)。