静岡県伊豆半島北部の道路を研究していこう、というこのブログ
(相変わらず伊豆半島南部を取り上げています)

第12回のテーマは『国道135号(東伊豆町内)前編』です。

①有料道路『東伊豆道路』
 ・昭和37年8月 熱川区間(八幡野ー片瀬)
 ・昭和42年4月 稲取区間(片瀬ー河津)
 がそれぞれ完成。<出典:東伊豆町誌50頁>

②昭和53年1月14日『伊豆大島近海地震』発生。
 稲取~白田間の国道135号(旧道)が通行不可となった。→代替路建設
 
③昭和57年3月27日、上記②の代替路『稲取・白田バイパス』完成
  <出典:広報ひがしいずS57.5 第101号 8頁>

④昭和57年4月1日『東伊豆道路』無料開放
  <出典:広報ひがしいずS57.5 第101号 9頁>

⑤『東伊豆道路』無料開放による国道135号(旧道)の市道・町道への格下げ
 通行不可となった稲取~白田間の国道135号(旧道)の廃道処理と一部区間町道認定

代替路『稲取・白田バイパス』町道への格下げ

と東伊豆町内の国道135号には時代時代で変遷が見られます。

今回の記事では国道135号のうち、東伊豆町内を取り上げます。
なお、関連性の高い、国道135号旧道(現市道)の伊東市八幡野~赤沢間も併せて取り上げます。

前編は①~④まで(代替路『稲取・白田バイパス』完成と『東伊豆道路』無料開放まで)をまとめました。
告示とその解説図中心で現地写真はほとんどありません。

※超有名・超優良・無料サイト『山さ行がねが』様『国道135号旧道トモロ岬』など
 参考にご覧いただければ、と思います。
※ほかにも優良サイト多数

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<東伊豆道路 熱川区間>

まずは、『東伊豆道路』熱川区間区域追加の告示(昭和37年7月3日)と供用開始の告示(昭和37年8月24日)です。
併せて『自動車専用道路』指定の告示も出ています。供用開始日は8月29日になっています。
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※『自助車専用道路』とか『昭和73年』とか『昭和27年』とか誤植が多いです。

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<東伊豆道路 稲取区間>
続いて、『東伊豆道路』稲取区間区域追加の告示と供用開始の告示(昭和42年4月21日)です。
供用開始日は4月25日になっています。
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※供用開始は『浜松土木事務所において一般の縦覧に供する』とありますが、
 下田土木事務所では一般の縦覧に供されなかったのでしょうか。
 そもそも『一般の縦覧』ってどのくらいの人が見に来るのでしょう?

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2017年6月10日撮影
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東伊豆道路(稲取区間)
路線名 一般国道135号 下田小田原線
総延長 13022M(内隧道延長753M 橋梁延長167M)
起 工 昭和38年12月12日
完 成 昭和42年3月28日
日本道路公団

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<伊豆大島近海地震>
昭和53年1月14日午後0時24分頃、伊豆大島近海海底を震源とする地震が発生。
稲取黒根地区の海岸沿い急斜面が崩壊し、国道135号線(旧道)の3本のトンネルを含めて延長1,120mにわたって被災し、その一部では道路が山腹もろとも大崩壊し殆ど原形をとどめない状態となった。
(平成元年3月31日発行『東伊豆町誌』より引用)

地震により東伊豆町や河津町に大きな被害が発生しました。
国道135号(旧道)の被災区間は通行不能となってしまいました。そのまま復旧されることなく放棄されました。
後に廃道処理されます(後述)。

<『稲取・白田バイパス』区域決定>
昭和55年5月16日告示にて代替路となる『稲取・白田バイパス』の区域が決定されました。
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『変更前』
①:6136.0mの区域が現道(現在も国道135号現役区間)
②:4046.0mの区域が稲取~白田間の旧道(被災区間を含む)
③:637.1mの区域が白田~片瀬間の旧道
と思われます。

下図は推測です。本ブログは公的機関の公式情報ではありませんので、公式情報を必要とされる方は関係機関にお問い合わせください。
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『変更後』
A:6136.0mの区域が現道(現在も国道135号現役区間)上記①と同じ
B:10660.6mの区域。上記②の被災していない区間+代替路+上記③の一部
C:1390.0mの区域。上記②の被災区間
D:205.2mの区域。上記③の区間のうち、Bに吸収された区間の残り

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※地番・延長より推測
※『稲取字合ノ沢3009番の31地先から白田字清水1727番の19地先まで
 1390.0m』が残っています。 
 したがって、この時点では、『被災区間は国道135号の区域のままだった』、
 と思われます。
※『片瀬字山下180番の1』は昭和40年12月15日発行の土地宝典を参考にしました。
 片瀬地区は区画整理されてしまい、この場所は現在別の地番となっています。
※白田地区の地番の位置(『白田字馬場312番の3』『白田字馬場320番の14』)は
 参考資料欄記載の土地宝典図を参考にしました。
 白田地区も区画整理されてしまいました。同じ地番を公図で探すと別の場所に
 なってしまいます。
 区画整理により当時の線形も失われてしまいました。

<『稲取・白田バイパス』供用開始>
ハルニチさんのところでも取り上げられていましたが、昭和57年3月26日の告示です。
『稲取・白田バイパス』の供用開始です。供用開始は翌日、昭和57年3月27日となっています。
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<『東伊豆道路』無料開放>
昭和57年3月30日の告示です。『東伊豆道路』無料開放に伴い、4月1日で自動車専用道路の指定が解除されました。
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代替路『稲取・白田バイパス』供用開始の5日後に『東伊豆道路』が無料開放され
大廻りしなくても無料で通過できることとなりました。なんというタイミングでしょう。
これではせっかくの代替路が浮かばれないではないか。

この後、国道135号の旧道区間区域の解除が行なわれ、それに伴い、すでに取り上げましたが、『県道稲取停車場線』『県道熱川片瀬線』の区域変更などが行なわれます。
次回に続く)



※地理院地図は2018年6月12日現在。いずれも300×400ピクセル以内です。
※静岡県公報は著作権法第13条第2号の規定より、地方公共団体が発する告示ですので、著作権を有しないと考えられますので、そのまま転載しました。
※参考資料 『静岡県賀茂郡東伊豆町土地宝典』平成元年7月20日発行 帝国地図
      『東伊豆町誌』平成元年3月31日発行 編纂 東伊豆町誌編纂委員会、
      発行 東伊豆町

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2018.9.12 追記

S57.3.26の告示で、代替路『稲取・白田バイパス』がS57.3.27供用開始となっていますが、供用開始区間が不連続となっています。

この不連続を埋めると思われる告示がS58.1.4に出ていました(S58.1.20供用開始)。なぜ、タイムラグがあったかは不明です。
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※地理院地図は2018年9月12日現在。300×400ピクセル以内です。