これはまだワクチンもなかった2020年

のコロナ禍の中高生たちがリモートで

天体観測大会を開催するお話です。

 

もうすでに忘れかけているあの時期の

閉塞感とか怖れとかの空気感をありありと

思い出せて小説になって残ってゆくことが

うれしくもある素晴らしい小説なんです。

茨城、東京、長崎という離れた地域の

中高生たちはコロナで友人関係の変化、

移動制限、部活の大会の中止などで

それぞれ悩みを抱えています。

 

手造り望遠鏡を使いリモートで遠方の学生

と繋がりながら同時間に同じ空を見上げて

星をつかまえる速さを競います。

 

最後の部活の大会も修学旅行もなくなった

としても自分たちに出来ることを出来る限り

がんばっていた学生さんたちが大勢いて、

青春の楽しい時間は失われていないということ

を著者は言いたかったというのがよくわかります。

 

若者は夢を持って追い求めなければいけない

という謎の雰囲気がありますが、別に職業に

出来なくても趣味だけでも「これが好き」

「楽しい」と気づいた体験だけで充分で

それをずっと忘れないで、と教えてくれます。

 

人の役に立たなくても意味がなくても自分が

楽しければそれで人生は豊かになるという

スタンスは大事だと思います。

 

お話の中で北極星は変化してゆくものという

記述があって、わたしも10歳の時に歳差現象

を知って感銘を受けたのをよく覚えています。

 

だから今でも暗い早朝に星を見上げながら

歩いたりしているんですよね。

 

好きだと感じたことは人生の途中で忘れて

しまってもまたいつか思い出せて自分を

励ましてくれますよ。

 

いつも

ありがとうございます

みなさまも自分を励ます日もありますように