「 深淵を見つめると、深淵も見返している 」(ニーチェ)
のではない
深淵を見つめることが、深淵を見つめるということなのだ
見るというそのことが、すなわち深淵なのだ
目の前に深淵など存在していない
眼であるというそのことが、深淵であるというそのことなのだ
眼が謎を見るのではない
眼の存在が謎なのだ
見る
見抜く
洞察する
insight
(何が、何を!)
どこまでも見抜こうとするその動きの果て
存在の王座に
眼
眼は眼を見ようと反転したまま凍結する
( 池田晶子「リマーク」
何なのよこれ17 )
形の中に形のない本質がある
しかし
形のないものは形とはまったく異なる
この今生きている
形のある私(肉体)が謎なのだ
神の愛の存在を感じる
この肉体で感じる
眼の存在が謎なのだ
眼の存在が神の愛なのだ
肉体の存在が神の愛なのだ
神様に祈りを
捧げている人たちは
肉体が愛
肉体自身が愛
と聞けば
必ず抵抗を感じる
愛とは肉体感覚
愛は肉体の中にある
肉体が愛
愛が肉体
肉体が謎
神の愛を肉体で感じる
「 眼は眼を見ようと反転したまま凍結する 」のではない
眼が自分だと思い込んでしまうと
自分の眼が真実であるという錯覚を、錯覚だとは決して思えないから凍結する
凍結するのは思考の眼
空(深淵)はどこに存在しているのか?形(色)である私のところにしか存在していない
眼(形)がそのまま空(深淵)である、空であるこの形たちのある私のところに存在している
色即是空空即是色
「 眼は眼を見ようと反転したまま凍結する 」のではない
「 どこまでも見抜こうとするその動きの果て
存在の王座に
眼 」
存在の王座に空なる眼(深淵)がある
主体と客体は異ならない
「 眼であるというそのことが、深淵であるというそのことなのだ 」
色不異空空不異色
(今日の深淵なる月)