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本作品はフィクションです
本作の内容と実在の事は
一切関係ありません
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令和5年も残すところ2週間。
政局が騒がしくなってきた。
内閣支持率が危険水域の20%台。
「やることなすことが後手、後手」
の批判を浴び、いつ倒れても可笑
しくないのに倒れないのは。
与党内に、有力候補がいないから。
強いて挙げれば、前回も総裁選を
戦った「狐顔の女」。
自ら「日本のサッチャー」と吹聴
する、肩書の数No1のT大臣。
今、与党にはキングメーカーが
いない。
思えば、洲崎総理を創ったのも
壊したのも。今は亡き、A元総理。
もしも、A元総理が存命なら。
「次の総理の座は、すんなり
女狐Tに決まっていただろう」
これが、永田町の定説。
新たなキングメーカーの座を、
目論むのが。
洲崎前総理とA副総裁の二人。
まだ、どちらかに決まった状況に
無い。
洲崎偉吉は、
秋田の片田舎を飛び出し、政治家
になった苦労人。
これといった資源のない日本を、
豊かにするには。
「観光立国を目指す」
これが、政治信条の根底にある。
その具体的な政策課題が、
「7年間で、シンガポール規模の
カジノを10ヶ所つくる」
こと。
■
IR事業を推進するには、
膨大な資金が必要となる。
況してや国策として、国税を使う
となれば、その為の法律の整備や
計画実行の組織づくりが急務に。
関連官庁の知恵を結集し、専門部
会・予算委員会・本会議などの
国会審議の関門が待っている。
洲崎偉吉は、
「夢の実現の為の奇策」
を、早くから持っていた。
それは、税金を使わない。
「ウルトラCを遥かに超える
ウルトラZ並みの必殺技」
簡単に言えば、
による、資金集め。
もう少し具体的には、
「数百規模の法人を起ち上げる」
「定款に記載する事業は娯楽業」
この奇策のキモは、
「クラウドファンディングは、
投資を募る側には種々の規制
があるが。投資する側には、
規制が何も無いところ」
つまり、
「投資する側のお金が何であれ、
集まったお金には色が無い」
「投資する者には、極めて甘い」
端的な話、
「善良な個人が投資したお金も、
マフィアが投資したお金でも、
お金はお金」
「マフィアの資金洗浄に最適ツ
ール」
なのだ。
■
唯一のアクセス道。
この時期は、既に通行止め。
陸の孤島の「玉川温泉郷」。
11月21日、夕方。
一軒の湯治宿から、秋田県警/
仙北警察署へ通報があった。
「先月末から投宿の男が、昨日
昼飯後に散歩に出た切り宿へ
戻らない。クマに襲われたのか
も知れない」
「探すにも、人出が無い。警察が
捜索して欲しい」
「宿帳には山田一と書いてある
が。部屋に置いてあった運転免
許証には、小谷光一とある」
「写真から、小谷光一と思う」
「一応は届け出をしたので、あと
は警察の方で」
と言って、電話は切れた。
実際のところ、玉川温泉にも隣の
新玉川温泉には。交番どころか、
駐在所さえも無い。
翌日、昼過ぎになって。
宿に、田沢湖交番の巡査が二人
やって来た。
「まあナンギだった。パトカーで
イジジガンだべ」
「いやまあ、男衆が居なくなった
てけば。んだば、クマっ子の悪
さだべ」
「ほだば、骨っこさ見つかるべ」
「ほんじゃまあ春まで、荷物ば
預ってけれ」
「ほんじゃまあ、けえるべが」
今どき珍しい、
生粋の秋田弁の老巡査二人。
運転免許証だけを預かり、
碌な調べもせず。
早々と帰って行った。
■
11月20日、
田沢湖駅から一人の男が、秋田新
幹線「こまち34号/東京行」に
乗込んだ。
男は席に座るとスマホを取り出
しメールを打ち込んだ。
「エモノの始末終了」
男の手荷物は、
「ショットガンケース」
だけ、だった。
(つづく)
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■主な登場人物(適宜掲)
▶俣阿野志隈 私立探偵・極秘諜報員
▶浜まり ヤメ検弁護士・極秘諜報員
▶俣阿野京歌 志隈の妻・極秘諜員
▶白木唯 映像クリエイター・極秘報員
▶白木香織 ㈱MJ社長・唯の異姉
▶浜智之 まりの夫・寺院の住
▶深川舞 ㈱MJ・事業部長
▶鬼頭史郎 警視庁公安部・SMKY窓口
▶小谷薫 華道家・草月流師範
▶小谷光一 薫の夫・外資系金融会社役員
▶轟翔平 TV局サブプロデューサー
▶王浩宇 ロビイスト・中国マフィア「上海蟹」
■本作は、フィクション作。
登場する地域・人物・組織等の名称および
写真イラスト等は、現存のものと無関。
諸制度や時代考証などの齟齬は、ご容赦。
■添削・校正なしで配信。
誤字脱字の程、ご容赦。
鰯の頭
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