―――あぁ…もうこんな時間か…
窓を打つ雨の音で目が覚める。
どうやらいつの間にか眠っていたらしい。
ベッドの正面にあるテレビからは深夜特有の通販番組が流れている。
テレビを消し再びベッドに横になるも眠れそうにない。
「ふぅ・・・」
雨の音に耳を傾けながら目を閉じる。
そういえば彼女はどうしているのだろう、とある人のことが頭をよぎる。
幸せな夢を見られているのだろうか―――
彼女に出会ってからもう1年が過ぎた。
明るい性格でお茶目な性格の人だな、というのが初めて会ったときの印象だった。
歌うことが大好きで、踊ることが大好きで、
ときにはわがままで…
私たちは毎日笑顔で言葉を交わし、ときには喧嘩もして過ごしてきた。
だが彼女は今、日に日に弱ってきている。
笑顔で言葉を交わすこともなくなってしまった…
傍でやせ細っていく彼女に対して
私は何をしてあげられるのだろう?
答えの決まっている問いがまた頭に浮かぶ。
私が彼女にしてあげられることは限られているのだ。
毎日傍で、声を、話を、笑顔を向けてあげることだけなのだ。
そう分かっているのに…
「大切にしてもらっているから幸せだ」
彼女の家族はそう言っていたけど、本当にそうなのだろうか。
言葉を忘れたかのように、
ただ生きるために呼吸をして過ごしているように見える彼女は、
幸せな気持ちで毎日を過ごせているのだろうか。
寂しい思いをしていないだろうか。
不安な思いをしていないだろうか。
彼女の言葉を得られない私には、彼女の気持ちを想像することしか出来ない。
ただ、共に過ごせる間は、同じ時間を共有出来る間は
彼女が幸せであって欲しいと思う。
永遠などないし、終わりがいつ来るのかも分からない。
そんな不安を抱えながらも、彼女の幸せを願い、声を掛け続けるしかないのだ。
―――やはり私は無力だな。
いつもと同じ結論に至りながら
強さを増す雨の中、私は再び眠りについた。