2012516日(水)、大阪弁護士会館にて‘「基本合意、やぶるなんて許さへん!」集会’が行なわれ、近畿各地から250名超の障害者・その家族・関係者が集いました。(主催:実現をめざす会近畿ブロック会議)

自公政権下でつくられた障害者自立支援法の廃止を公約に掲げた民主党は2010年、障害者自立支援法は違憲として国を訴えていた原告らと、同法の廃止を明記した「基本合意」を締結しました。そして、政府は障害当事者を中心にした障がい者制度改革推進会議総合福祉部会に、新法の検討を依頼し、2011年「骨格提言」をまとめました。

しかし、今国会に提出された法案は「基本合意と骨格提言に基づいた新法」ではなく、全くの約束違反であると言えます。

「基本合意、やぶるなんて許さへん!」集会は障害者の権利保障がなされるよう徹底審議し、当事者の願いに沿う法案になるように訴えるものであります。


いずみ野福祉会TOPICS (集会の様子)



いずみ野福祉会TOPICS (集会の様子)



障害者自立支援法違憲訴訟元原告・弁護団の参加はもちろんのこと、今集会では国と人権保障を訴えている9団体が集まりました。

9団体は以下の通りです。

・原爆症認定集団訴訟全国弁護団連絡会

・薬害肝炎全国原告団・弁護団

・ハンセン病違憲国家賠償訴訟全国弁護団連絡会

・全国B型肝炎訴訟弁護団

・ノーモア・ミナマタ国賠等請求訴訟近畿弁護団

・中国「残留孤児」国家賠償訴訟弁護団全国連絡会

・全国生存権訴訟弁護団

・大阪HIV訴訟弁護団

・薬害イレッサ訴訟統一弁護団

各団体からは基本合意文書で交わされた約束を国に履行してもらうために奮闘してきた、現在もなお奮闘しているという旨の報告がありました。当日報告された中から以下2つを挙げます。



1つは、原爆症認定集団訴訟全国弁護団連絡会からです。訴訟団は国と‘確認書’にて集団訴訟終結を合意しました。しかし、そこで定めた原爆症認定基準を満たしているにも関わらず、白内障・心筋梗塞・甲状腺機能低下症・肝機能障害を患った者は放射線起因性を認めないという理由で不当に認定を却下する事態が多く見られています。



2つは、薬害肝炎全国原告団・弁護団からです。訴訟団は基本合意を締結し、救済法の国民への周知と再発防止の為の‘第三者委員会’の設立を確約しました。しかし、朝日新聞(522日付)には「民主の約束まもられず 薬事行政監視たなざらし 第三者機関 法案断念」と厚労省は今国会への提出を断念したという報道からも分かるように、基本合意で結ばれた訴訟団との約束を履行されていない現状があります。これは将来において同じ過ちを犯さないという姿勢はないということになります。



このように、上記2つの報告は基本合意を国と結んだものの、多くの場面で押し戻しがある、不当な対応がなされているというものでした。

また、「基本合意自体を破られるなんて考えたこともなかった。もしそんなことがこの障害者自立支援法違憲訴訟の基本合意で起こるならば、私達を含めこれから国と約束を交わすであろう人々に重大なことである。」や「基本合意に基づく約束違反を許さない闘いを共に進めていきましょう。」「共感・共有・共同行動をしよう」等の発言もありました。

今集会で、人権保障を訴えている団体の「国が国民の命を軽んじてしまいかねない態度に多くの国民が反対し、また新たな制度を求め、さらにそれを維持していくために奮闘している」現状を初めて知ったという人は少なくはないと思います。そして、障害者だけでなく国民全体で訴えていかなければならないことを共有し、「当たり前に人間らしく生きる」という一致点で互いに連帯しようと強く確認し合えた集会でした。

そして、障害者だけが人権軽視をされているのではなく、すべての国民が安心して生活できない危険性が潜んでいるということ。障害者自立支援法違憲訴訟で結ばれた基本合意の反故を許さないという運動は「障害者だけの人権擁護の為でなく、日本国民の命をも問うているものである」と私自身気付きました。この思いを多くの人と共有することで障害者のみならず、私たち国民全員の幸せを創ることができるのだと思いました。



法人本部

大塚 佳奈