日系のグローバル企業は、ISDをアメリカ以外のTPP参加弱小各国に対して発動する気でいる。アメリカがカナダやメキシコにやったことと同じことを模倣しようと考えているのだ。ISDを使ってこれらの国々の門戸を無理矢理こじ開けようとしているわけだ。
例え日本がアメリカにISDで攻撃されることになっても、多国籍に展開しているグローバル企業として見れば損害よりも利益の方が遥かに大きい。この誘惑が日本政府と官僚を操り、ISD条項の導入を提起している。
この構図には既視感がある。かつて日本が列強の仲間入りを望み、植民地主義と拡張主義へと踏み出した時と酷似しているのだ。
当時の西洋列強は、科学文明で劣る世界の国々を武力で制圧し、自分たちに都合の良いルールを押し付け支配していった。当初日本はそれら征服されるべき国の一つに過ぎなかったが、幸いにも急速な西洋化に成功し、ついには列強と肩を並べるほどの軍事力を手に入れた。
そこに至って日本は何を思ったか。それが列強の模倣だ。日本は列強に倣い、その傲慢な対外政策を自らも行うこととした。
有色人種国家で唯一西洋列強に対峙しうる新興国家となった日本。アジアの希望と呼ばれたその国は、西洋式の外交戦略へと傾倒し、列強の一員になる道を選んだ。
現在の日本のTPPのISD条項への固執は、アメリカ式の強行商売を実践したいという日系グローバル企業の願望が源泉となっている。様々な理由で日本国内では身動きがとりにくいと感じている企業は、アメリカのように強引なえげつないやり方で商売をしてみたいと願っている。まるで、かつて日本が西洋列強と同等に植民地を欲したようにだ。当時、その動機を後押ししたのは財閥と呼ばれた今で言うグローバル企業だ。
もしTPPにISD条項が付加され、そして日本がその権利を他国に行使すれば、この国は再び世界の弱き者たちからの信頼を失うだろう。日本もまたアメリカと変わらない、建前だけは自由平等を掲げながら金のためならどんなあくどいことでも平気でやる。それが未来の日本に対する世界の評価となる。
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