QUEEN と私 ~ 行ってきました 映画『ボヘミアンラプソディ』
※公開中の為、ネタバレは控えたつもりですが、少々バレっております
まだ未見の方は映画を観てからご覧頂くことをお勧めします
なお、当ブログにシンセサイザーは使用しておりません
『ボヘミアンラプソディ』という映画。
当初は、フレディを他人が演じるなんて考えられないし、公開された予告編を見てもフレディ役は案の定全然似ていない。何よりもハリウッド映画にありがちな、フレディのゲイの部分に過剰にスポットを当ててスキャンダラスに描かれてるんじゃないかという危惧が大きすぎて、観に行くかどうか直前まで迷っていました。
何故こんなにもたかが映画に構えてしまったのか。。。
たかが QUEEN、たかがフレディ・マーキュリーの映画なのに。。。
かなり前にこのブログでも取り上げました(→コチラ)が、改めて語らせて頂きます。
自分にとって QUEEN というバンドはそれほどのめり込む対象では無かったし、リアルタイムで最初に聴いたのは1985年にフレディがリリースしたソロ曲で、後に QUEEN 名義でリメイクされ、日本のドラマ主題歌に使われて何故か日本では QUEEN の代表曲扱いになってしまった "I WAS BORN TO LOVE YOU" でした。このエレクトロ・ポップが馴染んでいたので、QUEEN名義のリメイクが未だに馴染めていません w。
ノエビア化粧品のCMでサビの部分が頻繁に流され、耳に残るフレーズで気に入りましたが、あくまで数あるTOP40の中の1曲という扱いで、そこから QUEEN を遡って聞き出す訳でもありませんでした。当時の自分を何故ここでハマっとかなかったのかと殴りに行きたいほど、"華麗なるスルー "状態。
当時は QUEEN というと、 JOURNEY や TOTO といった、ひとつ上の世代のバンドという認識で、"今" 聴くモノでは無いという感じだったんですよね。
1985年の LIVE AID もリアルタイムで観ていたはずですが、QUEEN の印象は殆ど残っていません。我ながら何て奴だ w。
当時は (今もですが) 洋楽と同時に映画が好きだったので、『アイアン・イーグル』や 『ハイランダー』 (共に1986年公開) のサントラで耳にする程度でした。
アルバムを揃え、関連本を買い漁るまでになったのはもう少し後。
某 B! 誌にフレディ死去のニュースや、1992年に行なわれた追悼Liveの記事が載ってもふ~ん程度でした。。。。書いていて益々当時の自分を殴りに行きたくなる !! w
1992年、追悼コンサートと同年に公開された映画『ウェインズワールド』 (米の人気バラエティ番組サタデー・ナイト・ライブの中の1コーナーとして始まり、人気を博して映画化された。ロック好きなウェインとガースの2人が、自宅の地下室からケーブルTVでおバカなトークを展開する番組を配信するという内容。独特な言葉遣いが当時の若者に流行り、辞書まで作られた) で殆どネタとして取り上げられていたのをキッカケに、ようやくベスト→アルバムと遡っていったのです。因みにこのウェインズワールド効果で、ボヘミアンラプソディのシングルがリリース17年後に全米2位になるという怪現象を引き起こしました。この車の中でボヘミアンラプソディをかけて頭を振るおバカなシーン、実は生前の
(というより亡くなる直前の) フレディも見ていて、使用許可を与えていたという由緒正しきシーンなのでした。
※主演のウェインを演じたマイク・マイヤーズは今回の映画に、ボヘミアンラプソディのシングルカットに反対するレコード会社の(架空の)人間として出演、「こんな曲がラジオでかかっても若者が車の中で頭を振れないだろ !!」と言わせ、お前が言うかと笑わせてくれます w
アルバムを入手する度、有名な曲は知っていましたが、"この曲知ってるぞ !!" "おぉっ、この曲かっけ~ !!" と、ジャンルにとらわれない音楽性に今更ながら打ちのめされたのであります w。それからは、何故もっと早く聴かなかったのかと自責の念にさいなまれつつも、映像作品や関連本まで買い漁る日々。当時はネットオークションやamazonなんてありませんでしたから、ひたすら中古屋で見つけては買っていましたね。
'92年のフレディ追悼コンサートのビデオ(LDも)も買って、今更涙ながら観るという大馬鹿者なのでありました。同じ時代を生きていたのに、その素晴らしさに気付くのが遅すぎた。。。QUEEN、フレディに対して私が抱える一種の罪悪感とトラウマです。。。
そんな "今一歩踏み入れられないファン" だった私に転機が訪れます。
2003年、1986年のウェンブリー・スタジアムでのLiveが初DVD化された際、東芝EMI (当時の日本でのレーベル) が代々木公園で行なった野外試写会 (最後に来日公演を行なったのがLIVE AIDの2ヶ月前の代々木体育館だったからという趣旨だった)。たまたま申し込み締め切りの前日に知ってダメ元で申し込んだら当選。車で代々木公園まで行って、発売日前にDVDもゲットできて喜んでいたのですが、試写会開始直前に今で言うゲリラ豪雨 (もうあまり言わないか w) が降り出して、スクリーンが張られた野外舞台の屋根の下に参加者を非難させるなど、一時は開催が危ぶまれました。何とか小雨に収まったのを見計らって開催され、さながら実際の会場に居るかの様な参加者の皆さんの盛り上がりに、私もそれまで抱えていた鬱積した感情を吹き飛ばし声援を上げ、皆さんと一緒に大声で歌い、終った後は人目もはばからず泣きました。そんな私の肩を代わる代わるポンポン叩いてくれた周囲の人たち。
駐車場の車に戻っても暫く泣き止む事が出来ず、帰りは見たばかりのウェンブリーのCDを大音量でかけて歌いながら帰ったあの日を境に、QUEEN に対する何かが変わったのでした。あの体験が無かったら、今でも私は屈折した感情のまま "QUEENが好きだ" と公言出来ずにいたでしょう。
QUEEN はメンバー個々のソングライティングと演奏力の高さによって、アルバムで聴ける繊細なまでに練りこまれたアレンジの曲を作り出し、その魅力はLiveで増幅し、そのLiveで観客を魅了していたのは、まぎれもなくフレディだったのです。
2016年のアダム・ランバートを伴っての来日公演で、初めて QUEEN のLiveを生で体験しましたが、素晴らしさの質が違っていました。アダム自身の歌唱力、キャラクターや見せ方は一級のエンターティナーとして素晴らしいものでしたが、途中でフレディの映像を使ったりと、あくまで "フレディありきのQUEEN" を追体験するトリビュート公演でした。
フレディが亡くなった後、ブライアンとロジャーに説得されて追悼コンサートに出演したジョンが、その後は引退して QUEEN に一切関わっていないというのが全てでしょう。
何をどうしたところで、"あの QUEEN" は二度と見られないのです。
その二度と見られない QUEEN の、フレディの映画『ボヘミアンラプソディ』。
冒頭に書いた様に複雑な心境でしたが、最悪、映画館の大音量で QUEEN が聴けりゃいいかと、かなりハードルを下げた心境で地元・立川のシネマシティへ観に行きました。
このシネマシティ、映画好きには少々有名で音響にかなり力を入れていて、都内で初となるTHXの認定を受けたことでも有名 (シネマシティにはONEとTWOがあり、THX認定を受けたのはシネマONE。今回の作品を上映しているのはTWO) 。
更に、限定的ですが作品ごとに音響調整を行い、爆音上映や極上音響上映を行なっています。そして、このシネマシティは過去2回 QUEEN のLIVE作品を普通のLIVEと同じ様に鑑賞できる "LIVEスタイル上映" を実施していて、その2回とも参加しました。
フレディに扮した社員さんが前説を行なったり、とても大盛り上がりで、2回目の『ライヴ・イン・ブダペスト~ハンガリアン・ラプソディ』の時には、ライヴ等に使用されるウーハーを追加導入したとかで、その初回上映として爆音上映でした (シネマTWOでは KIC リアルサウンドシステムというオリジナルのシステムを導入していて、中でも一番広くて爆音上映にも使用される a スタジオは、音響が凄いです。今回の作品は回によって上映するスタジオが違いますが、是非 aスタでの鑑賞がおすすめです)。
そんなんで、何気に QUEEN の映画 = シネマシティという感じにはなっています w。
そして事前にチケットを取る為に調べると、今回の『ボヘミアンラプソディ』も極上音響上映。さすが、やってくれるねぇと、安心してチケットを取りました。
公開前にサントラがリリースされていたのも知らなかったので、映画本編前の20世紀FOXのファンファーレ・レッドスペシャルVer.で鳥肌。。。そして、冒頭のLIVE AIDへ向かうラミ・マレックの後姿。かなり線が細いけど "フレディ。。。" と、早くも涙腺崩壊。。。
その後、若い頃のフレディに関しては、どっちかというとミック・ジャガー ? って感じでしたが w。再現度で言えば、ブライアン・メイ役のグウィリム・リーがハンパなく、外見から喋り方からそっくりで、徐々にスクリーンの中の4人が QUEEN に見えてくるのでした。
余談ですが、フレディの恋人、ジム・ハットン役のアーロン・マカスカーもかなりそっくり。
最後のLIVE AIDのシーンは、" Crazy Little Thing Called Love" と "We Will Rock You"
の2曲がカットされているものの、QUEENファンとしては、良くもここまで再現したものだと感心・感動させられます (ピアノの上の飲み物や、ステージ袖のやぐらに座っている人まで) 。
因みにこのLIVE AIDのシーンは何と、この作品の撮影初日だったそうで、それだけでも大変なのに、撮影をブライアン・メイとロジャー・テイラーが見守っていたとのこと。
そんなプレッシャーの中、緊張感と俳優陣の "(ご本人たちの前で)やったるで !!" という覇気があのステージ再現に迫力をもたらしたのかも。。。と思います。
ソフト化され、現存しているLIVE AIDの映像は'85年当時のビデオ映像なので、お世辞にも画質が良いとは言えず、音声も途中途中でハウリングを起こしている (映画にも描かれている通り、出番の直前にマネージャーがPAの音量を上げた為) ので、記憶と補完して "あのステージ" が再現されました。なおかつ、極上音響上映で、お腹に響く重低音。もう、立ち上がりたいのを我慢するのが大変でした。
そう、始めは微妙だったフレディ役のラミ・マレックが、ここまで来るともうフレディになっていました。映画というより、LIVE映像。今は建て替えられてしまったウェンブリー・スタジアムがCGによって再現され、極上のシステムで鳴らされるスタジアム・サウンドで身体も心も震わせられました。しかし、あまりに事前の情報を仕入れていなかったので、このLIVE AIDで映画が終ってしまって "え? もうおしまい ?" と、呆気に取られてしまいました。事前に何処までを描いているのかも知らなかったのもありましたが、それだけ2時間13分があっという間に感じられたという事でしょう。そして極めつけはここまで観てきてのスタッフロールでの Don't Stop Me Now でご本人登場。もう、「フレディ !!」と叫びたい気持ちを抑えるのに必死でした w。
映画としての演出上、かなり史実と違う事や、時系列がおかしい部分は多々あります。
しかし、それを突っついても仕方ないし、企画を立ち上げたブライアン・メイ、ロジャー・テイラーも作品を観て認めているのだから、そこは良しとしましょう。これはドキュメントではなく、娯楽映画作品なのですから (かなりブライアンとロジャー寄りに "改変" されてはいますが)。
そう、娯楽映画作品なのだから、あの LIVE AIDで終って良かったんだと。
冒頭で危惧していたスキャンダラスさはかなりオブラートに包まれていて、それよりも
QUEEN の、フレディの黄金期を描いた娯楽作品となっていたのが一番嬉しかった。
因みにどこがどう実際と違うのか、史実が知りたければ、レスリー・アン・ジョーンズ著
『フレディ・マーキュリー 孤独な道化』(ヤマハミュージックメディア)、ピーター・ヒンス著『クイーンの真実』(シンコーミュージックエンタテイメント)、フレディのその後を知りたければ、"最後の恋人"ジム・ハットンが書いた『フレディ・マーキュリーと私』(ロッキングオン)がオススメです。。。
QUEENが好きな人には勿論、QUEENを知らない若い世代にも観て欲しい作品です。
ただ、どうしてもファン目線で観てしまうので冷静に映画としてどうなのかという評価が出来ない作品でもあります。良くも悪くもQUEENありき、フレディ・マーキュリーありきの映画ですので。。。この作品をキッカケに、若い世代に QUEEN の音楽が伝わって行ってくれれば良いなと思うのでありました。
11月24日のフレディの命日に、もう1回観に行こうと思っています。
Dear freddie, I Still Love You...
