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本作品はフィクションです

本作の内容と実在の事柄は

一切関係ありません

 

勘違い無きよう

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僅か一月(ひとつき)前。

 

政局は「パー券疑惑」の()只中(ただなか)

K総理は一早く、最大派閥の全閣

僚を切った。

 

あのとき、最初に官房長官の有力

候補として白羽の矢が立ったの

がH氏。

 

「自分には荷が重すぎる」

と、

言ったとか言わなかったとか。

 

マスコミは的外れな情報を

流した。

 

 

だがHの本音は、

 

「今更、縁の下の力持ちなんて

 出来ない。やるならトップ(総理総裁)

 やりたい、だけ」

 

 

すると、そこに。

国対委員長の席が廻って来た。

 

一見、強面(こわもて)風貌(ふうぼう)からして。

まさに「ハマリ役」なのだが。

 

選ばれた理由は、

今やブランドの「無派閥」。

 

国対委員長は、十年ぶり二度目。

 

Hは、

「守備範囲の狭いヘタな閣僚よ

 り。国対の方が、与野党に(にら)

 が()く」

 

「この際、野党を利用して。

 党内基盤強化を図るチャンス」

 

と思った。

 

 

済州(チェジュ)神話(しんわ)ワールドのホテル、

ランディングリゾート。

「プレミア キング ルーム(バルコニー付)」。

 

 

 

仄暗(ほのぐら)い室内には、

紺碧(こんぺき)のチャイナドレスに身を

包んだ白木(しらき)(ゆい)

 

 

知り合って間もない、小娘が。

突然、

 

「私、先生を尊敬します」

「先生が総理総裁を目指される

 のであれば。私に、お手伝いを

 させて下さい」

 

と、

自分の本心を、見透かしたのだ。

 

 

Hは総裁選を意識し、

 

「身辺を清めねば」

と思い。

 

ホームページのプロフィールを

一部、手直していた。

 

唯は、いきなり。

そこを突いて来た。

 

 

「ゼミに参加しただけでも、大学

 名を載せるご時世(じせい)。何故、削除」

 

と、直球を投げ込んで来た。

 

 

こんなことで動じるHでは無い。

 

「なに、僅か一年()らず。しかも

 親父(おやじ)に行けと言われた、形だけ

 の留学。掲載(けいさい)する方が烏滸(おこ)がま

 しい」

 

と、冷静さを保った。

 

 

すると唯が、

流石(さすが)は先生。奥床(おくゆか)しいわ」

 

 

「プロモーション映像では、

 奥床しさを前面に出し。

 美談にします」

 

「そうそう、先生に観て欲しい

 ものが。それで、部屋に来て頂

 いたの」

 

と言って、

 

USBメモリをタブレットに、

挿し込(さこ)んだ。

 

 

「エッ!見て(もら)いたいものって。

 ひょっとして、USBメモリ?」

 

 

思わず、Hは声を上げそうになっ

た。

完全に、肩透(かたすか)しを()った格好(かっこう)

 

 

青い空、青い海。

東京湾に、

虹のように()かるアクアライン。

 

青い空が、(上下)(にカ)チルト(メラを振る)すると。

緑の木々に囲まれた瀟洒(しょうしゃ)なキャ

ンパス。

 

建物を示すテロップには、

 

「ミシガン州」

Hillsd(ヒルデール)ale Colle(カレッジ)ge Campus

 

 

 

学長帽を被った男がワイプ画面

に現れ、語り始めた。

 

画面下には、日本語のテロ(スーパー)ップ。

 

約2分間の映像を要約すると。

 

 

現学長Jメドウ氏のインタビュ

ー。

 

私には、5歳下の妹Rがいた。

R⑳は、48年前。当時の学長B・

ハドリーによってデトロイト

郊外のmot(モーテル)elで射殺された。

 

銃声を聞き付け通報したのは、

日本からの留学生⑲だった。

 

「不倫の末の痴情の(もつ)れが、

 殺害動機」

とB・ハドリーは自供。

 

判決は、懲役刑(ちょうえきけい)

 

ハドリーは、服役を終え釈放。

十数年前に、(すで)に他界。

 

 

2023年12月中旬。

遺品(ハドリー)()ら真犯人を示す物証が

 発見された」

と、

ヒルズデールの地元紙が掲載。

 

その記事には、

「真犯人は同大学の留学生で、

 事件の通報者」

 

「米国の連邦法は。未成年者に

 よる犯罪は、重犯罪であっても

 一律5年で公訴時効」

 

「米国の多くの州の成人年齢は

 18歳。しかし当時のミシガン

 州の成人年齢は21歳。たと

 え留学生が犯人であったとし

 ても、19歳では公訴時効が成

 立。今更、再捜査は無い」

 

と、書かれていた。

 

 

ところが、二週間後。

地元紙が、同事件に関する更なる

新事実を掲載した。

 

昨年末の「留学生真犯人説」が

フェイクニュースだった、と。

 

 

他界したB・ハドリーの遺族が、

大学からの「遺族年金受給」を

画策してのデマ情報。

 

と、分かった。

 

 

現学長J・メドウ氏のインタビュ

ー内容が終わった。

 

 

唯が、

「この2分間は、プロ(序章)ローグ」

 

「ここからが、(本章)ャプター」

と言って、見せたVTR映像は。

 

 

褐色の上半身裸でプレジャーボー

トを操る(あやつ)「バートラン・カスター」

か、それとも「チャールズ・ブロ

ンソン」か。

 

よく見れば、

「房総の風雲児(ふううんじ) Y・H」の雄姿(ゆうし)

 

 

画面が暗転

マニフェストがズームイン

 

『夢にBET(ベット)・人生はAll(オール) in(イン)

 

 

 

なにやら、カジノのCMみたい。

 

 

すると、

 

「やはり、想いが通じたか。

 君ならキット私の気持ちを

 理解してくれると」

 

 

Hが、大きく手を広げ。

 

唯を抱きしめた。

 

 

(つづく)

 

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■主な登場人物(適宜掲載)

(また)阿野(あの)()(わい) 私立探偵・極秘諜報員

(はま)まり ヤメ検弁護士・極秘諜報員

(また)阿野(あの)京歌(きょうか) 志隈の妻・極秘諜報員

白木(しらき)(ゆい) 映像クリエイター・極秘諜報員

白木(しらき)香織(かおり) ㈱MJ社長・唯の姉/異母姉妹

浜智之(はまともゆき) まりの夫・寺院の住職・極秘諜報員

深川(ふかがわ)(まい) ㈱MJ事業部長・白木香織の親友

鬼頭(きとう)史郎(しろう) 警視庁公安部・極秘諜報員の窓口

 

■本作は、フィクション。

登場する地域・人物・組織等の名称おび

写真イラスト等は、現存のものと無関係。

諸制度や時代考証などの齟齬は、ご容赦。

■添削・校正なしで配信。

誤字脱字の程、ご容赦。

 

鰯の頭

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