今後拡大が予測される電子書籍市場をめぐり、著作者の利益、出版業者の商慣行等について課題が残されている書籍の電子化に対し私は賛成である。
まず、書籍の売り上げが下がるという懸念があるが、私は杞憂に過ぎないと思う。なぜならば、記憶するという作業において、未だ書籍のスタイルを求める人々も多く、また、日本の消費動向を考えたとき、たとえば所謂『オタク』と呼ばれる人々においては、収集活動こそ喜びと感じているため、文学や趣味、あるいはコミック等の書籍の消費は減少しないだろうと考えられるからだ。逆に、書籍リサイクルのように、必要のない書籍は処分されていき、新たな購入がない限り、出版社の利益にもならないので、それを電子書籍へ置き換えたところでさして差はないはずだ。
次に現在の書籍販売スタイル、つまり書店においての商慣行についてだが、現在のスタイルで売れ残りの書籍を返品するシステムをなくすことが、電子化により簡単に行えるのではないだろうか。どういうことかというと、低価格な電子書籍ならば流通も早い、そこで売れる書籍のみを多く発注し無駄な発注を減らし、返品を減らせばリスクも少なくなるということだ。また客から発注された書籍を仕入れる、あるいは一人ひとりにあわせた本を紹介する『ブックコンシェルジュ』をおき、宝石を選ぶように、本を選ぶ場所に変えていくなど、新しい書店のあり方を模索していってもいいと思う。
書籍における、大量生産、大量消費の時代は、もう終わったのではないだろうか。電子書籍は情報を大量に取り込む媒体として、書籍は保存したい大切な情報としてあるべきだと私は考える。
例えば、録画機能の付いたVHSレコーダーが出たときにも、これに似た論争が起きたように思う。ただVHSはよりサービスを充実させ、今は、媒体は変化したにせよ生き残っている。
良いものは生き残る。変化をさえぎるのではなく、変わるべきなのは既存の技術であり、慣行ではないだろうか。電子書籍化により、いっそう出版業者は発展する可能性がある。よって電子化に賛成である。