銀河英雄伝説の英語版から、俺が学習した表現やなんかをピックアップしてます。

まだ1巻の続き。

 

アスターテ会戦はじまる

前回までのあらすじ。
こんな感じで、同盟軍(青)は、帝国軍(赤)を包囲しようとしていたわけです。
個々の戦力は小さいんだけど、3つの艦隊を合計したら敵より多い。
こうなるから逃げようぜと帝国軍の主だった提督は危機感を募らせ撤退を具申し、しかし総司令官ラインハルトはそれを退ける。
逆に同盟軍では、勝利間違いなしと楽観視しているけれど、ただ一人参謀のヤン准将は、逆に危ないぞと注意喚起して、退けられる。
 

ヤンが提出し、却下された報告書より

if the enemy wishes to take aggressive action, they may view these circumstances not as a threat of envelopment, but as a prime opportunity to attack our divided forces and destroy them individually.
もし敵が積極的な行動を望むなら、彼らはこの状況を、包囲される危機ではなく、分散した敵を個別に打ち破る絶好の機会と見るだろう。
 
not as a threat of envelopment, but as a prime opportunity to attack…
英語に十分親しんでなかった俺が、どうにもなかなか馴染めないのが、こういうnot A, but Bっていう表現。
なんつーか、butの用法が「Ken is a boy. But he loves male.」みたいな中一レベルで止まってるのか、またはそれ以降の学習が脳から消え失せてるんでしょう(笑)
 
not A, but Bっていうのはたぶん基礎に類するんだろうけど、だったらなおのことこれからも意識して読んだり、使ったりしていきたいなあ。
 
あ、大橋巨泉とラサール石井が「not only A but also B」っていう表現について話していたのをなぜか覚えてて、この表現だけは知ってました(笑)
 
 
Should this happen, the enemy will first take the offensive against the Fourth Fleet, which is positioned directly ahead of them.
この場合、敵はまず彼らの正面に位置する第4艦隊を攻撃するだろう。
 
日本語の情報圧縮性能はすげーな。ほぼ半分で済むわ。
 
Should this happen
これが引っかかった。
疑問文じゃなしに文頭にShouldっていう形を知らなかった。

例文あたってもいいのは見つからなくて、結局ネイティブに尋ねる系のフォーラムにたどり着く(このパターン多いなー)。
それによると、
"should" at the start of a sentence as a nice way to say "if" in a conditional sentence.
まあ要するに「もし~なら」と、条件を言い表すものである、と。
このフォーラムの中でThomasさんて人が曰く、「In the event of ~」っていう言い換えもできるそーです(Thomasさんありがとう)
 
 
The Fourth Fleet is numerically the smallest and therefore the easiest to attack and defeat.
第4艦隊は数の上で最小であり、そのため最も撃破するのが容易である。
 
attack and defeatっていう表現がすごい遠まわしで、defeatだけでもいいだろって思うんだけど、これは日本語版の原文が「攻撃と勝利が容易であり」となっているのを尊重した結果と思われます。
 
numerically」っていう言い方はかっこいいなあ……。覚えておいてもいいかも。
ただ、うかつにこんな表現使っちゃったら、話せる人だ!!って誤解されてひどい目にあいそうだけど(笑)
 
 
Furhermore, after defeating the Fourth Fleet, the enemy will then be able to target the Second Fleet or the Sixth Fleet at its discretion.
さらに、第4艦隊を破った後、敵はそこから第2第6のいずれを狙うも思いのままである。
 
will then
この表現も、使いこなすことができたら、かっこいいなあ……
別にthenなくても成立しそうな文章に見えるけど、そういえば言語ってそういうもんだよね。
 
脱線だけど、知恵袋系のサイトで英語の質疑を参照するのって、ほんと怖い。
このwill thenっていう表現についても裏を取ろうと色々見てて、俺もそうした質疑に行き当たったんだけど、ベストアンサーが的外れ過ぎの予感。そういうこと、本当に多い……
 
 
at its discretion
俺はここで「思いのままである」っていう訳しなおしをしたんだけど、どうかなあ。
日本語原作の表現は「選択権はなお敵の手中にある」っていうもので、さすがにこれの直訳はしていないね。
 
discretionは、辞書的には
  1. 思慮分別、慎重
  2. 行動の自由、裁量、手加減
ってことで、間違っちゃないと思うんだけども。
 
 
One way to resist this strategy is as follows: After meeting their challenge, the Fourth Fleet should return mild resistance for a time, then begin a slow withdrawal.
As the enemy pursues them, the Second and Sixth fleets will strike them from behind.
When the enemy turns to engage, the Second and Sixth fleets will return mild resistance while withdrawing, and then this time, the Fourth Fleet will strike from behind.
Repeat until the enemy is exhousted.
Then surround and destroy.
This strategy has a very high probability of success, but close attention to force concentration, communication, and flexibility in advance and pullback is essential.
この戦略に対抗する一つの方法を次に述べる:
敵の攻撃に遭遇したのち、第4艦隊は控えめな反抗をしばし行い、ゆっくりと撤退する。
敵が追跡してくるところを、第2第6艦隊が後方から攻撃する。
敵が抗戦するべく反転したならば、第2第6艦隊は緩やかに反撃しつつ後退し、この間第4艦隊は背後から攻撃する。
これを、敵が疲れ果てるまで繰り返す。
その後包囲し殲滅する。
この戦略は成功の可能性が高いが、兵力の集中と、連絡と、前進交代の柔軟性とを必要とするということに注意。
 
pursue」っていう動詞は、追跡するっていう意味だけど、同じこの本の中で「いたずらに功績を追い求める」という意味でも出てきて、日本語と同じく(無形のものを)執拗に求めるっていう意味でも使えるよーです。
利益追求みたいな表現でも使えるんだろうな。

さて。
果たしてアスターテ会戦が始まるんだけど、ヤンが懸念した通り…

包囲網が完成する前に、正面の第2艦隊がさくっとブチのめされます。
一つ一つの兵力は同盟軍のほうが小さいわけで、じゃあわざわざ敵が集まるのを待たずに一つずつつぶせばいいじゃねえか、というラインハルトの行動。
 
このまま帝国軍完勝なの?
 
というわけで、つづく。