楽しい時間はあっという間
ライブが終わり
俄かラテンファンになった私は
余韻にひたり
集団にもまれながら
出口に誘導される

出口の明るさをながめながら
木戸くんはいるかな
もう一度会いたいな
でも仕事中かな
と色々な気持ちが錯綜する


キョロキョロするわたしを
迷子になるよ
と先輩が腰を引き寄せる


人の流れにのり
出口を出た


後ろ髪をひかれ
諦める気持ちになったとき

ぐいっと
腕を掴まれ人の流れから
あっという間にだされる


驚きながらわたしの
腕を掴んでいる
あなたをみる


りーちゃん
久しぶりだね


ああ大好きな
大好きだった
あなたの笑顔

普段は少しつり目で
怖い顔なのに
笑うと目が垂れて
優しくなる


イベントのバイトしてるんだ
これ連絡先


紙切れをくれる



まだ仕事
今度会おう




うん
ありがとう

とやっと声をだせるようになる



じゃ


あなたは
足ばやに会場にもどっていく



しばらく後ろ姿を見送り

はっと気づき
駅の方角をみると


人がはけていく中


先輩の姿がみえた



足ばやに先輩に近く


初めてみるような
複雑な表情の先輩
一言


誰?




小学校の時の同級生



マジで?
偶然?


そうなの



普段の明るい顔に戻り

みんなのところに
行こう

と手をとられる


少し驚きながらも
ぐっと
先輩の気持ちを
手に感じ
2人で
大騒ぎしている
仲間の中にもどった


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