トマス ハリス「ハンニバル 上下巻」感想 | ブルーピアス~BLイラストが描けるようになりたい~

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イラストなんて描いたことが無い。
最後に描いたと言える絵は中学の授業時間ぐらい。
もう50歳前の自分でもイケメン男子が描けるように頑張る奮闘記です。

久しぶりの書籍感想です。
BLではないですが、凄く面白かったんで、ご紹介します。

ネタバレが多々あるんで、注意してね!

ハンニバル・レクターを知ったのは、あの有名な「羊たちの沈黙」の映画だろう。
私の中では、その作品が人気小説だとは知らないで視聴したのだが、あきることなく引きつかれ魅せられたのを覚えている。

さて、「羊たちの沈黙」から、月日を得て「ハンニバル」を読むことにしたのだが、羊たち…のキャラルターに大して思い入れや思い込みをなしに読むのなら、私にとってこの作品は素晴らしいものだと評価してます。
羊たち…レクターとは、頭脳明晰で、隙が無く慎重でこの世の中の悪の最高峰に君臨する存在で、まるで悪魔のキングのようで読者は、ある意味崇高な存在として捕らえた人も多かったのではないかと思う。
 しかし「ハンニバル」では、ハンニバル・レクターはそのような存在としては描かれていないと思う。
もちろん、残忍な冷酷冷静な人物にはかわらないんだけど、決して何も考えていないような奇人ではなく、実は感情や想いをもつ人間であることを感じされる。

羊たち…から後、レクタークラリスは7年ぶりに再開することになるのだけれど、上巻では、今のそれぞれの状況と、再開するきっかけのエピソードが画かれている。
先ほどレクターを悪と言ったが、周りに登場してくる人物も悪だらけです。
3人目の主要人物になるメイスンは、レクターの最初の犠牲者であるが、人物像は本当に最悪である。
身動きできないし呼吸も人工装置が必要な状態になっているので、一心に同情を得るだろう状況なのに、まったくもって最悪最低の性格な奴です。
その他の人物も金、地位、名声、夢などの為に悪を胸に飼っている人々が登場してきます。
普段から全面的に悪ではないのだけれど、利己的な理由を掲げ仕方が無いのごとく悪を実行する人たち。


FBI特別捜査官となったクラリスの回りにも彼女を落とし入れる人物ポール・クレンドラーと言う人物が存在します。
 前作で登場するジャック・クロフォード(上司)は彼女の心のよりどころでもあるのですが、定年前で存在価値が低くなってきていて、また深く書かれていないのですが彼の心も何かにとらわれていて(寂しさとか空しさだと思うんだけど)、決して彼女を支えてくれる状態ではなくなっています。

そして、ジョン・ブリガムと言う元射撃教官だった人もクラリスの支えだったが、彼も死んでしまいます。

この二人はクラリスいとって父親のような心の拠り所であったのだが、それらを無くしてしまった状態に陥っていきます。

レクターに復習をしようとするメイスンは、クラリスを囮に使うために落とし入れようとする。
 このあたりでも、クラリスクラリスらしく、犯罪を憎み正義を愛するFBI捜査官の鏡のようです。
ただ、自分の信じる正義とFBIや警察機関などの組織に対しての矛盾と存在意義があるのかどうかの心の揺らぎを感じられました。



一方、レクターは、イタリアにて自分の愛する芸術などに囲まれて、生活していたのですが、復讐に燃えるメイスンの捜索の追手がせまります。
上巻では、執拗に追うメイスンの恩讐とレクターを探し捕らえようとする雇われた人間の悪しき思い…そうですね~必要悪とでも言うか、それらの心模様が明細に書かれていて、決してレクターが良い人のようには書かれていないのに、ひっそりと暮らしているレクターの生活を壊されてかわいそうな気持ちに、ちょっとなったりしました。


結局、イタリアではメイスンはレクターを捕らえられず、レクタークラリスの住むアメリカへと舞台は移動していきます。


豚にレクターを生きながら食わせるメイスン計画が進み、結局、クラリスを囮にレクターを捕られます。
連れ去られた人物がレクターだと確信したクラリスはメイスン宅の捜査を要望したが却下される。
そこで、クラリスは単独でレクターを助けに行くんです。
レクターが嬲り殺しにされるなんて嫌だったのです。

たぶん私が思うに、自分の中の孤独、深淵を知り理解する唯一の人レクターを失う恐怖。
理屈ではない心が失うことを受け入れることが出来なかったのだと思う。


結局、危ないところをギリギリでレクターを助けるんだけど敵の麻酔銃が2本クラリスに命中してしまって意識を手放してしまうんだけど、レクタークラリスをお姫様抱っこして助けるのね。

ここの場面は、不謹慎にも萌え~ですwww


次に、クラリスが目覚めるんですが…ここからほとんどレクター目線で語られています。
薬と催眠術で、クラリスレクターと過ごす日々に疑問など持ちません。

二人は長く深く語り合います。
クラリスは父の事、レクターは妹ミーシャの事、そう、ふたりの深い部分の事も話し合います。


簡素に結論を言っちゃうと、二人は結ばれちゃいます心www


このあたりは、レクター目線で書かれてるんで、クラリスの心情ははっきりわからないんですが、レクターの心情は変わってきています。
時間が巻き戻って、ミーシャが存在した時に戻れたら・・・割れたティーカップが元にもどるように望んでいたのに…、
今は、ティーカップが元に戻らない事を望むようになっている。
愛すべきミーシャがいた時と、現在クラリスのいる時。
ゆるがなかった何かがレクターの中で変化しだしたんですね。

レクターは、本当に欲しかった物を手に入れたんだろうと思うんですよね。
自分が愛して、それを無条件で受け入れてくれる存在を・・・。
普通の人でも、実はなかなか半身のような存在には巡り会えなかったりするんだよね。

レクターの場合は完全に欠落しているもの(ミーシャの場所)ってのは、言葉にすると陳腐だけど”愛”に置き換わるんだと思う。


クラリスとのセックスは今まで経験したものを凌駕するものと言ってるんだけど、ま~愛のあるエッチはぜんぜん違ったんだろうね。

このラブラブな感じで終わるのには、賛否両論だと思うんだけど、私的には思いっきりOKです。

殺人鬼が幸せになってどうなの?

ってあるかもですが、不幸に終わっても幸福に終わっても誰もが納得できる終わりにはならないと思うんで、これで良かったと思います。

次回の書籍感想は、「ハンニバル・ライジング」の感想を書ければと思います。
「羊たちの沈黙」をさかのぼって、レクターの幼少から青年期にかけてです。
どのようにして、食人鬼レクターが誕生したかの物語です。




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