昨日(3/6)は、新曲「ノクターン」の発売日。
大宮ソニックシティ・大ホール コンサート。
大勢のファン仲間と、観劇しました。
赤城山麓で、
大甕を掘り当てた中空組の
三人と。
榛名湖畔で、
大甕を掘もり当てた煩悩組の三人。
合わせて二組の6人は。
突然襲って来た、大揺れで。
それぞれの穴の中で、
生き埋めになってしまった。
穴の深さは、何れも1間。
身の丈より、はるかに深い。
必死で土砂を取り払った、
ものの。
両腕の自由が効くまでが、
精一杯。
時々、
「グラ、グラ」
「グラ、グラ」
と、余震が続いた。
辺鄙な洞窟の、しかも穴の中。
刻が、どれだけ過ぎたのか。
誰もわからない。
「このまま、死んでしまう」
と、誰もが覚悟した。
その時。
「グアーン、グワーン」
と恐ろしい鳴き声が、
何処からともなく聴こえて
くるとともに。
青緑色の巨大な生き物が、
穴の上に現れた。
生き物の眼も舌も、真っ赤。
穴の場所が、
赤城と榛名と違えども。
今の状況は同じ。
ももとすずが、
「龍神だ!」
と、別々の穴で叫ぶと。
昼立と双丸が、
そして、朝立と隠居が。
「本当に、龍神様だ!」
と、別々の穴で叫んだ。
すると。
それぞれの龍神は。
真っ赤な舌を、巧みに使い。
それぞれの。
穴の中の三人と大甕を、
地上に引き上げると。
何処かへ、去って行った。
後で分かった事だが。
あの揺れは、
赤城山の地蔵岳と、榛名山の
同時噴火による地震だった。
■
地震から二日後。
隠居ら御一行の六人は、
烏川が流れる倉賀野宿
へ舞い戻った。
昼立が考えた。
江戸までの復路は、
水路を使っての「舟運」。
隠居は、江戸を出る前に。
上州の旅の行程を、昼立に
相談した際。
「一万両もの大金は、
馬車より船が良い。
倉賀野河岸から、
から、船を利用すべき」
と、
昼立が提案していた。
大甕を二つ積んだ馬車が、
船問屋「伊左衛門」に到着。
既に、
手付の十両を番頭に
渡してある。
その際、
「甕の中身は明かせぬ。強い
て言えば、大奥の資金に属
する物」
「これが、老中水野忠之様
から町奉行大岡越前守様
への御達状」
と、
言って一枚の証文書を見せ。
費用は、そちらの言値で結構。
と、伝えてある。
首尾よく、
大甕を船に積み終わり。
明朝、江戸へ向かい出航が
決まった。
隠居一行、
今夜は倉賀野宿に投宿。
ここは、
日光例幣使街道への分岐地。
烏川「利根川」を利用した
舟運で賑わう宿場町。
本陣1軒、脇本陣2軒、
旅籠32軒、飯盛旅籠数軒。
昼立が、
「そう言えば、皆さん。
まだ、おっきりこみを
食べていませんよね」
と、言って。
宿の近くの料理屋へ案内。
昼立の蘊蓄によれば。
昔からの上州名物。
幅広の太麺を、
生麺のまま根菜野菜と
一緒に鍋で煮込む。
生麵を煮込むので、打ち粉が
溶け出し。つゆにとろみが。
赤城や榛名では、里芋が。
醤油味でも、みそ味でも
美味しい。
一行は、「おっきりこみ」を
腹いっぱい堪能。
「後は船旅。寝て行ける」
と。
誰もが、
そう思っていたハズ。
ところが、
またまた、想定外の出来事が。
(つづく)
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■
主な登場人(適宜掲載)。
▶鰊真岩志。元・町同心。隠居探偵。
▶鰊真亜治。息子。南町奉行所の町同心。
▶鈴屋双丸。岩志の友人。長屋の大家。
▶大岡越前守。南町奉行所の町奉行。
▶平次。岡っ引き。
▶徳川吉宗。8代将軍。
▶すず。饅頭屋の看板姉妹の姉。
▶もも。饅頭屋の看板姉妹の妹(弟)。
▶昼立。元平尾宿の女郎。次女。
▶朝立。元谷中の女郎。三女。
▶おせん。元女博徒。旅籠の女将。
■本作は、フィクション。
登場する地域・人物・組織等の
名称・写真イラスト等、実在の
ものと無関係。
諸制度や時代考証などの齟齬、
ご容赦。
■添削・校正なしで配信。誤字脱字
ご容赦。
鰯の頭
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