十五夜の空には雲が浮かび、”月見る月はこの月の----”を堪能できたのですが、翌日の十六夜の空には一点の雲のない晴れ上がった夜空でした。
首都圏からはるばるこられた5人の茶人方は、ホテルに宿泊の構えでお出でになってます。
通常の茶事の流れとは少し趣向を変えて、寄り付きでオブの後主菓子を出して腰掛へ出ていただきました。主菓子は新栗を蒸して中身を取り出しキントン仕立てに煉って、こしあんを包んで茶巾絞りにした、銘は「山苞(やまづと)」。
濃茶席の小間に懸かる軸は妙心寺25代管長梶原逸外老師の筆で「明歴々」、今晩の夜空を予想したわけでもありませんがロウソクの光に揺れる墨蹟は迫力満点でした。
濃茶席の亭主は私が務め、重ね茶碗でお出ししました。
食事は広間へと移っていただき、適度に酒も入って和気藹々の話が弾み、月の出を忘れてしまうほど。いつしか十六夜の月は中空に懸かり、縁側の障子を開けて皆さん観月暫し。
広間の床には台風の風雨で横倒しになった山野草の中から、ホトトギス・紫と白のフジバカマ・ツリガネニンジン・タカノハススキを素人作りの重い花器に活けて月の兎に捧げます。
床に懸かる軸の絵は江戸時代中期の浮世絵師菱川春嶠描いた「兎の餅つき」、目つきが印象的な描き手の心情への想いが広がる絵です。彼岸へ渡る者が携えるための餅をつきながら、通りかかる人を待っているようです。食事の後半には亭主方である我々も膳を持ち出し相伴させていただき、話の輪に入りました。
食後、ころあいを見てその場で、家内が薄茶を供しました。熱い薄茶はことのほか美味しかったです。干菓子は亀屋良永製「月」にトマトの甘納豆を添えました。
皆さん愉しんで帰られました。 ソウカン






