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本作品はフィクションです

本作の内容と実在の事柄は

一切関係ありません

 

勘違い無きよう

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令和6年1月。松の内が明けた。

第213回通常国会の召集日は、

2(1月)2か26日が有力視。

昨年(12/22)、閣議決定した令和6年

度予算112兆円の審議が、いよ

いよ始まる。

 

例年なら、()だ静かな永田町。

多くの議員が、地元選挙区に

帰省しているので。

 

しかし、今年は様子(ようす)が違う。

 

永田町界隈(かいわい)に点在する与党各派

の「派閥事務所」は、早朝から

人の出入りが絶えない。

 

更には、

議事堂内の第15控室で毎(火曜)

二回(と金曜)開かれる、「総務会」が。

早くも動き出した。

 

 

与野党議員の最大関心事は、

一連の「派閥パーティー券還流」

に関する「東京地検特捜部」の、

動き。

 

既に昨年末までに、

特捜は派閥の幹部を、任意ながら

次々に呼び出し事情聴取を終え

ている。

 

 

 

「後出し総理」

「増税メガネ」

 

の悪名に加え。

 

イスラエルからドバイまでの

自国民救出に。

航空機を無料提供した韓国政府

に対し、我がK総理は。

 

一人、3万円を請求。

 

「銭ゲバメガネ」

 

の名を拝命する始末。

 

結果、韓国機に日本人が51人

同乗。日本政府のチャーター機

に乗ったのは8人だけ。

 

K内閣は既に、「()(たい)」。

 

だが、政治史学者・御厨(みくりや)(たかし)氏の

昨年末のBSフジの報道番組で

の言葉を借りれば。

 

「彼は、逆境(ピンチ)に強いタイプ」

と、言うより、

 

逆境(ピンチ)を感じないタイプ」

だと言う。

 

(たと)えが少し違うが、

 

馬耳東風(ばじとうふう)

(ぬか)(くぎ)

 

とでも。

 

 

与党員には、人気があるものの。

与党議員には、まったく人気が

無いI(アイ)(しげる)

 

しかし彼以外に、これと言った

対抗馬がいない。

 

「パー券(あらし)が過ぎれば、

 ひょっとして続投するかも」

 

の、声もある。

 

 

その一方、

年末年始に掛けての、

「政治情報番組(テレビ)」で。

 

各局に引っ張りだったのが、

 

やはり、I(アイ)(しげる)氏。

 

と、もう一人、

野党第一党の重鎮(じゅうちん)

元総理経験者の、N(エヌ)佳彦(よしひこ)氏。

 

 

二人とも、

「♪昔の名前で出ています♪」

の感が、(いな)めないが。

 

彼ら二人は、

「ここは、救国の志士(しし)の出番」

などの。

 

キャスターやMC(司会者)の、(たく)みな

誘導に()げず。

 

決して、

 

「やりたい」

 

と、自分から口にしない。

 

「言えば(つぶ)される」

 

のが、この世界の(おきて)

 

だが画面からは、

二人の、「やりたいオーラ」が

誰の目にも。

 

 

更に更に、ここに来て。

まことしやかな噂が二つ。

 

それは、

K総理と同じ派閥出身の、

H新官房長官への禅譲(ぜんじょう)説。

 

そして、

次期総選挙で、起死回生の秘策と

して登場したのが。

 

(我国)の女性総理大臣誕生説」

 

その候補は、

 

「現外務大臣のK氏」

と、

「現内閣府特命大臣のT氏」

 

 

大K民国から帰国した元防衛相

のH氏と、白木唯。

 

Hは、

与党の国会対策委員長の要職。

来年度予算を審議する、通常国会

が目前。

 

開会に合わせ、

野党から「内閣不信任決議」が

提出されそうな情勢。

 

 

当面、「プロモーション映像」の

制作どころではない。

 

 

神田のガード下の焼鳥屋。

(また)阿野(あの)鬼頭(きとう)の二人。

 

 

「俺達の付き合いも、そろそろ

 潮時(しおどき)を迎えたようだ」

「来月から私は、インターポール

 本部へ出向となる」

 

「また、急な話。本部と言えば

 フランス第三の都市リヨン」

「妻の京歌の生まれ故郷」

 

(おそ)らく、三年。長くて四年」

「私は(ひと)り身。美食の都らしいか

 ら、そのまま永住してもいい」

 

「では、今日で極秘諜報員の任務

 は終わり。と言うことで」

 

 

二人の会話は、

実に淡々としたもの。

 

互いに、

ジョッキ二杯を飲み干して。

 

「じゃあ」

 

と言って、別れた。

 

 

 

 

 

虎ノ門レジデンスの自宅に、

戻った()(わい)

 

妻の京歌に、経緯(いきさつ)を話すと。

 

 

こんな返事が即時(そくじ)に返ってきた。

 

「あら、素敵なお話」

「この際一年後に、私たちもリヨ

 ンへ移り住みましょうよ」

「少なくとも、娘が大学院を卒業

 するまで、二十数年間」

 

「このマンションを売却すれば、

 生活費は捻出(ねんしゅ)()能。親と同居す

 れば、家の心配は()らないし」

 

 

「私たちで、小さな日本食レスト

 ランを始めましょうよ。明日か

 ら早速、料理教室へ通いまし

 ょうよ」

 

「娘は、リヨン大学へ。優秀なら

 マルセイユ大学へ」

 

 

実に何とも、

突拍子(とっぴょうし)もない事を、語る京歌。

 

志隈は、

到底(とうてい)不可能と思いながらも。

頭の片隅で、

 

ARUKAMO(アルカモ)

 

と、(つぶや)いたのである。

 

 

(つづく)

 

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■主な登場人物(適宜掲載)

(また)阿野(あの)()(わい) 私立探偵・極秘諜報員

(はま)まり ヤメ検弁護士・極秘諜報員

(また)阿野(あの)京歌(きょうか) 志隈の妻・極秘諜報員

白木(しらき)(ゆい) 映像クリエイター・極秘諜報員

白木(しらき)香織(かおり) ㈱MJ社長・唯の姉/異母姉妹

浜智之(はまともゆき) まりの夫・寺院の住職・極秘諜報員

深川(ふかがわ)(まい) ㈱MJ事業部長・白木香織の親友

鬼頭(きとう)史郎(しろう) 警視庁公安部・極秘諜報員の窓口

 

■本作は、フィクション。

登場する地域・人物・組織等の名称おび

写真イラスト等は、現存のものと無関係。

諸制度や時代考証などの齟齬は、ご容赦。

■添削・校正なしで配信。

誤字脱字の程、ご容赦。

 

鰯の頭

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