伊豆の下田市にある「恵比須島」は、流線形の縞模様が美しい海底火山の地層などが見られるジオサイト。

 

磯遊びができる千畳敷や海底遺跡のような採石跡もあり、山頂の恵比須神社周辺では古代人が神々に祈りを捧げた祭祀跡も発見されています。

 

 

恵比須島について

海底火山の記憶を残す信仰の島

伊豆半島の南部には、太古の海底火山の噴出物が広く分布しています。長い海底火山の時代の後、伊豆全体が隆起と浸食を受けたため、本来は地下に埋もれていたはずの美しい内部構造を直接見られるようになったのです。

恵比須島は、こうした海底火山の地層のほか、隆起と浸食がつくった地形や、海と向き合って暮らしてきた人間活動の証拠など、見どころ満載の場所です。
島の周囲に広がる磯遊びスポット「千畳敷」は、波が削った浅瀬が、その後の隆起によって海面上に姿を現した「波食台」です。


島の頂上にある恵比須神社付近には、古墳時代から奈良時代の祭祀跡(焚き火の跡等)が発見され、「夷子島遺跡(えびすじまいせき)」として下田市の文化財に指定されています。ここは古代人が「海の神」に祈りを捧げた場所と考えられています。

近くにある「須崎恵比須島指向灯」は、今も下田沖の水路を照らし、行きかう船を導いています。

 

恵比須島を一周する遊歩道では、2種類の地層が見られます。

白~灰色の縞模様が美しい砂の層は、火山から噴出した軽石や火山灰が海底に降りつもったり、海流に運ばれたりしてできたものです。
角ばった岩を多く含む地層は、海底を流れた土石流です。(案内板より)

 

 

須崎半島の南端に位置する恵比須島へは、橋を渡って行くことができます。

 

 

 

島内には、島を一周できる道と山頂まで続く道がありますが、今回はまず外側の遊歩道を右回りで行くことにしました。

 

 

 

遊歩道は海面に近いので、磯の様子がよく見えます。

訪れた時は干潮だったので問題ありませんでしたが、満潮近くで風が強かったりすると遊歩道にまで波が押し寄せるので注意しましょう🌊

 

 

 

岩に囲まれたところには天然のプール(潮だまり)も現れます。

水が底まで透き通ってものすごく綺麗なので、シュノーケリングにもピッタリキラキラ

 

 

 

こちら側では、海底を流れた土石流の黒い地層を見ることができます。

 

 

 

南端にある高台からは、伊豆石の採石跡もよくわかる千畳敷が一望。

人工的な四角い窪みが石を切り出した跡なのですが、なんだか海底遺跡みたいで素敵です💖

 

 

 

 

ここまでくると完全に外海になるので、島に打ち寄せる波も荒っぽい。

波しぶきを浴びながら釣りをしている人もいました。

 

 

 

高台にはベンチや日時計などもあります。

 

 

 

千畳敷と採石跡

磯遊びスポットで地面の動きを探る

恵比須島の周囲には、「千畳敷」と呼ばれる平坦な磯が広がっていて、絶好の磯遊びスポットになっています。

この千畳敷は、波に削られてできた平たん面が隆起して海面上に姿を現したものです。


千畳敷の中にある人工的に作られたようなくぼみは採石の跡です。

海底につもった火山灰や軽石の地層は、加工しやすく耐火性も優れた石材として伊豆の各地で産出されていました。

こうした石材は伊豆石(伊豆軟石)と呼ばれ、下田市街地をはじめとした古い街並みの中に使われています。(案内板より)

 

 

 

ここからさらに上っていくと、木立の中にひっそりと建つ「恵比須神社」へ辿り着きます。

私が訪れた時、祠の前で猫が休んでいました🐈‍⬛

 

 

 

夷子島遺跡(下田市指定史跡)について

海と向き合う人々の祈りの地

ここ夷子島遺跡(えびすじまいせき)は、古墳時代後期から奈良・平安時代にかけての祭祀遺跡で、古代の人々が海神(わたつみ)や伊豆諸島の島神に祈りを捧げた場と考えられています。
1959年に実施された発掘調査では、多数の祭祀用の土器などが出土し、かがり火を焚いたと思われる跡も3ヶ所確認されました。

 

伊豆半島南部の岬や小島には古代の祭祀遺跡が多くみられます。

これは、険しい山が海にせまり、狭い平地しかないという地形が、人々の生活と海とのかかわりを深め、海や島々への祈りを生んだためと考えられます。(案内板より)

 

 

神社のすぐ隣には「須崎恵比須島指向灯」があり、下田沖を行き交う船を見守っています。

 

 

 

須崎恵比須島指向灯について

須崎恵比須島指向灯は、昭和47年1月27日設置点灯されました。
この指向灯前方海域は、暗礁等が多散在し危険な航路であるため、東進する船舶を安全に導くために指向灯から前方に、赤、白、緑の三色の光を投射し、船舶に安全水域及び危険水域を光色により示す航路標識で重要な役割りを果たしています。
この指向灯の動作状況は常時有線で下田海上保安部で監視を行っています。
なお、西進する船舶の道しるべとしては石廊崎指向灯があります。(案内板より)

 

 

島の入口から続く階段を上っていくとこの場所に出るので、ショートカットしたい場合は山頂経由で南端に抜けるということも可能。

 

来た道を戻り、再び海沿いの遊歩道を歩いていくと、今度は美しい流線を描く地層が見えてきます。

自然が創り出した見事な芸術品なので、これはぜひ動画でたっぷり見て欲しいルンルン

 

 

 

 

この辺りの千畳敷はとても広く波も穏やかなので、磯遊びには人気のエリア。

遊歩道の上からでも小さな魚がたくさん見えましたうお座

 

 

 

今回は、島をぐるっと一周し、山頂の恵比須神社まで行きましたが、所要時間は30分程度。

 

遠い昔に、ここで神々に祈りを捧げたり、力を合わせて石を切り出している人々がいたというのを想像しながら歩くと、また違った景色が見えてくるので面白いですニコニコ

 

波の穏やかな干潮時なら気軽に散策を楽しめるのでぜひ訪れてみて下さい。