大腸がん:発症率低い男性はビタミンB6摂取、女性はコーヒー3杯以上──厚労省調査
◇厚労省が大規模調査
大腸がんと生活習慣の関係が、国立がんセンターや群馬大などでつくる厚生労働省研究班の大規模調査で明らかになった。男性はビタミンB6摂取、女性は1日3杯以上のコーヒーで発症の危険性が下がり、適度な日光浴は男女とも直腸がん予防につながる可能性があるという。
研究班は9府県の40~69歳の男女約9万6000人を調査。コーヒーを1日3杯以上飲む女性は、ほとんど飲まない女性に比べ、大腸がんになる危険性が約3割低かった。粘膜を越えて進行する結腸がん(結腸浸潤がん)に限ると、3杯以上の女性は飲まない女性より56%も低い。男性では、関連は見られなかった。
一方、男性では、魚やナッツに含まれるビタミンB6が効果を示した。同様の男女約8万人を調査。1日当たりのB6摂取量で男性を4グループに分け、大腸がんとの関係を比べた。
その結果、最も摂取量が少ないグループは、他のグループより危険性が30~40%高かった。週に日本酒約7合(エタノール換算で150グラム)以上飲む男性でも、B6摂取は効果があった。女性ではB6との関連は見られなかった。
また、男女約4万人を対象に、体内のビタミンDの貯蔵量別に4グループに分け、直腸がんとの関係を調べたところ、最も少ないグループは最も多いグループに比べ、男性で約4.6倍、女性で約2.7倍も直腸がんになりやすかった。ビタミンDは紫外線によって体内で多く合成されるため、適度な日光浴が、直腸がん予防につながる可能性があるとみられる。【大場あい、永山悦子】(毎日新聞 2007/08/01)
ビタミンCが脳卒中予防の役割担う
血中のビタミンC値(濃度)が高いと、脳卒中のリスクの低下をもたらすことが、英国の新しい研究によって示唆された。ただし、ビタミンCサプリメント(栄養補助食品)を大量に摂取しても脳卒中を予防できるわけではない、と専門家は注意を促している。
米医学誌「The American Journal of Clinical Nutrition」1月号に掲載された今回の研究は、英国に住む2万人以上(40~79歳)を対象に実施されたもの。健康に関する質問票に回答してもらい、血中ビタミンC値を測定した。平均追跡調査期間は9.5年、最終的には約20万人年(人数と年数を組み合わせた測定値。人年罹患率や死亡率の分母として使用される)となり、期間中、448人に脳卒中が認められた。
性別、喫煙歴、ボディ・マス・インデックス(BMI)、血圧、コレステロール値、糖尿病、飲酒、身体的活動、心疾患の既往など他の危険因子を調整後、血中ビタミンC値が最も高い群の脳卒中リスクは、最も低い群よりも42%低く、血中ビタミンCはこのリスクと強い逆(負)の関連性を示すことから、脳卒中のリスクに影響する因子が何であれ、優れたバイオマーカー(生体学的指標)となる可能性が示された。
米ニューヨーク大学メディカルセンターのKeith Siller博士は「今回の研究で、ビタミンCが脳卒中リスクを直接低下させることは示されておらず、ビタミンCは健康的なライフスタイルの指標と考えられる。リスク低下のメカニズムは不明だが、果物や野菜を食事に組み込むという米国栄養協会(ADA)の推奨に従うべきである」と述べている。
この報告の論説の共著者でもある米国立糖尿病・消化器病・腎疾患研究所(NIDDK)のMark Levine博士は、結論として、脳卒中や他の健康問題を予防するには果物や野菜の摂取量を増やすべきだと述べ、サプリメントではなく、さまざまな色の野菜や果物を毎日5種類以上食べることを勧めている。(HealthDay News 1月11日)(薬事日報 2008/01/21)
脚光 がん患者にビタミンC
大量に点滴 従来治療と併せ試行 「進行を抑えた」症例も
がん患者に、ビタミンCを大量に点滴する療法が、昨年から国内約50の医療機関で試みられている。従来の治療と併用で、臨床試験が行われていないため効果は立証されていないが、「進行を抑えた」といった治療例が報告されている。(編集委員 伊東正剛)
函館出身の水上治さん(60)が院長を務める東京都千代田区のクリニックでは昨年1月以来、100人を超す患者に高濃度のビタミンC点滴療法を行っている。
2006年9月に卵巣がんの摘出手術を受けた都内の女性患者(56)は、抗がん剤治療を続けた。肺などにも転移し、その都度手術を受けた。昨秋、ビタミンCを15グラムから30グラム、60グラムと増やしながら点滴。20回目で腫瘍マーカーの数値が改善し、抗がん剤の副作用も消えた。
通常の点滴で使うビタミンCは、0.5-1グラム程度。点滴療法はその100倍前後の量を希釈して投与する。点滴時間は60グラムで1回約2時間。患者の状態によるが通常は週2、3回で通院でも可能だ。
保険適用外なので治療費は全額患者負担。60グラムの点滴で1回1万5000-3万1500円と医療機関で幅がある。腎機能障害の場合などは治療できない。
水上さんによると、手術後に点滴治療を受けて転移巣が消えた乳がん患者(46)や、進行性の胃がんなどの男性(77)が化学療法とともに点滴を続け、がんの進行が半年以上停止するなど、効果を示す例があった。
ただ、患者への効果を実証するには、ビタミンC投与と、それに似た偽薬投与の患者を比較する、「二重盲検法」と呼ばれる臨床試験が必要だが、倫理上の問題や投与が大量なため行われていない。
水上さんは「がんには、手術と放射線治療、化学療法の三大療法が有効なことは揺るぎない。点滴療法はそれを補う治療法として、効果があると実感している」と話している。
ビタミンCの、がんに対する効果については、米国の国立がん研究所などの研究者が05年9月20日付「米国科学アカデミー紀要」に論文を掲載した。
それによると、ビタミンC(アスコルビン酸)は、酸化の過程で過酸化水素に変わる。正常細胞にはこれを分解する酵素があり無害だが、がん細胞は酵素がなく、かなりの確率で死滅する。ビタミンCは、口から大量に摂取してもほとんどは尿で排出されるが、点滴だと血液で安全に運ばれ、がん細胞だけを攻撃する。
点滴療法は約40年前に英国の医師が始め、その効果を米国の化学者でノーベル賞受賞者のライナス・ポーリング博士が共同で発表した。しかしその後、米国の代表的な医療機関・メイヨークリニックが行った経口での臨床試験では効果が確認されず、治療は長い間、一部の医療機関でしか行われてこなかった。
道内では、米国の学会で正式に報告された同療法の普及を進める点滴療法研究会(会長・柳澤厚生杏林大教授)が昨年12月に札幌でセミナーを開き、治療例などを報告。これまでに4医療機関が導入している。
柳澤教授は「治療には、点滴医療の知識が必要なうえに、健康保険が適用されないため、どの医療機関でも受けられるわけではない」としたうえで、希望者は主治医とよく相談し、同研究会会員の医師の治療を勧めている。
同療法の導入医療機関などは、柳澤教授のホームページhttp://www.yanagisawa.com/に掲載している。(北海道新聞 2008/02/26)
健康ブームの落とし穴? ビタミン剤で寿命縮む恐れ
【ロンドン=星浩】健康な人がビタミン剤を服用すると、寿命を縮める恐れがある?。デンマークの研究者らが、世界的なサプリメントブームに警鐘を鳴らす調査結果を発表した。英保健省も注意を喚起している。
英デーリー・テレグラフ紙などによると、コペンハーゲン大学の研究チームは23万人を対象に、化学的に合成されたビタミンを含む抗酸化剤(老化防止剤)の服用効果を調査した。
その結果、ビタミンA剤では寿命を縮める危険が16%高まりベータカロチン剤でも7%増すことが分かった。風邪の予防のため多くの人が摂取しているビタミンC剤には、顕著な予防効果が確認できなかったという。
研究者らは「サプリメント摂取が、もともと体に備わる病気への防御力を阻害する」と指摘している。
英保健省のスポークスマンは「サプリメント剤服用の効果を検証する必要がある」とした上で、食事によってビタミンなどを摂取するよう呼び掛けた。(中日新聞 2008/04/17)
ビタミンB群、心疾患を抑制=ただし食事でバランスよく-厚労省研究班
ビタミンB群を食事で多く取る人は心筋梗塞(こうそく)になりにくいことが27日までに、厚生労働省研究班(主任研究者=津金昌一郎国立がんセンター部長)の大規模疫学調査で分かった。どれか1つだけでは効果がなかった。
研究班は1990年と95年、岩手、秋田、長野、沖縄の4地域で、40~59歳の男女約4万人の生活習慣を調査。約11年の追跡期間に、男性201人、女性50人の計251人が心筋梗塞などの虚血性心疾患になった。
食事内容からビタミンB6、B12、葉酸の摂取量を算出してそれぞれ5群に分け、喫煙や肥満、ビタミン剤摂取などの影響を除いて発症リスクを比較。その結果、いずれも摂取量が多いとリスクが低い傾向がみられた。
心筋梗塞に限るとより顕著で、最も少ないグループに比べ、最も多いグループは葉酸で約4割、B6、B12で約5割低かった。
また、摂取量が多いか少ないかの組み合わせでも検討。3つすべて少ない人は、すべて多い人の2倍以上のリスクだった。1つだけ多くても他の2つが少なければ同様に高リスクで、特にB6が少ないと、B12と葉酸が多くても2倍以上だった。
研究班は、これらを満遍なく、特にB6を多く含む食品を積極的に取ることが、心筋梗塞の予防につながる可能性があるとしている。(時事通信 2008/05/27)
ビタミンDが欠乏すると死亡リスクが高まる、オーストリアの医科大学
【6月25日 AFP】ビタミンDが欠乏すると、特に心臓血管系疾患による死亡リスクが高まる。オーストリアのグラーツ医科大学(Medical University of Graz)がこのような研究結果を23日発行の医学誌に発表した。
米国医学会(American Medical Association)の機関誌「Archives of Internal Medicine」によると、研究チームは、同大の病院に1997-2000年に来院した患者3258人(平均年齢62歳)のビタミンD値を測定し、7.7年間にわたり追跡調査した。
この期間に737人が死亡したが、その内訳はビタミンD値が最も低いグループでは307人で、ビタミンD値が最も高いグループの103人を2倍以上上回った。なかでも、ビタミンDの欠乏と心臓血管系疾患による死亡には強い相関が認められた。死者数の62.8%にあたる463人が心臓血管系疾患によるものだったのだ。
ビタミンDが人間の免疫系に重要な役割を果たすことは、数々の研究で示されている。米ハーバード大学(Harvard University)は6月初め、ビタミンD値が低い人では心臓発作を起こす確率が高くなるとの研究結果を発表している。ビタミンDの欠乏が糖尿病、肥満、高血圧のリスクを高めるという研究も発表されている。
同機関誌によると、世界の高齢者人口の50%以上でビタミンDが欠乏しており、若年層でも同じような傾向が見られる。ビタミンDの欠乏は、屋外活動の減少や加齢、大気汚染が原因に挙げられる。
ビタミンDは、紫外線に当たることで体内に生産される。太陽に1日あたり10-15分当たるだけで充分という。ビタミンDを含有する食品には、魚、牛のレバー、卵黄などがある。マグロ缶85グラムには200 IUのビタミンDが含まれているという。(AFP 2008/06/25)
高濃度のビタミンC注射に抗がん効果、米研究
【8月5日 AFP】高濃度のビタミンC注射が、がんの発達や進行速度の抑制に効果的だとする研究結果が、5日の米科学アカデミー紀要(Proceedings of the National Academy of Sciences、PNAS)で発表される。
米国立衛生研究所(National Institutes of Health、NIH)の研究チームが、脳、卵巣、膵臓(すいぞう)にがんを持つラットの静脈または腹腔(ふくくう)にアスコルビン酸注射を行ったところ、がん細胞株の75%で抗がん効果がみられたという。通常の細胞への影響はなかった。
研究チームはまた、アスコルビン酸に抗がん作用があるのは、腫瘍(しゅよう)をとりまく細胞外液で過酸化水素が形成されるためであることを突き止めた。
ただし、ビタミンCは内服した場合、体が摂取量を制限するため高濃度では摂取できず、注射で投与する必要があるという。ビタミンCの抗がん効果の可能性は数十年から指摘されてきたが、その後の研究で、口からの摂取では効果がないことが分かっていた。(AFP 2008/08/05)
ビタミンC投与でがん半減 マウス実験で、米研究所
【ワシントン4日共同】ビタミンCをマウスに大量投与することで、がん細胞の増殖を半分に抑えることができたとの実験結果を、米国立衛生研究所(NIH)の研究チームが米科学アカデミー紀要(電子版)に発表した。
チームによると、約30年前にビタミンCががんに有効だと注目されたが、その後の実験で否定された。今回は、効果が否定された経口投与ではなく、体内に直接注入。「副作用もなく、人間への適用も可能だ」としている。
実験ではまず、43種類のがん細胞と5種類の通常細胞に、ビタミンC(アスコルビン酸)の溶液を加えると、通常細胞に変化はなかったが、がん細胞のうち33種類では細胞の半分以上が死滅した。
次に、腹腔(ふくくう)内にそれぞれ子宮がん、膵臓(すいぞう)がん、脳腫瘍(しゅよう)の細胞を植え付けたマウスに、体重1キロ当たり4グラムという大量のアスコルビン酸を毎日投与すると12―30日後に、投与しなかった場合に比べてがんの重さが41―53%に抑えられた。副作用もみられなかった。
アスコルビン酸から発生した過酸化水素ががん細胞に作用したとみられるという。(共同通信 2008/08/05)
(NIH News 2008/08/04)
ビタミンC 歯槽骨の破壊抑制 岡山大病院 友藤講師確認
歯周病予防へ期待
岡山大病院(岡山市鹿田町)の友藤孝明講師=予防歯科学=らは15日までに、ビタミンCの摂取が歯を支える「歯槽骨」の密度を高めることを動物実験で突き止めた。ビタミンCは歯周病に対して効果があるとされるが、骨の破壊を抑えることで、予防への有効性をあらためて示す成果として注目される。
友藤講師らはこれまでの研究で、コレステロールの取りすぎが歯槽骨を溶かすことにつながるとの結果をラット実験で確認していた。
今回の実験では、細菌やウイルスなどに対する抵抗力を高めるビタミンCに着目。生後8週目のラット24匹を、標準食と水▽コレステロール食と水▽コレステロール食とビタミンC入りの水(濃度を2種類に設定)-の4グループに分けて観察、12週間後に歯槽骨の変化を見た。
標準食と水を与えたグループの歯槽骨の密度に比べ、コレステロール食と水を与えたグループは10%低かったが、コレステロール食とビタミンC入りの水を与えたグループは7-8%高かった。
この結果、友藤講師は、ビタミンCが骨を破壊する細胞の増殖を間接的に食い止めていると結論付け、研究成果を米国の歯周病学会誌に発表した。
友藤講師は「今後はヒトでも同様の効果が見られるかどうか調べ、歯周病の予防に栄養療法を取り入れるきっかけにしたい」としている。(河内慎太郎)(山陽新聞 2008/08/16)
ビタミンC注射によりマウスの腫瘍増殖が遅延
進行癌を有するマウスに高用量のビタミンCを注射すると、正常組織に影響を及ぼすことなく腫瘍の増殖を有意に遅らせたと研究者らは報告している。ビタミンC(アスコルビン酸)の抗癌効果の可能性については数十年にわたり研究されているが、今回の知見はビタミンCがヒトの癌を治療する薬物として認められるための「確固とした基盤」となる、と8月5日付け米国科学アカデミー会報誌に掲載された。
ビタミンC注射の効果を調べるため、米国国立糖尿病・消化器・腎疾患研究所(National Institute of Diabetes and Digestive and Kidney Diseases)のDr. Mark Levine氏らは、進行性の脳腫瘍、卵巣腫瘍、膵臓腫瘍を移植したマウスに高用量のアスコルビン酸を静脈内または腹腔内投与した。ビタミンC注射を行ったマウスでは、移植後に処置を行っていないマウスに比べ腫瘍の増殖が約半分に減少した。
投与方法の違いが効果に決定的な差を生むとみられる。ビタミンCを経口投与した場合、人体は血中アスコルビン酸濃度が少しでも過剰になるのを防御してしまう。NCIが支援した過去2件の臨床試験においてビタミンCを経口投与しても生存期間の改善がなかったのは、この理由によるものと思われる。1985年に発表された2つ目の研究以後、癌にビタミンCを用いることの科学的な関心は薄れ、補完医療や代替医療を実施する一部の医師が癌患者に高用量のアスコルビン酸投与を継続していた。
今回の新知見では、アスコルビン酸投与による過酸化水素の形成が抗癌活性につながっていることが示唆された。本研究により、患者へのビタミンC投与に関する臨床試験実施のためにこれまで強く求められてきた生物学上の論拠がようやく得られたと、
付随の論説で述べられている。
ビタミンC投与ではマウスを完全に治癒させることはできなかったため、高用量アスコルビン酸の静脈注射については人での他の癌治療法との併用を研究するべきだ、と本研究の著者らは提案している。(海外癌医療情報リファレンス:NCI Cancer Bulletin「個別化癌医療」特別号 2008/08/19)
カルシウム+ビタミンD、大腸がんのリスク低減
カルシウムとビタミンDをともに多く摂取すると、大腸がんにかかるリスクを下げる可能性があることが、九州大などの調査でわかった。近く米国のがん予防専門誌で報告する。
古野純典・九大教授らのグループが、福岡市とその近郊に住み、大腸がんと診断された836人と、同じ年代で大腸がんではない861人から食事や生活習慣を詳しくたずね、関連を調べた。
1日あたりのカルシウム摂取量が平均約700ミリグラムと最多の人たちが大腸がんになるリスクは、同400ミリグラムで最も少ない人たちと比べ、3割ほど低かった。しかし、カルシウムを多くとっても、ビタミンDをあまりとらない人では、違いははっきりしなかった。
そこで、カルシウムを平均約700ミリグラムとり、かつビタミンDを多くとる人(1日10マイクログラムかそれ以上)で比べると、大腸がんリスクは、カルシウム摂取が少なくビタミンDをあまりとらない人より、6割低かった。
ビタミンDはサンマやサケといった魚類やキノコ類に多い。日本人のカルシウム摂取量は1日あたり平均540ミリグラム余で不足ぎみ。ビタミンDは8マイクログラムほど。大腸がんは肥満や飲酒でリスクが高まることがわかっている。
牛乳を飲んでカルシウムを多くとると、大腸がんリスクが2割ほど下がることは、欧米グループが報告している。今回の結果をまとめた溝上哲也・国立国際医療センター部長(前・九大助教授)は「ビタミンDはカルシウムの吸収を助けるので、大腸がんの予防効果を高めるのかも知れない。さらに効果を調べたい」と話す。(田村建二)(朝日新聞 2008/09/22)
ビタミンCサプリメントで一部の抗がん剤の効果減少、米研究
【10月5日 AFP】がんの化学療法中にビタミンCのサプリメントを摂取すると、一部の抗がん剤の効果が減少するとの新しい研究結果が、米医学誌『キャンサーリサーチ(Cancer Research)』(10月1日号)で発表された。
実験室での研究では、あらかじめビタミンCで処理した分離されたがん細胞の死滅率が30-70%減少することが判明した。また、ビタミンCの投与と化学療法を平行して行ったマウスでは、腫瘍(しゅよう)が通常より速く成長することも判明した。研究チームは、同様の効果が人間のがん患者にも当てはまる可能性があるかもしれないとしている。
多くの抗がん剤は「酸素遊離基」を作ってがん細胞を攻撃するが、今回の研究はビタミンCがこの遊離基を吸収するために化学療法の効果が薄れるのではないかとの仮説を提示した。
論文の主執筆者である米ニューヨーク(New York)のメモリアル・スローン・ケタリング癌センター(Memorial Sloan-Kettering Cancer Center、MSKCC)のマーク・ヒーニー(Mark Heaney)氏は「ビタミンCのサプリメントは化学療法の治療効果を減少させる可能性がある」と説明する。
ヒーニー氏は、ビタミンCは細胞が活動を続けるための「動力装置」である極めて重要なミトコンドリアを保護することによって細胞の寿命を延ばす効果があり、通常の細胞にとってきわめて有益だと述べた。しかし、抗がん剤はがん細胞のミトコンドリアを破壊してがん細胞を殺すことを狙っているため、化学療法中はビタミンCが逆効果になるのではないかとの見方を示した。
これまでの研究では、ビタミンCは抗酸化物質であるため、がん患者によい効果をもたらす可能性があることが示されていた。8月に発表された研究では、マウスに高濃度のビタミンCを注射した結果、腫瘍(しゅよう)が小さくなり、がんの成長が約50%遅くなることが示された。論文では、がん患者はビタミンCが豊富な食べ物など、健康的な食事をとるべきだとしている。(AFP 2008/10/05)
ビタミンCやE、ガン予防に効果みられず 米研究
【12月10日 AFP】ビタミン類のサプリメントを服用すれば、ガン予防にある程度の効果があるとされてきたこれまでの研究に異議を唱える研究結果が発表された。米医師会の医学誌「Journal of the American Medical Association、JAMA」(1月7日号)で発表された2つの研究によると、ビタミンCとビタミンEには、ガンのリスクを低下させる効果がみられなかったことが明らかになった。
研究によると、50歳以上の約1万5000人を対象に8年間にわたる調査を行った結果、ビタミンC、ビタミンEのどちらもガンのリスク低下にはそれほど効果はなかったことが明らかになったという。これまでの研究では、ビタミンCやビタミンEと、前立腺ガンなどのある特定のガンのリスクを低下させる効果との関連性が指摘されていた。
また、50代以上の約3万5533人を対象に7年間にわたって行われた、セレンとビタミンEの摂取による前立腺がんの予防効果を調べる「Selenium and Vitamin E Cancer Prevention Trial(SELECT)」でも同様に、ビタミンEを摂取してもガンリスクの低下はみられなかったという。
米成人の半数以上は、ガン予防を期待してビタミン類のサプリメントを服用しているといわれるが、そうした人びとにとっては、残念な結果となったといえるかもしれない。(AFP 2008/12/10)
ビタミンC 適量摂取で老化を防止 しみ、そばかす、乾燥肌にもプラス
アンチエージングという言葉がはやるなど老化防止への関心が高い。では何をすれば、老化を防げるのか? 精神的なストレスを避け、生活習慣病にならないことが基本だが、今回はビタミンCとの関係を通じて、老化防止を考えてみたい。【小島正美】
アンチエージングは一般に「抗加齢」と訳されている。しかし、加齢は年を重ねることなので、加齢自体を止めることは不可能だ。老化防止の研究で知られる石神昭人・東邦大学薬学部准教授は「加齢の結果、老化が生じるので、アンチエージングは抗老化と訳す方がよい」と指摘する。
では、老化防止が進んでいるかどうかを知る指標はあるのだろうか。
■加齢とたんぱく質
今年3月まで東京都老人総合研究所にいた石神さんらは肝臓や肺などで加齢とともに減ったり、増えたりするたんぱく質を探す研究を続けてきた。その結果、17年前に見つけたのが「SMP30」というたんぱく質だった。その後、このたんぱく質がどんな働きをするかをずっと研究してきた。
その働きは、SMP30を作る遺伝子を破壊したマウス(遺伝子破壊マウス)の飼育、観察で分かってきた。長年の研究の結果、外見的には野生のマウスと大差はなかったが、細胞を電子顕微鏡で見ると脂肪の粒の増加やエネルギーをつくるミトコンドリアの形態異常など細胞レベルでは障害が起きていることが分かった。人で言えば脂肪肝に近い症状だったのだ。
■壊血病に似た症状
また、SMP30はビタミンCの合成に必要な酵素ということも分かった。
そこで、SMP30を作る遺伝子を破壊したマウスを、ビタミンCを含まないえさで飼育し、ビタミンCを含む通常のえさで育ったマウスと成長や生存の様子を比べてみた。すると通常のマウスは健康に育ったのに対し、遺伝子破壊マウスは体重が減少したり、骨の形成が悪かったり、血管がもろくなったり、人の壊血病に似た症状を示した。
■生存率に4倍差
さらに、ビタミンCを必要(1日あたり7ミリグラム)なだけ与えたマウスと、ごくわずか(1日0.2ミリグラム、必要量の2.5%に相当)しか与えないマウスの比較飼育もした。
その結果、ビタミンCをちゃんと摂取したマウスは2年(24カ月)後でも約半分が生きていたのに対し、ビタミンC不足のマウスはわずか6カ月で半分が死んでしまった=図参照(※江原注:割愛)。つまり50%生存率で4倍の差があり、石神さんは「ビタミンC不足マウスは4倍もの速さで老化が進むことが分かった」と話す。この実験結果はビタミンCと老化の関係を解き明かす貴重な研究成果と言えそうだ。
■食物で1日100ミリグラム
もともと人はビタミンCを合成できないため、食べ物から摂取する必要がある。この実験結果を人にあてはめてみると、人は1日あたり100ミリグラム程度のビタミンCを摂取する必要がある。野菜や果物を毎日食べている人はビタミンC不足になることはないが、即席食品に頼るような偏った食生活の人や高齢者はビタミンC不足になりやすい。
血液中のビタミンCの濃度は加齢とともに減ることが分かっている。入院中の患者や糖尿病の患者などでも、ビタミンCの不足が生じやすい。
といっても、ビタミンCをたくさん取ればよいというものではない。多少多く取っても尿として排せつされるだけだ。過剰に取ると便が軟らかくなったり、老化を促す活性酸素が増える危険性もある。石神さんは「何事も適量の摂取が健康のもとだ」と話す。
■メラニンを抑制
一方、抗酸化作用のあるビタミンCは肌の老化防止にも役立つ。肌にしみ、そばかすができるのは肌の細胞の老化現象だ。光などの刺激で肌に黒っぽいメラニンが生成されると、しみやそばかすになる。ビタミンCなどの抗酸化物質は、このメラニンの生成を抑制する働きがある。
亀山孝一郎・青山ヒフ科クリニック院長(東京都)は「ビタミンCは皮膚の弾力性を保つコラーゲンの生成をも促す。しみ、そばかす、にきび、乾燥肌にもプラスだ。ストレスの防止にもよい」とビタミンCの有用性を話す。
■アセロラで効率的
ビタミンCの摂取の基本は普段から果物や野菜を食べることだが、どうせ取るなら効率的に取りたい。そこで注目したいのが美肌フルーツといわれる果物のアセロラだ。
健康栄養問題に詳しい村田晃・元佐賀短期大学食物栄養学科長によると、アセロラはレモンの果汁やイチゴに比べ、同じ量で30倍近いビタミンCを含む。同時に抗酸化作用のあるポリフェノールも豊富にある。アセロラに含まれるビタミンCは、合成ビタミンCに比べて、脳や皮膚など体内に吸収される率も高いといわれる。
村田さんは「ビタミンCは空腹時よりも、食後に取った方が吸収量が高い。母乳を与えている母親は母乳から失われるビタミンCを補うためにも1日あたり40~50ミリグラム多めに取るとよい」と話している。(毎日新聞 2008/12/20)
ビタミンCで作製効率アップ=ヒトiPS細胞-中国など
マウスやヒトの人工多能性幹(iPS)細胞を作る際、培養液にビタミンCを加えると、作製効率が向上したと、中国・広州生物医薬健康研究院やオーストリア・ボルツマン研究所などの研究チームが25日、米科学誌セル・ステムセル電子版に発表した。培養中に急速に進行する細胞の老化を遅らせる効果などが原因と考えられるという。
山中伸弥京都大教授らが開発したiPS細胞は、増殖能力が高く、身体の多様な細胞に変わる万能細胞。皮膚などの細胞に3、4種類の遺伝子を導入するだけで作ることができ、将来は再生医療への応用が期待されるが、作製効率が低い問題があり、国内外でさまざまな工夫が研究されている。
山中教授らは8月、がん抑制遺伝子「p53」の働きを抑えると、iPS細胞の作製効率が改善すると発表したが、ビタミンCにはこのp53抑制効果もあった。
また、米ホワイトヘッド生物医学研究所などの研究チームは昨年、抗てんかん薬として知られる「バルプロ酸」を添加すると、作製効率が大幅に向上したと発表したが、バルプロ酸とビタミンCを併用すると、高い相乗効果があった。(時事通信 2009/12/25)
インフルエンザ予防にビタミンDが効果的 魚やキノコ
魚やキノコに多く含まれるビタミンDが、季節性インフルエンザ予防に効果があることを東京慈恵会医科大のチームが突き止めた。ビタミンDのサプリメント服用によって、発症率が半分近くに下がったという。実験結果は10日付の米臨床栄養学会誌に掲載。ビタミンDはワクチンや抗ウイルス剤のような副作用もなく、価格も安いため、途上国の予防対策としても期待できそうだ。
同大の浦島充佳准教授のチームは、平成20年12月~21年3月の流行期に、12病院の協力で6~15歳の子供334人を対象に実験。半数にビタミンD(30マイクログラム)入りカプセルを、残り半数にビタミンDが入っていないカプセルを毎日与えた。ビタミンD入りグループのインフル発症率は10.8%で、ビタミンDなしの18.6%の約半分に収まったという。
ビタミンDは、サバなどの魚類やシイタケなどのキノコ類に含まれ、体内で細胞の抗菌物質を分泌。食事だけでは十分でなく、紫外線を浴びることで皮下脂肪のコレステロールの一種がビタミンDに変わり、増える。インフルの流行は日照時間が短い12月に始まることから、これまでもビタミンDとの関連性が指摘されていたが、実証されていなかった。
浦島准教授は「ワクチンは流行の型で効用が大きく左右される。ビタミンDはよほど大量に摂取しない限り副作用がなく、安価」と指摘。特に途上国ではワクチンが十分行き渡らないこともあり、「ビタミンDは途上国のインフル予防対策として効果がある」と話す。(杉浦美香)(産経新聞 2010/03/17)
ポテトチップスでビタミンCを 効率的に吸収可能
ビタミンCを溶かした水より、ポテトチップスの方がビタミンCの吸収効果が高い-。こんな研究結果を、東邦大薬学部の石神昭人准教授(生化学)と東京都健康長寿医療センター研究所、カルビー研究開発本部がまとめた。
東京都で開かれている日本農芸化学会で28日、発表する。
研究グループは20代の大学生ら5人に、それぞれ50ミリグラムのビタミンCを含んだ水、蒸しポテト、ポテトチップスを1カ月の間隔を置いて摂取させ、8時間にわたり血液中のビタミンC濃度の変化や尿中の排せつ状況を調べた。
その結果、血中濃度に大きな差はなかったが、ポテトチップスを食べた後に尿として排せつされるビタミン量は水の場合の約3分の1で、体内にとどまっていることが分かった。
石神准教授は「ポテトチップスはビタミンCが濃縮されており、少ない量で効率的に取れる。食べ過ぎは問題だが、低栄養状態の人や高齢者にはお菓子として勧めてもよいと思う」としている。(共同通信 2010/03/27)

