林檎の木「・・・大丈夫っスか?ご主人」
アルクトゥルス「ああ、ぼくは何てバカだったんだろう・・・。本当にダメな男だっ。いくら体
を鍛えていたって、中身は全然変わってないじゃないかっ」
林檎の木「とにかく、傷の手当てだけはしておくっスから・・・。それで、どうするんで
すか?まさか・・・」
アルクトゥルス「もちろん、すぐ行くよ。スピカさんをそんな場所に置いておけるわけないじゃ
ないかっ。ぼくが行かなければ・・・他に、彼女を助け出せるひとはいないと
思うし・・・」
林檎の木「それは、確かにそうだと思いますけど、でも、危なくないっスか?話を聞いて
るだけだと、スピカさんの彼氏は、何を考えているんだか分からない印象を受
けたし」
アルクトゥルス「だからなおさらだよっ。そんな、何をするか分からない謎めいた人の所で、彼
女は日々不安の中で過ごしているんだよっ。なんとしてでも助け出してみせる
っ。そして無事に帰ってくるよ、必ずっ」
林檎の木「凛々しいっスねぇ・・・かっこいいっスよ、ご主人っ」
アルクトゥルス「へへへ、そうかな?」
林檎の木「なんだかんだ言って、実は嬉しいんじゃないんですか?スピカさんは、別にヨ
リを戻したわけでもなかったし、それにまた会えるんスからね」
アルクトゥルス「(ギクッ)そっ、そんなことあるワケないじゃないかっ。この非常事態に、そん
な不謹慎な・・・」
林檎の木「つまり図星なんですね。・・・でも、嬉しいっスよ。こうしてまた以前のご主
人に会えることができたんっスから・・・。とにかくボクは、ご主人とスピカ
さんが無事に帰還することを祈るだけっス。くれぐれも体には気をつけてくだ
さいね」
アルクトゥルス「おぅよっ!・・・な、なんだかちょっと燃えてきちゃったなぁ。こういうのっ
て、男の仕事って感じだよね」
林檎の木「はいはい、陶酔してる暇はないんスから。さっさと行ってくださいよっ」
アルクトゥルス「相変わらずつれないね・・・。それでは愛する彼女のため、ひとっ走り行って
くるかっ」
林檎の木「ひとっ走り・・・。すっかりオヤジ化してるっス・・・」