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本作品はフィクションです
本作の内容と実在の事柄は
一切関係ありません
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「な、なんで、オマエ、ここに」
二人のコウイチが、
同時に声を発した。
二人は学生時代からの、
旧知の仲はウソ。
と言うより、悪行仲間。
「オマエ、なぜ、ここに」
小谷光一は東京地検で、
洲崎剛一との関係を。
「大学の同窓。同じアメフト部。
彼は商社マン。時折り会って飲
む間柄」
と言っていたが、これ自体が偽り。
本当は、
小谷は東大卒でなく東洋大卒。
洲崎に至っては、明治学院大卒。
前総理の洲崎偉吉には、
他に二人の息子がいる。
次男は確かに東大卒で商社マン。
恐らく、次男の学歴を長男の剛一
が勝手に詐称したのだろう。
いずれも、
直ぐに嘘とわかる浅墓な偽証。
「妻の密会」を口実に、
呼び出された小谷に対し。
洲崎は智之から、
「私は、Y元内閣広報官の知人」
「Yが、極秘で会いたいと言って
いる」
「オークラのサザンカはマズい
ので、かめ中で」
と言われ。
伝言にある「サザンカ」の名は、
洲崎が、Yらの接待に使った店。
元来、好色な洲崎。
美人のYへ、まだ未練がある。
そこでここへ、やって来た。
■
呼び出された二人のコウイチの
目は、すぐに智之に向けられた。
「君は、何者なのだ」
「私達を呼んだ、真の目的は」
と、洲崎が形相を変え大声に。
智之は、
「まあまあ、お二人さん」
「そうお怒りに、ならないで」
「奥様の浮気と、退官したYの
背後には、ある共通項が」
「話を最後まで聞いて頂けたら、
お二人に有益かと」
と、言いながら二人のグラスに
ビールを注いだ。
「お二人が、旧知の仲はウソ。
二年前からの関係なのでは」
「お二人共、上海蟹の王浩宇の
手先なのでしょう」
探偵を名乗る見知らぬ男に、自ら
の核心を突かれ二人は動揺した。
「洲崎さんの、お父上偉吉氏は
与党の権力者でIRの推進者」
「だが与党には、もう一人の権力
者がいる。知っての副総裁の
A氏。彼もIR推進の一翼」
「A氏の持論は、福岡にアジア
最大のカジノをつくること」
「しかも、中国資本が入らない
純正日本製カジノの実現」
「何よりも、毛並みの良さを鼻に
するA氏と、叩上げのお父上
は犬猿の仲」
「非業の死を遂げた元総理は、
ある意味この二人を巧みに操
ったので、長期政権となった」
「引退が噂されるA氏。政治家
としての最後の大仕事が、福岡
IRの実現」
「横浜IR実現のお父上と、A氏
は水面下で激しく争っている」
「一方、ご存知のように。剛一氏
が、接待したY女史。役人時
代の大方の評判は、美人で頭が
良く、サバサバした性格」
「どんな飲み会でも、絶対に断ら
ない女」
「総じて、『ジジ殺し』の別名が」
「その最大のジジが、洲崎偉吉」
「東京地検特捜部が、収賄側も
贈賄側も嫌疑不十分で不起訴
処分に」
「洲崎偉吉の権力を知れば、不起
訴も止む無しだったのかと」
と智之が話すや、
ビールを一気に、飲み干した。
そして更に続けて、
「小谷さんの奥様、薫さん」
「不倫相手は、二人います」
「一人は、TV局のプロデューサ
ー。もう一人は、王浩宇」
「そもそも小谷ご夫妻は、王浩宇
の正体を知っていますよね」
「その上で、王と危ない仕事をし
ていますね」
「その仕事とは、生花輸入を装っ
た中国からの麻薬の密輸入」
「日本の捜査当局は、王浩宇を
国際刑事警察機構/ICPOへ
引き渡すべく既に動いている」
「奥様の薫さんが、テレ東のレギ
ュラー番組『薫の六本木教室』
に出演しているのは、番組プロ
デューサーとデキテいるから」
そう話すと、十数枚の密会写真を
光一の前に差し出した。
写真には、薫の肩や腰に手を廻す
中年男が。場所は、いずれも都内
のラグジュアリーホテル。
智之からの依頼で、この写真を
撮ったのは、この男の直属の部下
のサブプロデューサーの轟翔平。
智之は、
小谷と洲崎にビールを注ぎ、
料理を勧めながら。
「今日、お二人をお呼びした訳は
ここからが本題です」
と、真顔になった。
（つづく）
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■主な登場人物（適宜掲）
▶俣阿野志隈 私立探偵・極秘諜報員
▶浜まり ヤメ検弁護士・極秘諜報員
▶俣阿野京歌 志隈の妻・極秘諜員
▶白木唯 映像クリエイター・極秘報員
▶白木香織 ㈱MJ社長・唯の異母姉
▶浜智之 まりの夫・寺院の住職
▶深川舞 ㈱MJ・事業部長
▶鬼頭史郎 警視庁公安部・SMKY窓口
▶小谷薫 華道家・草月流師範
▶小谷光一 薫の夫・外資系金融会社役員
▶轟翔平 TV局サブプロデューサー
▶王浩宇 ロビイスト・中国マフィア「上海蟹」
■本作は、フィクション作。
登場する地域・人物・組織等の名称および
写真イラスト等は、現存のものと無関。
諸制度や時代考証などの齟齬は、ご容赦。
■添削・校正なしで配信。
誤字脱字の程、ご容赦。
鰯の頭
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本作品はフィクションです
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