前回の続きです
ついに3回目のデートの日を迎えました。
これが最後になるか、恋人関係に進展するのかの運命の分かれ道。
もうさすがに結論を出すべき時だし、修一さんだってそのつもりでいるはずよね
私としては、この3回目で決定的な何か、それも良いことがなければ終わりになると考えていました。
結局はその高いスペックと紳士的な振る舞いのみに惹かれ、ここまでずるずるときてしまった感があって
特に優しいとか気が合うとか、一緒にいて心地良いだとか、そういう感情はないのに、3回も会うことになってしまった
修一さんは何故私と何度も会おうとするのだろう。それも聞ければ聞いてみようかな、と思っていました。
3回目の場所は、修一さんのリクエストで、私の地元にあるちょっとしたお城…でした。
公園があったりミニ動物園みたいなものがあったり、結構家族連れが多い場所。カップルもわりといるかな?
ずっと坂道を登って、一番上に大きなお城があります
中も見学できるので、2人で見て回りながら話していたのですが…
やっぱり修一さん、
知識をひけらかしてくる
それはまだいいとしてもよ?
「うさちゃん、地元なのにそんなことも知らないの?」
「これくらいのことは誰でも知ってると思うんだけど」
と、完全に人を見下してる
何様なんじゃ
この人、結婚したら亭主関白まっしぐらな気がする。
そして私はことあるごとにバカにされるんだろう。
……
うん。無理ですね
ずるずるきてしまったけれど、次誘われたら断ろう!
この時私はハッキリ決意しました。
城見学のあと、外のベンチで、自販機で買ってきてくれたホットミルクティーを飲みながら(ミルクティー好きじゃないから鮮明に憶えてる)、ついに修一さんは核心に迫った話をしてきました。
「今後のことなんだけど。俺はもっとうさちゃんのこと知りたいと思ってる。だからまた会いたいと思ってるんだけど、どうかな」
この発言、私に気があるのか?
そんな素振り全く感じないんだけど?
「正直、ちょっとよくわかんない部分があって。修一さんがそう言ってくれるのも意外というか。私のどこがいいのかなって思うし、もっと釣り合う人がいると思うし。…ほら、私バカだからさ」
直接ハッキリ断るのはやっぱり気が引けて、こんな言い方になってしまった
ちなみに最後のは完全に皮肉
「単純にうさちゃんといると楽しいからさ。今まで知らなかった話とか色々聞けて楽しいし。うさちゃんといると、自分よく笑ってるなってことに気付いたんだよね」
…そう、なのか?
そんな笑ってる感じはしないけど、今までどれだけ笑わない人生だったの?
いや、その前に「バカ」を否定してくれ。
私の思いなど知る由もなく、修一さんは自分に酔っているかのような饒舌なトークを繰り広げます
「もっとうさちゃんを知りたいし、俺のことも知って欲しい。もっと一緒の時間を過ごしていきたい。今俺は、どうしたらうさちゃんがよろこんでくれるか、笑ってくれるかをしょっちゅう考えてる」
……そう言われると、正直嬉しくなかったわけではないです。
この人は真剣に考えてくれている、っぽい。
じゃあ私もここで結論を出さず、もう少しだけ考えてみてもいいのかもしれない。
「少し考えさせてもらってもいいですか?私の気持ちが固まったら伝えさせてもらうので。次回はその後でいいですかね」
「わかった。次はまた飲みに行けたらいいな。よく行くバーがあるから、そこに連れていきたい」
「いいですね、バー。大人のデートだ」
そしてその後、約束していたミステリー小説を貸しました。
もし次がなかったら小説返してもらえないかも、と思ったけど、修一さんは、
「次会うまでに読むね!」
それは、次があることを確信しているのか、自分に言い聞かせているのかわからない言葉だったけど。
「ぜひ感想聞かせてください」
こうして3回目が終わりました。
きっともう、会うことはないだろうという予感はしていました。
修一さんとの未来は見えない。
幸せになっている姿が想像できない…。
よっぽどなことが起きない限り、私の気持ちは変わらない気がする…。
後日、予想外の出来事が起きるとは、この時は想像もしていませんでした
(つづく)