毎年6月にアメリカ・ロサンゼルスで開かれる世界最大のゲーム関連のプレゼン発表会であるE3でポケモン剣盾の新情報の一つとして、
「ポケモン剣盾ではガラル図鑑に載っているポケモンしか送れない」という衝撃的な発表が行われてから今や4ヶ月が経とうとしています。
その内容は世界中のポケモントレーナー達に大きな衝撃を与え、特に海外では日本国内を遥かに上回る程の怒りの声が飛び交うあまり、ついにはツイッターで
「#BringBackNationalDex(訳:全国図鑑返せ!)」というハッシュタグが流行ったり、整理反対を訴える広告を掲げる輩が出る事態にまで発展してしまいました。
とは言えここまで大きな騒動になったのは、そもそもこれまでのポケモン本編は一部の時期を除いて何かしらの方法で全てのポケモンを入手
出来るのが当たり前だったのが、剣盾でとうとう出来なくなってしまったという点が多くの人にとっては非常にショックだったのが大きいでしょう。
また今回の発表に至った経緯に関しても、20年以上の歴史を持つポケモンシリーズには第7世代時点で800種以上のポケモンが登場しており、従来通り全種登場を続けたら
シリーズが進む度に製作時間やハードスペック、ゲームバランス等の面での手間がかかってしまうという事情がある為、決して批判すべきことではないのも確かです。
そういった背景もあってか現時点ではPV等が公開される度に内定が決まったポケモンに衆目の視線が向かうことが日常と化しています。

そんなポケモン剣盾或いはポケモンシリーズ全体に対して色々と物議を醸す事態にまで発展したポケモン選抜騒動なんですが、実は過去にもポケモン本編では
それに類似した騒動が起きた事例がありました。それが第三世代前期であるルビー・サファイア(※以下「ルビサファ」と表記)が発売された時のことです。
この頃も剣盾と同じく技術的な問題により第二世代からポケモンを連れていけなくなりましたが、こちらは幸いにもホウエン地方にいないポケモンも
内部データに存在しているおかげで、最終的にはポケモンコロシアム(※以下「ポケコロ」と表記)やファイアレッド・リーフグリーン(※以「FRLG」と表記)、
そしてエメラルドといった後発のソフトと通信を行うことでようやく当時登場していたポケモン386種を全て揃えられるようになりました。
逆に言えばポケモン剣盾のそれはガラル地方にいないポケモンは内部データにすら存在しないということになるので、
この事実だけでもいかに今回のポケモン選抜騒動が多くの人にとって受け入れ難い出来事だったのかが伺えます。
んで、ルビサファ時代の時は第二世代までに登場した251種のポケモンのうち67種のポケモンが続投された一方で、残りの184種に
ついては1年後のポケコロでジョウト勢が、更にその2ヶ月後のFRLGでカントー勢が全面解禁されるまでお預けになっていたのです。
しかもポケコロに至っては本編とは別のハードで展開された外伝作品である為、それ自体が全国図鑑完成の大きな障壁にもなっていました。
そんな事情もあってかエメラルドでは外伝作品でしか入手出来ない事態を防ぐ為に、ジョウト勢のうちルビサファやFRLGにいないポケモンを
入手出来るようにしたり、ルギアやホウオウに至っては伝説のポケモンであるにも関わらず一時的に幻のポケモンとして扱われたりしていました。
このように第三世代は互換切りの影響が大きかった中でいかに全ポケモンを入手出来る環境を整えるのかが最重要視されていたというわけです。

さて、前置きはこれ位にしておいて今からルビサファ時代に入手出来た旧ポケの選出基準を考察してみることにしますが、その前に前提知識をいくつか挙げます。

【ルビサファ時代に入手出来た旧ポケの選出基準の考察に関する前提知識】
・ルビサファ時代には今のように赤い糸やパワーアイテム、性格遺伝等といった厳選を楽にするような道具や仕様が実装されていない
・対戦環境に関してもこの時点では技の分類がタイプ依存になっており、またメガシンカやZ技等といった所謂インフレを象徴するものも登場していない
・当然ながら当時はフェアリータイプなんて存在しないし、「きあいのタスキ」や「こだわりスカーフ」等のような現在の対戦でよく使われる強力な道具も今ほど充実していない
・その一方で第三世代では新たに特性やダブルバトル、レベル50制限のルールが導入され、同時に努力値の仕様変更も施されている
・ちなみにルビサファの舞台となったホウエン地方は他の地方と比べて段違いに海が広いことが最大の特徴となっている

……まあ要するにルビサファ時代は今と比べて厳選環境や対戦環境の不整備が目立っていたと思っていただければ結構です。
ということでそれでは早速ルビサファ時代に入手出来た旧ポケの一覧を載せていきます。

【ルビサファ時代に入手出来た旧ポケの一覧(全67種)】
・ピチュー→(懐き進化)→ピカチュウ→(雷の石)→ライチュウ
・サンド→(レベル22)→サンドパン
・ロコン→(炎の石)→キュウコン
・ププリン→(懐き進化)→プリン→(月の石)→プクリン
・ズバット→(レベル22)→ゴルバット→(懐き進化)→クロバット
・ナゾノクサ→(レベル21)→クサイハナ→(リーフの石or太陽の石)→ラフレシアorキレイハナ
・コダック→(レベル33)→ゴルダック
・ケーシィ→(レベル16)→ユンゲラー→(通信交換)→フーディン
・ワンリキー→(レベル28)→ゴーリキー→(通信交換)→カイリキー
・メノクラゲ→(レベル30)→ドククラゲ
・イシツブテ→(レベル25)→ゴローン→(通信交換)→ゴローニャ
・コイル→(レベル30)→レアコイル
・ドードー→(レベル31)→ドードリオ
・ベトベター→(レベル38)→ベトベトン
・ビリリダマ→(レベル30)→マルマイン
・ドガース→(レベル35)→マタドガス
・サイホーン→(レベル42)→サイドン
・タッツー→(レベル32)→シードラ→(りゅうのウロコ+通信交換)→キングドラ
・トサキント→(レベル33)→アズマオウ
・ヒトデマン→(水の石)→スターミー
・カイロス
・コイキング→(レベル20)→ギャラドス
・チョンチー→(レベル27)→ランターン
・ネイティ→(レベル25)→ネイティオ
・マリル→(レベル18)→マリルリ
・ソーナンス
・キリンリキ
・ヘラクロス
・マグマッグ→(レベル38)→マグカルゴ
・サニーゴ
・エアームド
・ゴマゾウ→(レベル25)→ドンファン

……まあこれだけだと一体どんな選出基準になっているのかサッパリ理解できないと思うので、とりあえず大体の傾向から書いていきたいと思います。

【傾向その1:御三家、序盤ポケモン、化石、600族、伝説、幻は軒並み総替えされ、同時にブイズも枠の節約の関係で選考から外れている】
まあこれらは各世代一対一対応みたいな節がありますし、それに開発側も新世代に移行した以上はなるべく新たに追加された
ポケモンを使って欲しいと考えているのは間違いないので、選考から外れるのはごく当たり前と言えば当たり前ですよね。
当然ながらその分彼等の代替となるポケモンが存在するのですが、前作の金銀クリスタルでは251種のポケモンが図鑑に載っていたのに対し、
ルビサファのホウエン図鑑には新旧含めても202種しか載っていない為、ポケモンの進化順を追う度に枠を節約したと思われるところが所々見受けられます。
中でも当時6種(イーブイ、シャワーズ、サンダース、ブースター、エーフィ、ブラッキー)もいたブイズ枠がごっそり削られている点が特に際立っており、
それ以外にも前作では序盤鳥やそれに準ずるポケモンが7種(ピジョット、オニドリル、ヨルノズク及びそれらの進化前)もいたのがルビサファでは
4種(オオスバメ、ペリッパー及びそれらの進化前)まで減らされたり、序盤虫も前作では10種(バタフリー、スピアー、レディアン、アリアドス及びそれらの進化前)もいたのが
ルビサファでは7種(ケムッソ一族5種とアメタマ→アメモース)に減らされており、化石枠に至ってはオムスターやカブトプスの二者択一ポジこそ
ユレイドルやアーマルドにしっかりと受け継がれたものの、従来のプテラにあたるポケモンがホウエン地方にはいないという事態になっています。
また600族に関してもルビサファのバトルタワーにレベル50制限のルールが存在する関係でレベル55でないと進化できないカイリューや
バンギラスの代わりに、レベル50で進化できるボーマンダやその更に下のレベル45で進化できるメタグロスが図鑑に新規掲載されています。
ちなみに実はシナリオにおけるメタグロスの立ち位置が原因で割を食ったポケモンがいるのですが、その辺りは後程説明することにします。

【傾向その2:ルビサファではレベル以外の方法で進化する旧ポケモンは基本的に一つの方法毎に一つの系統という風に絞られている】
ルビサファで新たに追加されたポケモンの中にもレベル以外の方法で進化するものは何種か存在しますが、先程の一覧表を見ても分かるように
ルビサファで登場する旧ポケモンの中でレベル以外の進化を行うものは原則として一つの方法毎に一つの系統と言う風に絞られています。
その具体例を挙げると次のようになります。

<進化方法毎で見る第三世代に登場した旧ポケモンの一覧(※括弧内はルビサファに登場しない種を示す)>
炎の石:キュウコン(+ウインディ、ブースター)
水の石:スターミー(+ニョロボン、パルシェン、シャワーズ)
雷の石:ライチュウ(+サンダース)
リーフの石:ラフレシア(+ウツボット、ナッシー)
月の石:プクリン(+ニドクイン、ニドキング、ピクシー)
太陽の石:キレイハナ(+キマワリ)
懐いた状態で最終進化:クロバット(+トゲチック、エーフィ、ブラッキー、ハピナス)
普通の通信進化:フーディン、カイリキー、ゴローニャ(+ゲンガー)
道具を持たせて通信進化:キングドラ(+ニョロトノ、ヤドキング、ハガネール、ハッサム、ポリゴン2)
レベル進化or無進化:上述以外の旧ポケモン全て

……まあ御覧のようにルビサファに登場する旧ポケモンのうち、レベル以外の進化を行うものに関しては
普通の通信進化をする連中を除いて一つの進化方法につき一系統までに一本化されたのがよく分かります。
なので今度は各進化方法毎にそのポケモンが選ばれた理由について考察してみます。

まず進化の石で進化する旧ポケモンについてですが、炎の石で進化するポケモンの中からキュウコンが選ばれたのは当時犬ポケモンにはウインディの
他にもヘルガーやドーブルが存在していたのに対し、狐ポケモンはキュウコン以外には存在していなかったのが最大の理由だと思われます。
また第三世代には新たな状態異常技として「おにび」という相手に直接火傷を負わせる技が登場していますが、当初はマシン技ではなかった関係により
この技をレベル習得や遺伝で覚えられたのはジュペッタやサマヨール、サーナイト、マタドガスといずれも炎タイプ以外のポケモンばかりだった為、
新旧含めた炎ポケモンの中から最もその技の使い手として相応しいものを選ぶとなるとキュウコン位しかなかったというのもあるかもしれません。
次にスターミーが水の石枠として選ばれた理由としては1進化という点で枠の節約面で有利に働くと判断したのと、自身がエスパー複合であることが大きかったでしょう。
ニョロボンは当時こそ水・格闘複合自体が彼の固有タイプではあったものの、もう片方の進化が面倒な上に貴重な枠を多く消費してしまうのが
ネックだったでしょうし、スターミーと同じ水・エスパー複合であるヤドランやヤドキングについてもやはり同様の理由で除外されたと思われます。
パルシェンに至っては既に同じ水・氷複合タイプのポケモンとして新たにトドゼルガが追加されている為、わざわざ残すわけにはいかなかったのでしょう。
一方で雷の石枠としてはライチュウが採用に至りましたが、幸いにもこの枠には他にサンダースしかいなかったのでその点では無風だったと言えます。
月の石枠に関してはニドクインとニドキングがセット扱いであるが故に一本化出来ないという理由で除外されて結果的にピクシーとプクリンのどっちかに絞ることになったでしょうが、
そんな中でプクリンが選ばれたのはおそらくピクシーが第二世代で「アンコール+はらだいこ」という凶悪なコンボを獲得して名を馳せたのに対して、
プクリンは第六世代で強化されるまで不遇ポケモンに甘んじていたことを考慮してあえてピクシーの方を出禁にしたのが一番の理由だと思われます。
ちなみにこの「あえて不遇ポケモンの方を残す」というケースはリーフの石枠や太陽の石枠の分をナゾノクサ一族で纏めたことでも同様のことが言えます。
特にリーフの石で進化するポケモンに関してはナッシーが第二世代ではガラガラ受けやら何やらで引っ張り蛸であったことがかえって
不遇ポケモン続投の妨げになりやすい上に、残るウツボットの方も中途半端に枠を消費するという時点でまず候補にすら入りません。
かと言ってこの世代ではまだ不遇の域を出ないキマワリを太陽の石枠として残そうとすると今度は1進化であるナッシーに
リーフの石枠を取られてしまう可能性が高くなってしまうので、どうしてもリーフの石枠や太陽の石枠を上手く節約した上で
何とかナッシーを候補から外すには必然的に分岐進化が存在するナゾノクサ一族を残すしかないということになるのです。
とは言え実のところナッシーも一般ポケとしては唯一の草・エスパー複合なので、個人的には正直削るには惜しい気がするんですけどね……(オイ

んで、次に懐き進化枠にクロバットが選ばれたのは何よりも他の連中が単タイプだったり、トゲチックですらこの頃は固有の複合タイプですらなかった中で、
唯一彼だけは第七世代になった今もなお毒・飛行複合というズバット一族固有のタイプを守り抜いているのが一番の決め手でしょう。
ちなみに厳密にはピカチュウやプリンもクロバットと同じくそれらの進化前がよく懐くことで進化したポケモンなんですが、
そちらはどっちかと言えば石進化の要素の方が強いと思ったので今回はあえて懐き進化枠として含まないことにしました。

更に普通の通信進化で入手出来る旧ポケモンではフーディン、カイリキー、ゴローニャがルビサファに続投された形になっていますが、
この面子を見て思わず「何故ゲンガーがルビサファに続投されなかったのか?」という疑問を抱いた人もいると思います。
まあここでぶっちゃけ言いますけど、実はそれには当時の技の分類がタイプ依存だったことと深い関係があるのです。
例えばフーディンは当時特殊タイプであったエスパーと上手く噛み合った特殊速攻アタッカー型のステータスになっているのに対して、
同じく特殊速攻アタッカー型のステータスのゲンガーが持つゴースト・毒複合はその両方が当時は物理タイプだったという感じです。
つまり平たく言ってしまえば、第三世代までのゲンガーは自身の一致技を上手く活かせない状態に置かれていたというわけです。
その結果「エビワラーよりもフーディンの方が三色パンチを上手く使いこなしている」等といった奇妙な状況が第三世代まで続いていました。
ちなみに第二世代までに登場したゴーストポケモンとしては他にムウマがいますが、当初はそっちもゲンガーと同じ問題を抱えていました。
だからこそルビサファでは当時物理タイプだったゴースト技を上手く活かせるポケモンを作る為にあえてゲンガーやムウマを選考から外したのでしょう。

そして特定の道具を持たせて通信進化することで入手出来る旧ポケモンではハガネールやハッサムを差し引いてキングドラが唯一ルビサファに残る形になりました。
と言うのも第二世代では鋼タイプがまだ登場したばかりで数が少なく、その内訳も全員が他のタイプとの複合という状態だった故に、悪タイプと共に今後の拡充が強く求められていました。
ところがドラゴンタイプのポケモンはこの頃でもたった4種(ミニリュウ一族、キングドラ)しか存在せず、600族を除けばそれこそキングドラしかいない状態だったのです。
故にルビサファで新たな600族ドラゴンを作ることが決定した時点でキングドラをドラゴン枠として残す他に選択肢はなかったのが実情ではないかと思われます。

なおここで余談となりますが、実は第三世代で登場した進化するポケモンの多くがごく普通のレベル進化となっており、
それ以外の方法で進化するポケモンはたった7系統しか存在していないのです。その具体的な例を挙げてみるとこんな感じです。

<普通のレベルアップ以外の方法で進化する第三世代初出のポケモンの一覧>
・ハスボー→(レベル14)→ハスブレロ→(水の石)→ルンパッパ    
・タネボー→(レベル14)→コノハナ→(リーフの石)→ダーテング
・ツチニン→(レベル20)→テッカニン(※手持ちに空きがある場合はヌケニンも入手)
・ルリリ(※懐きでマリルに、更にレベル18でマリルリに進化)
・エネコ→(月の石)→エネコロロ
・ヒンバス→(美しさが一定以上に上がった状態でレベルアップ)→ミロカロス
・パールル→(深海のキバor深海のウロコ+通信交換)→ハンテールorサクラビス

こうして見るとヌケニンやミロカロスのように斬新な方法でないと進化出来ないポケモンも少し混じってはいるものの、
やはり全体的にはレベル以外の方法で進化する種でも前作までに存在した進化方法を踏襲したものの方が多いことがよく分かります。
参考として第二世代で登場した普通のレベルアップ以外の方法で進化するポケモンを挙げてみるとこんな感じになります。

<普通のレベルアップ以外の方法で進化する第二世代初出のポケモンの一覧>
・クロバット(※ゴルバットが懐きで進化)
・ピチュー(※懐きでピカチュウに進化)
・ピィ(※懐きでピッピに進化)
・ププリン(※懐きでプリンに進化)
・トゲピー→(懐き進化)→トゲチック
・キレイハナ(※クサイハナが太陽の石で分岐進化)
・ニョロトノ(※ニョロゾが王者の印と通信交換の組み合わせで分岐進化)
・ヒマナッツ→(太陽の石)→キマワリ
・エーフィ&ブラッキー(※イーブイが懐き進化した時間帯で変化)
・ヤドキング(※ヤドンが王者の印と通(ry)
・ハガネール(※イワークがメタルコートと通信交換の組み合わせで進化)
・ハッサム(※ストライクがメタルコートと通(ry)
・キングドラ(※シードラが竜のウロコと通信交換の組み合わせで進化)
・ポリゴン2 (※ポリゴンがアップグレードと通信交換の組み合わせで進化)
・バルキー(※レベル20になった時のステータスでサワムラー、エビワラー、カポエラーのいずれかに進化)

御覧の通り第二世代で登場した新ポケモンは第三世代のそれと比べて明らかに普通のレベルアップ以外の方法が進化に関わっているポケモンが多くなっています。
特に「特定の道具を持たせた状態で通信交換」が進化条件になっているポケモンの多さが飛び抜けて目立っており、
それ以外にも例えばバルキーをカポエラーに進化させるにはレベル20になった時に攻撃と防御の実数値を同じにしないといけなかったり、
この頃から登場したベイビィポケモン達の中には普通のレベル上げに加えてよく懐いた状態で進化させないと繁殖できない種が混じっていたり等と、
とにかく第二世代初出のポケモンには図鑑埋めや厳選の邪魔になりやすい進化条件を持っているものが多くいるという訳です。
そういった事情を踏まえて第三世代では複雑な進化条件を持つ新ポケモンをなるべく控えめにしようと考えたのではないかと思われます。
まあその割には厳選のお供としてよく使われるポケモンがルビサファにいないという事態になっていますが、その理由については後程説明することにします。

【傾向その3:ルビサファでは既存の無進化ポケモンの多くが選考落ちとなっている】
さて、次は既存の無進化ポケモンの選考についてですが、この辺りはかなり過酷な枠争いが繰り広げられていたらしく、第二世代では
進化しない一般ポケだけでも実に31種もいたのが、ルビサファではそのうちのたった6種しか続投されていないという事態になっています。
具体的にはカイロス、ソーナンス、キリンリキ、ヘラクロス、サニーゴ、エアームドがルビサファにも登場しているといった感じです。
つまりそれ以外の当時存在した無進化ポケモンは第三世代では後発のソフトが発売されるまでお預けを食らっていたのです。
まあこの時点で勘の鋭い人ならお気付きでしょうが、今や厳選のお供としてよく使われるポケモンの代表格となっている
メタモンやドーブルもルビサファでは登場しておらず、特にメタモンの不在は対戦・育成環境にも大きな悪影響を及ぼしていました。
その結果御三家や化石等といったゲーム中で1匹しか入手出来ないポケモンの数を増やすには♀の厳選が必須となり、
性別不明のポケモンに至っては伝説や幻でもないのに野生入手やイベント入手での厳選を強いられることになりました。
中でも第三世代で初登場となったメタグロスは対戦ではボーマンダと共に強力な性能を誇る600族として活躍した反面、
性別不明であるが故に当初は繁殖が出来ず入手自体もクリア後限定で旅パには向かないという難点を抱えていました。
こんな難儀な仕様になったのはシナリオではメタグロスがダイゴさんの切り札というとても重要なポジションに位置しているのと、
ルビサファでは600族が2系統もいるのでその片方の入手方法を徹底的に隠すように設定したかったのが原因だと思われます。
その証拠としてタツベイ系統の場合は流星の滝での野生出現や四天王のゲンジさんの手持ち以外にも134番水道にいるドラゴン使いがタツベイを使ってくるのに対し、ダンバル系統は野生では
一切出現せず、それどころかその系統を使ってくる一般トレーナーすらいない徹底ぶりで、クリア後になってようやくダイゴの家でダイゴさん本人からダンバルを1匹だけ貰えるようになっています。
しかしそれだけならメタモンをルビサファでも入手できるようにしてシナリオ攻略の抜け道を用意してもいいはずなんですが、
そうしなかったのはおそらく開発側はシナリオ攻略でも親が自分のメタグロスを使えるようにするとそれだけでゲームバランスが
崩壊してしまうことを承知してあえてメタモンをルビサファで入手出来ないように設定したのではないかと思われます。
つまりルビサファにメタモンが出てこないのはシナリオでメタグロスを使って楽に攻略させないようにする為だったという訳です。
あとドーブルについては自身の専用技であるスケッチの仕様により技の遺伝に深く関わっているポケモンの一種となっている為、
どうしてもタマゴグループがドーブルと同じ陸上となっている種とそうでない種では遺伝できる技の内容に大きな差が生じてしまいます。
更に言えば第二世代ではまだタマゴグループを設定したばかりという関係もあって孤立したタマゴグループが3組(※鉱物、人型、不定形)も
存在している状況だったので、このまま放っておくとますますポケモン毎に覚えられるタマゴ技の内容格差が広がってしまいます。
そういった不公平感をなるべく少なくする為に第三世代では先述の孤立したタマゴグループを補完するポケモンが新たに追加されました。
具体的にはユキワラシ一族が鉱物補完、バルビートやイルミーゼ、パッチール、サボネア一族が人型補完、ポワルンが不定形補完といった感じです。
そしてその代わりに元からタマゴ技格差の元凶になりかねない存在であったドーブルをルビサファに登場させないように設定したという訳です。

……まあこれ以上選考落ちしたポケモンについて語してもアレなので、改めてルビサファに残った無進化ポケモンの話に戻ります。

まずキリンリキが残ったのは当時ノーマル・エスパー複合という唯一のタイプを持つポケモンだったのが最大の理由でしょう。
と言うのもそもそも第二世代までに登場したノーマルポケモンはノーマル単体と飛行複合とエスパー複合の3種類しか存在しませんでした。
その影響もあってかルビサファに残った既存のノーマルポケモンは当時ノーマル単体だったププリン一族、序盤鳥でもないのにノーマル・飛行複合を
有している鳥ポケモンであるドードー一族、そして先述のキリンリキと見事に各ノーマルタイプの組み合わせ毎で一系統ずつという風に整理されています。
んで、次にエアームドが生き残った理由については彼が当時鋼・飛行という唯一のタイプを持つポケモンだったのは勿論ですが、
それ以上に第二世代の時点でハガネールやハッサムと共に一致鋼技をまともに使いこなせる数少ない存在だったことに加え、
そいつらが1進化であるのに対してこっちは無進化であることが枠の節約に大きく有利に繋がったのではないかと思われます。
ついでにヘラクロスの場合は第二世代の時点で唯一まともな一致虫技を持っていたのと、虫・格闘複合という当時の固有タイプを有していたのが続投の理由になったでしょうし、
カイロスに関しても当時はまともな虫技を覚えなかったとはいえ最終進化系の旧ポケモンで唯一の虫単体という強い個性を持っており、
何よりもヘラクロスとはカブトムシとクワガタの関係という意味で対を成すポジションにあったのが続投の決定打になっていたはずです。
ソーナンスについては進化前のソーナノが新たに追加された影響で今更削る訳にはいかなかったのも確かに事実なんですが、それを差し引いても
「反撃技で戦うポケモン」という明確なコンセプトを持っている以上はルビサファで続投するに相応しい強化が望まれていたのは想像に難くないでしょう。
そんな理由もあってか彼は第三世代では「かげふみ」という相手の交代を封じる特性を持つようになってフルアタ型の天敵と言える厄介なポケモンへと大きく成長しました。
そしてサニーゴと言えば自身が技マシン扱いされる程優秀な技を多く覚える為に有用な遺伝要員として重宝されていることで知られており、特に第三世代では
水タイプのポケモンが新旧共に他のタイプよりも多く登場している関係もあって前世代以上に遺伝要員としての活用が期待されたのが続投の理由になったと思われます。

【傾向その4:ルビサファでは既存の水ポケモンの続投が多かった一方で、氷やゴースト、悪の既存ポケモンは軒並みハブられている】
さて、先述の通りルビサファでは水ポケモンが新旧共に多く登場しているという風に説明しましたが、こうなった一番の要因はルビサファの舞台である
ホウエン地方はそれまで登場したカントーやジョウトと比べて段違いに海が広く、その冒険範囲は水上どころか水中にまで及んでいることにあります。
水中にまで冒険範囲が広がっているということは当然ながらそれだけ作中に登場させる水ポケモンも多くする必要があるという訳です。
その結果他のタイプでは概ね数自体が少なめでそこまで単体タイプのポケモンが多く残っている訳でもない傾向が強いのに対し、水タイプの方はただでさえ数が多いのに
水単体の最終進化系だけでゴルダックやアズマオウにマリルリと3種も残っており、進化前を含めた場合に至っては明らかに水単体の方が多いという事態になっています。
その水単体続投組のうちマリルリは新規進化前であるルリリの存在、ゴルダックは進化前がかの増田順一さんのお気に入りとそれぞれ妥当な続投理由がちゃんとありますが、
アズマオウに関してはおそらくつのドリル使いであることがNPC視点で見ればバトルタワーの連勝ストッパーとして最適だと判断され続投に至った可能性が高いと思われます。
ついでに既に述べたスターミーやキングドラ、サニーゴを除いた水複合続投組にも目を向けてみますと、まずギャラドスが続投されたのは種族値配分や
進化前の性能からして明らかに彼の対になることを意識したと思われるミロカロスの存在が非常に大きかったのが一番の理由でしょう。
次にランターンの場合は当時一致水技と雨乞い一致雷コンボを両立できる唯一のポケモンだった点が続投する上で有利に働いたと言えます。
あとドククラゲをわざわざ「ヘドロえき」という吸い取った相手の体力を減らす特性を与えた上で残したのは、その特殊耐久の高さや水受けに適したタイプ耐性、そして
草ポケモンを一致毒技で狩れる性能をヒントに、彼を新たな強豪草ポケモンとなったルンパッパの天敵に仕立てようという意図があったのではないかと考えられます。

その一方でルビサファに続投された旧ポケに存在していないタイプとしては氷やゴースト、悪の3種類が該当しており、このうちゴーストタイプに
ついては当時の旧ポケだったゲンガーとムウマがどちらも一致技を上手く活かせない状態だった為に選考から外れたと先程述べました。
んで、氷タイプの方はその性質上野生で該当タイプのポケモンを出現させるには氷系のダンジョンがほぼ必須になるのですが、困ったことにホウエン地方は
カントーやジョウトと比べて明らかに南国的な雰囲気を漂わせている地方である為、既存の氷ポケモンを続投させるにはとても厳しいものがあると判断したのでしょう。
それを考慮したのかホウエン地方では氷系のダンジョンだとハッキリ言えるのは浅瀬の洞穴の最深部だけで、それも干潮時限定という小規模なものに留まりました。
そして悪タイプの場合は第一世代で大暴れしたエスパータイプの抑制と何かと不遇だった格闘タイプの救済を目的に登場したのはいいものの、
この頃では一致悪技をまともに使いこなせていたのはヘルガーとバンギラス位で、正直なところまだまだ不十分だと言わざるを得ない状況でした。
しかもシナリオ攻略においても殿堂入りまでに入手できる悪ポケモンは金銀ではブラッキーしか存在せず、いざクリスタルが発売されたと思ったら
当時特攻が極端に低いせいで碌に自身のタイプを活かせなかったニューラが氷の抜け道で野生出現するようになっただけという有様でした。
それらを深く反省したのかルビサファでは最序盤から悪ポケモンが入手できるようになったり、既存ポケ全ての代わりに出した新ポケモンの
種族値をグラエナやアブソルを除いて両刀気味にすることで一致悪技の威力を確保したり等とかなり思い切った変更が行われています。

さて、せっかくなので最後にここまで全く触れていなかった続投ポケモン達の続投理由でも書いていきます。

【※おまけ:上述の項目で全く振られなかった続投ポケモンの続投理由】
サンドパン、ドンファン:この二系統を除いた当時の地面単体、つまりダグトリオとガラガラは一軍レベルで活躍した経験があった為外された
レアコイル:当時電気複合の一般ポケモンはランターンとこいつしかいなかったから
ベトベトン、マタドガス:第三世代では新規追加された毒ポケがドクケイル、ロゼリア、ゴクリン一族、ハブネークのたった5種だけなのでその補完という形で入れた
マルマイン:シナリオでは初代、金銀共に罠要員を担当していたので、その流れで続投が決まった可能性が高い
サイドン:自身がつのドリル使いであると言う時点でお察し(ぇ
ネイティオ:当時はこいつが一般ポケで唯一のエスパー・飛行複合であった為
マグカルゴ:当時存在していた炎複合の中でこいつだけ実用に耐え得るレベルではなかったので、そのお情けで残した

……まあ色々と異論はあるでしょうが、先程私が今までお伝えした続投ポケモンの続投理由はあくまでも個人的な考察を通して出した一つの結論ですのでそこはご了承下さい。

ということでこれにて今回の考察は終了となります。長文お付き合いありがとうございました。