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(教えて!所得税:6)弱まった再分配機能、改革が目指すものは?

2016年11月5日05時00分

 

国の税収の主役は消費税へ

 

 2015年度の国の税収で最も多いのは、引き続き所得税だ。

ただ、もう消費税に肉薄されている。所得税収はピークの1991年度から3割以上減った。

90年代のバブル崩壊後、景気対策などで減税が繰り返されたのが一因だ。

 

 いま、所得税を納めていない人や低い税率が適用される人が多い。

特に中所得層に負担が少ない税構造なので、

最低税率5%の人が全体の6割、次に低い税率10%を加えると8割以上を占める。

フランス(39%)、米国(27%)、英国(3%)などの先進国と比べ、突出している。

 

 これだけ所得税率が低い人が多いと、問題も出てくる。

所得税が担ってきた所得格差を和らげる「再分配機能」も弱まってしまったからだ。

 

 89年の消費税導入時、所得税の控除が拡充された。

基礎控除配偶者控除扶養控除などで、多くの人には減税になった。

時代はバブル景気の真っただ中、会社員の給料は右肩上がりで、

中高所得者の税負担を和らげるためだった。

ボーナス増や株でもうける人も多く、国全体の税収は伸び続けていた。

 

 だが、90年代のバブル崩壊後は、日本経済の長期低迷やアジア通貨危機などに対応するため、

逆の目的で減税が繰り返された。

 

 2000年代には、高齢化による社会保険料の引き上げで

社会保険料控除が増える結果を招いた。

いまでは、収入のうち課税対象になる部分を指す「課税ベース」が、

諸外国と比べて小さいという日本の所得税の特徴が定着した。

働く人の全体の収入は年約250兆円なのに、課税対象は半分以下の110兆円にとどまっている。

 

 年金など、高齢者が受け取る給付は非課税の部分が大きい。

財務省は、高齢化が進めばさらに所得税収が細っていくとの危機感を持っている。

 

 このため政府は、今後数年かけて所得税改革を進めようとしている。

控除の見直しが中心だ。配偶者控除扶養控除だけでなく、

ほかの先進国より大きい会社員への「給与所得控除」なども念頭にある。

 

 財務省は、働く意欲を損なわせないためにも

課税ベースを広げて税率を低く抑えることが重要だと考えている。

また、これまではあまり課税されていなかった高齢者の負担をどのように求めていくのかも、

重要な論点になりそうだ。(奈良部健)

 

     ◇

 

 「所得税」は予定を変更し、今回で終わります。