<補足説明> ※1免疫寛容 免疫寛容とは、普通ならば応答するはずの分子や抗原に対して、固体が体液性免疫などの免疫反応を示すことができなくなった状態のことをいう。もともと免疫寛容現象は、我々が自分自身の抗原に対して免疫応答を発現しないためにある。食品などの生体にとって必要なものにはアレルギーを起こさない、つまり、抗原として認識せず免疫反応が起こらない仕組みである。しかし、なぜか解からないが自己に対する寛容性が崩れると、重篤な自己免疫疾患を生ずることがある。 例えば、卵やサバなど一般にアレルギーを起こしやすい食品を摂取してもアレルギー反応が起こらないのは、経口免疫寛容によりアレルギーが抑えられるからで、逆にアレルギーを起こしてしまう人は経口免疫寛容機構がきちんと働いていないことが原因である。 ※2抗体(IgA抗体:クラススイッチの項参照) 抗体とは、リンパ球のうちB細胞の産生する糖タンパク分子で「抗体」という名は抗原に結合するという機能を重視した名称で、物質としては免疫グロブリンと呼ばれる。「Ig(アイジー)」と略される。すべての抗体は免疫グロブリンであり、血漿中のγ(ガンマ)グロブリンにあたる。 ※3 Th1細胞とTh2細胞 リンパ球には、T細胞と、抗体(免疫グロブリン)を産生するB細胞とがある。 T細胞には、さらに、単球・マクロファージから抗原を提示され、免疫反応を調節する、ヘルパーT細胞と、ウイルス感染細胞などを傷害する、キラーT細胞がある。 ヘルパーT細胞には、Th1細胞とTh2細胞とがある。 抗原提示細胞が、IL-12を産生するか、それとも、PGE2を産生するかが、Th1細胞(細胞性免疫)と、Th2細胞(液性免疫)のどちらが優位になるのか、決定している。 
Th1細胞はキラーT細胞の分化や働きを助けたり、マクロファージも活性化し、細菌やウイルスなどの異物を攻撃、破壊して感染を防ぎます。またB細胞にIgG型抗体を産生させ、Ⅱ型アレルギーやⅢ型アレルギーをおこさせます(Ⅱ型アレルギーは免疫性溶血性貧血や重症筋無力症など、Ⅲ型アレルギーは血清病や糸球体腎炎など)。Th2細胞はB細胞にIgE型抗体を作らせます。IgE型抗体はアレルゲンとくっついて、肥満細胞を刺激します。そこで、肥満細胞はヒスタミンやロイコトリエンを放出し、アレルギー症状を惹起させるのです。そのため、Th2が増えればⅠ型のアレルギー(花粉症、気管支喘息、食物アレルギー、アトピーなど)を悪化させます。 これらの細胞を分化させたり、分化後に産生されるサイトカインは、お互いの細胞群を抑制しあう性質がある。つまりTh1/Th2のバランスがお互いに拮抗しあって保たれてます。 しかし、アレルギー疾患をもつ人はTh2がTh1よりも多くできてしまうのです。
※4 Th2/Th1バランス クラススイッチを誘導するのにヘルパーT細胞の働きが必要です。ヘルパーT細胞がどのようなサイトカインを産生してB細胞に作用させるかでつくられる抗体のクラスがかわります。TGF-β(transforming growth factor-beta)はIgAに、IL-2、IL-4はIgG1に、インターフェロンγはIgG2Aスイッチします。アレルギーの原因になるIgEはIL-4、IL-13によって促進、IL-5、IL-6によって増強され、インターフェロンγによって抑制されます。このことは、前者を産生するTh2細胞と後者を産生するTh1細胞とのバランスがIgE産生を左右すると考えられる。 ※5 Toll様受容体 Toll様受容体(トルようじゅようたい、Toll-like receptor:TLRと略す)は動物の細胞表面にある受容体タンパク質(膜貫通型たんぱく質)で、種々の病原体を感知して自然免疫(獲得免疫と異なり、一般の病原体を排除する非特異的な免疫作用)を作動させる機能がある。脊椎動物では、獲得免疫が働くためにもToll様受容体などを介した自然免疫の作動が必要である。 自然免疫系が病原体の体内侵入を特異的に認識し活性化され、さらに高次機能を有する獲得免疫系の活性化の誘導に必須であることが示唆され、従来の免疫学の理論的背景を根底から見直さなくてはならない状況になっている。TLRファミリー分子は自然免疫における病原体の認識に必須の受容体である。 Toll様受容体やその他の自然免疫に関わる受容体は、病原体に常に存在し(進化上保存されたもの)、しかも病原体に特異的な(宿主にはない)パターンを認識するものでなければならない。そのためにToll様受容体は、細菌表面のリポ多糖(LPS)、リポタンパク質、細菌やウイルスのDNAに含まれる領域などを認識するようにできている。もしToll様受容体がうまく働かないと、すべての免疫システムは崩壊し、身体は感染に対して全く無防備な状態となる。その一方で、Toll様受容体が強く作用しすぎると、「関節炎」や「全身性エリテマトーデス」「心血管障害」など、慢性的で深刻な炎症を特徴とする疾患を引き起こしてしまう。TLR1~TLR5が知られている。
※6 クラススイッチ 抗体は免疫グロブリンの基本構造のH鎖の定常領域が少しずつ異なっていることによって5つのクラスIgM、IgD、IgE、IgG、IgAに大別される。IgGはさらにIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、のサブクラスに分けられます。最初はIgMが産生されますが、IgMのものからIgGのもの、IgAのものと、ひとつの細胞がそれぞれのクラスのものへと作り変えていきます。これをクラススイッチと呼びます。 B細胞は分化した当初は、IgM(とIgD)という型の抗体を合成するが、T細胞からのヘルプを受けて活性化すると、抗体遺伝子に組み換えが起こり、IgGあるいはIgE、IgAなどほかの型(クラス)の抗体を合成するように変化(スイッチ)する。この過程をクラススイッチと呼び、この組み換え過程に必須の役割を果たしているのが酵素「AID」である。 免疫遺伝子を変化させる能力を持つ酵素「AID」が遺伝子を切断するメカニズムを、京都大学大学院医学研究科の本庶佑(ほんじょ・たすく)客員教授(分子生物学)らの研究チームが動物実験で突き止めた。酵素AIDは異物を攻撃する抗体を作り出す際に働く。 ※7ヒートショックタンパク質(熱ショックタンパク質、HSPとも言います。) ヒートショックタンパク質と呼ばれる一群のタンパク質は、熱ストレスや精神的なストレスなどによる誘導だけではなく、一部は常時細胞内に存在して、生命現象を行う種々のタンパク質の立体構造の維持・修復がメインです。高温によるストレスをうけるとタンパク質が立体構造を保てなくなり、機能を失います。その際にタンパク質が立体構造を復活するのを助けたりもします。新生時から正しい立体構造形成、輸送、そして分解までの面倒を見るタンパク質の介助役のタンパク質群です。熱は効果的に多くのHSPを個々の細胞内に誘導することができ、細胞が更にストレスに曝された時、細胞が生き延びられるように働きます。それゆえ、緊急事態に誘導されるHSPは「細胞危機対応たんぱく質」とも言える役割も担っています。 ※8ポリアミン ポリアミンは、さまざまな生理活性を持つ低分子有機化合物です。まだ一般にはあまり知られていないのですが、最近、急速にその有用性が明らかになってきています。 ポリアミンはアミノ酸の一種であるアルギニンから細胞内で合成されます。全ての動物やヒトの細胞内で合成されますが、加齢に伴ない、ポリアミンを合成する酵素の活性が低下します。 ポリアミンは、その中にいろいろな金属を収納できます。大きければ大きいほどイオン半径の大きな金属を収納することができます。金属イオンと有機物のコンプレックスを作る。 生理作用 *細胞分裂や増殖の制御 ? ポリアミンがないと細胞分裂や増殖は行えない。 *RNAなどの核酸、タンパク質などの合成促進 ? 生体内では前立腺、膵臓、唾液腺など、精子や酵素作る組織に多く含まれる。 *加齢によって、体内のポリアミンは減少する事が知られており、老化との関連も示唆される *あらゆる生体中に含まれ、細胞分裂や蛋白合成などの活動に関与している成長因子である。 われわれの体の中には、もともと天然ポリアミンが存在しています。1971年には、病気の進行度合いと尿中のポリアミン量に相関性があることがわかりました。特にこの時には、ポリアミンの量的変化を追っていけばガンの進行度合いがわかるという論文が発表されたのです。それからにわかにポリアミンの研究が盛んになってきました。その後、ポリアミンの代謝経路が解明され、病気になると血液中、体液中のポリアミン量が増すことがわかりました。 すなわち、ポリアミンのホメオスタシス(恒常性)で正常と異常がわかるようになったのです。ガンに限らず、細胞機能の異常を伴う病気であれば、ポリアミン量との相関性が出てくるのです。
※9難消化性デンプン 通常のアミラーゼで消化されないデンプンで,食物繊維としての性質も示す。 難消化性デキストリン:水溶性食物繊維として使われる。 トウモロコシのデンプンを培焼し、アミラーゼ(食物として摂取したデンプンを消化する酵素)で加水分解します。その中の難消化性成分を取り出して調製した水溶性の食物繊維が難消化性デキストリンです。
※10 インクレチン インクレチンは2つのペプチドホルモン GIP と GLP-1 の総称で、ずれも消化管の内分泌細胞で合成され、栄養素の摂取に伴って血中に放出される。膵臓β細胞に作用しインスリン分泌を促進する因子です。 これらのホルモンは食事由来の刺激により主として小腸のK細胞(GIP)とL細胞(GLP-1)から門脈血中に分泌され、膵臓ランゲルハンス島のβ細胞からそれぞれのG蛋白共役性受容体を介して血糖依存性にインスリンの合成および分泌を促進する。血中でタンパク質分解酵素DPP-4によって分解されなかったインクレチンは、膵臓β細胞内のcAMP 濃度を上昇させ、インスリン分泌を促進する。これ以外にも、膵臓β細胞数の増加や膵臓外作用を有しており、多彩な生理活性が糖尿病治療に応用されている(医薬品 ジャヌビア錠,エクア錠)。
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