年明けてすぐにお葬式でのオルガン奏楽がありました。



現在、教会では歌うことが禁止されているので、私が担当したのは、式が始まる前に待っている間の音楽と柩(ひつぎ)を教会の中へ迎え入れる際の音楽、そして退出する際の音楽です。(ひつぎ: 漢字変換した場合、厳密には物としてのヒツギが棺で、遺体が納められた状態の棺が柩だそうです。)

本来は式の合間に賛美歌を数曲歌うのですが、遺族が選んだ曲のCDをかける、という形に変更されました。

さて、前日の夜風呂に入って翌日のことを考えていました。

故人(男性)やご遺族とは面識がありませんが、「明日はよろしくお願いします」と心の中で想いを送りました。

牧師から聞いた話では、クラシック音楽が好きでご夫婦でよくコンサートも行っていたとのこと。オルガン曲もpeacefulなクラシック音楽が希望とのことでした。私の少ないレパートリーから喜ばれそうな曲を選びました。

演奏の曲順などを目をつぶって湯船の中で確認していると、柔らかい緑とピンク色の光の玉二つが脳裏に浮かびました。

なんとなく明日のことかなぁと思いました。故人からのメッセージかもしれないし、教会からのウェルカムメッセージかもしれないし、とにかく心が温かくなったので、明日は大丈夫だ👌と安心して寝床に入りました。

お葬式当日は一時間前ぐらいから教会側での準備が始まります。葬儀屋さんも到着します。どこの葬儀屋が取り仕切るかは式の進行がスムーズに行くかの大きなポイントです。当日は葬儀屋が参列者の名簿をチェックしたり、柩を担ぎます。今日はどうやら地元の評判の良い葬儀屋チームが何人もで来ているようなので、一安心しました。
式の進行が書かれた式次第の冊子が参列者の座席に置かれます。これはご遺族が用意するようです。

当日、私の前半の役目は無事に終わり、オルガンの脇で式の進行を見ておりました。一曲目の曲がCDプレーヤーから流れ、ぼんやり聴いていると、太陽の光が急に強くなり、ステンドグラスから差し込む光が壁に映し出されました。

この教会のステンドグラスは色付きのガラスがランダムにはめ込まれただけの質素なものです。私が眺めていると、薄緑や淡いピンクの光が踊るように動いていました。雲の動きに合わせて太陽の光が強くなったり弱くなったりしていて、それがステンドグラスを通して影絵のような動きを生み出していました。

急に消えたかと思えばさっと現れる。立ちのぼるように煙のようにゆらゆらと揺れている。

曲に合わせて歌ったり踊ったりしているような音譜音譜音譜

きっと故人の好きな曲だったのでしょう。喜んでいるだろうなと思いました。

そして、この緑とピンクの光の玉。。。昨日見たわーお願いと心の中で静かに思いました。やっぱりなと思ったりして、当たり前のように感じたり。

式は滞りなく進み、故人の経歴や思い出が読み上げられました。奥様と二人の息子さんがそれぞれ書いた文章を牧師が読みます。

奥様の書いたエピソードの中で、なんと「日本に旅行をし」という一節がありました。知り合いがいたようで、その日本人の名前が読まれました。
へーー!と驚きつつ、聞いていると、今度は息子さんからのエピソードで「父が温泉に入り富士山を眺めている写真」のエピソードが紹介され、さすがに、なんですとー⁉️と叫びたくなりました。いきなりMt. Fujiという単語を弔辞で聞くとは予想もしてませんでした。日本を満喫されてますよねー。

旅行好きの家族のようで、様々な国を旅行したようですが、日本の思い出はご家族の中で印象深いもののようでした。

日本人として嬉しいですよね。


そして、これは家に帰ってから分かったのですが、夫に式の様子を伝えたところ、「土葬するのかなぁ?」とポツリと言ったのです。土葬はイギリスでは主流ではなくなってきましたが、今でもあります。数年前に夫の母が亡くなった時は教会でのお葬式の後、墓地で土葬でした。しかし、それ以外で参列したり、奏楽させていただいた式ではほぼ火葬だったと思います。教会の後は火葬場へ向かったり、火葬場の後、教会でメモリアルセレモニー的な式を行うこともありました。

「さぁー私が教会から出たら誰もいなかったからわからない。」と言ってふと式次第の冊子に目を通すと、「式の後は〇〇墓地へ向かいます。」とあるではないですか!
まさに私達が元旦に散歩した墓地でした。

袖振り合うも多生の縁だなと思いました。(このことわざは仏教の教えから来てると思うけどニコニコ)
今回の奏楽の担当も、違う日だったら他のオルガニストであった可能性もあるんです。

私の奏楽も完璧ではありませんが、少しでもお役に立てていたら嬉しいなと思います。