大分・別府障害年金社労士のブログ

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大分県別府市在住の社労士の伊﨑和夫です。社労士のなかでも障害年金をはじめとして年金の分野を得意としております。
これからも年金情報をお届けしたいと思っています。

令和2年1月24日、総務省統計局より平成31年平均の全国消費者物価指数(CPI)が公表されたことにより、令和2年度(2020年度)の年金額改定率等の基本数値が公表されました。

 

 

令和2年度の参考指標

① 物価変動率: 0.5% (1.005

② 名目手取り賃金変動率: 0.3% (1.003

③ マクロ経済スライドによるスライド調整率: ▲0.1% (0.999

 

 

1 全国消費者物価指数(CPI:Consumer Price Index

通常、ニュースや新聞記事等で報道される「全国消費者物価指数」は、天候等の条件により価格が大きく変動する生鮮食品を除いた総合指数(コアCPI)が用いられます。年金額の改定等に用いられる「全国消費者物価指数」は、年金生活者の生活実態を反映させるため、「生鮮食品の価格を含めた総合指数」を用いることとしております。

平成31年平均の全国消費者物価指数(生鮮食品を含めた総合指数)は、前年比で 0.5%(1.005)上昇しました。

 

 

2 名目手取り賃金変動率

「名目手取り賃金変動率」とは、「前年の物価変動率」に「(2年度前から4年度前までの3年度平均の)実質賃金変動率」と「(3年度前の)可処分所得割合変化率」を乗じたものです。

 

令和2年度・名目手取り賃金変動率は

平成31年の物価変動率(1.005(△0.5%))

× 平成2830年度の3年度平均の実質賃金変動率(0.999(▲0.1%))

× 平成29年度の可処分所得割合変化率(0.999(▲0.1%))

  = 1.003(△0.3%)

 

物価変動率と名目手取り賃金変動率 どちらを使う?

年金額の改定方法では、前年の物価変動率の幅と名目手取り賃金変動率の幅との関係で、下表のように、物価変動率または名目手取り賃金変動率を用いることにしております。

 新規裁定者(67歳到達年度以前の者)については、「名目手取り賃金変動率」を基準として年金額(再評価率)を改定するのが原則です。また、既裁定者(68歳到達年度以後の者)については、「物価変動率」を基準として年金額(再評価率)を改定するのが原則です。

 

令和2年度の参考指標において、物価変動率の上昇率(0.5%)が名目手取り賃金変動率の上昇率(0.3%)を上回っています。新規裁定者は、原則通り「名目手取り賃金変動率」を基準として年金額(再評価率)を改定します。既裁定者は、例外規定によって、「名目手取り賃金変動率」を基準として年金額(再評価率)を改定することとなりました。よって、令和2年度については、新規裁定者も既裁定者も、「名目手取り賃金変動率」を基準として年金額(再評価率)を改定することになりました。

 

 

3 マクロ経済スライドによる調整率

令和2年度も、財政均衡期間(おおむね100年間)のうちの「調整期間」に入っています。

(「調整期間」とは、マクロ経済スライドを適用する期間のこと)

 

マクロ経済スライドによるスライド調整率は

平成2830年度の3年度平均の公的年金被保険者総数の変動率(1.002(△0.2%))

× 平均余命の伸び率(0.997(▲0.3%))

  = 0.999(▲0.1%)

 

 

令和2年度の年金額について

  ②名目手取り賃金変動率 × ③マクロ経済スライドによるスライド調整率

1.003 × 0.999 1.002

 平成31年度より 0.2% のプラス となります。

 

 

満額の老齢基礎年金の額

令和2年度の改定率は

 平成31年度の改定率(0.999)× 名目手取り賃金変動率(1.003

 × マクロ経済スライドによるスライド調整率(0.999

 = 1.001

となります。

 

令和2年度の老齢基礎年金の満額 

780,900円 × 1.001(令和2年度の改定率)

781,700円(月額 65,141円)

 

 

夫婦2人分の標準的な年金額(老齢基礎年金を含む)

220,724

厚生年金は、夫が平均的収入(平均標準報酬(賞与含む月額換算)43.9万円)で 40年間就 業し、妻がその期間すべて専業主婦であった世帯が年金を受け取り始める場合の給付水準です。

 

(内訳)

  夫  老齢基礎年金 65,141円  老齢厚生年金 90,442

  妻  老齢基礎年金 65,141

 

 

(参考)

マクロ経済スライド調整率の繰越し制度(キャリーオーバー制)

物価変動率や名目手取り賃金変動率がプラスになったとしても、マクロ経済スライドを適用した結果、マイナスとなって年金額の引下げを行わなければならなくなった場合(マイナス改定となる場合)には、マクロ経済スライドを全面的には発動せず、年金額は前年度の年金額と同額で据え置かれます。マクロ経済スライドに未調整分が残るが、この未調整分を物価変動率や名目手取り賃金変動率がプラスになるときに(景気がよくなったときに)、マクロ経済スライド調整率に、特別調整率として繰り越したものをさらに加えて、年金額改定率(再評価率)を引き下げることにしました。これを「キャリーオーバー制」と呼びます。(キャリーオーバー制は、平成30年度に新設されたものです。)

 

賃金水準や物価水準が上昇時に、マクロ経済スライドは発動します。
制度制定以来、デフレ基調が続き発動条件を満たさない年が多かったのですが、この2年は

連続で発動しています。

 

マクロ経済スライドの仕組みがなければ、年金額は0.3%増えていたはずだが、マクロ経済スライドの仕組みにより、0.1%とされた結果、0.2%増に伸びが抑制された、ということです。