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次回配信は
１１月９日
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秋田県南部に位置する湯沢市。
「小野小町」の生誕地。
そのJR湯沢駅前に建つ、
ブロンズの胸像。
土台の側面には、
あの「令和オジサン」のレリーフ。
そう、前総理大臣の洲崎偉吉氏。
と言うより、
非業の死を遂げた、史上最長の
総理の任にあった故A氏の女房
役の方が、強い印象。
官房長官時代、霞が関の役人の
洲崎評は。
「史上最強のナンバー２」
「史上最恐の女房」
一見、柔和なオジサン顔からは
想像できない強面の一面を持つ。
「自分の考えに反対なら、異動し
てもらうまで」
が、常套句。
近年の内閣で、洲崎ほど人事権を
握っていた官房長官は、いない。
秋田の片田舎町から上京。
段ボール工場の作業員をしな
がら苦学し大学を卒業。
国政議員や市議、県議の秘書を
経て横浜市議に。そして国政へ。
世襲議員が多い与党にあって、
重要ポストを渡りながら。
ついに、総理・総裁の座に。
ただ、故A総理が語った
「洲崎総理には、洲崎官房長官が
いない」
これが、洲崎政権が短命に終わっ
た一因やも。
だが、総理を辞めた今でも。
我が日本が直面する国政レベル
の経済課題。
エネルギー・資源・食料に関わる
諸政策に、必ずや洲崎の影が。
■
寺院の住職でありながら、ある種
「趣味」で関わった探偵助手。
俣阿野から智之に、新たな役割
が伝えられた。
それが、
政府与党の重鎮、洲崎偉吉の
長男への接触。
そこから、
「父親とIR事業の利権の構図」
を探るという、
名付けて「回照器作戦」である。
プロファイリングに長けた京歌
から、ターゲットの洲崎剛一に
関する情報がタブレットに届い
た。
その中に、
洲崎総理の長男が、週刊誌やTV
のワイド番組を賑した情報も。
時の内閣広報官が、放送関連企業
に勤める長男からの接待疑惑。
なにやら、その女性広報官。
和牛ステーキや海鮮料理を、
この長男からゴチに。
だが結局、東京地検特捜部は
収賄側も贈賄側も、嫌疑不十分で
不起訴処分に。
ここにも、洲崎偉吉の影が噂され
ていた。
映像には、
この男、長髪で咥えタバコ。
見るからに「チャラ男」。
偉吉氏には、もう二人息子が。
一人は、大手ゼネコン。
もう一人は、大手商社勤務。
「こっちの方が、回照器かも」
と、呟いた。
■
江戸時代の赤坂は、紀州や尾張の
大名屋敷があった場所。
明治に入り、華族の邸宅へ。
以来、政財界人や文化人が、好み
住む街に。
江戸後期に花街（遊郭）が形成
され、明治からは政治家や上級軍
人が「赤坂芸者」を目当てに、
夜な夜な料亭に通ったとか。
1955年に、料亭80軒・芸妓
400人が、今は数軒？十数人？
その希少な、老舗の高級料亭
「料亭かめ中（架空の名称）」
のお座敷に、智之がいた。
高輪台の住職に収まってから、
この場所を何度か訪れている。
その訳は、
赤坂から高輪台に掛けて、周辺に
は数十ヶ所もの神社仏閣がある。
神社と仏閣（寺院）は、
そもそも似ても非なるもの。
一言で言えば、
「神社は、神道の神を祀る場所」
「仏閣は、仏教の仏を祀る場所」
仏教の住職は本来なら、
食事は「精進料理」なのだが。
昔から、肉も魚も食べている。
食べることに目のない智之。
住職で構成する「グルメの会」
に加入している。
この会、何故か
「昔ながらの芸者が呼べる料亭」
での会食が多い。
本当は、ステーキやローストビー
フなどの肉料理が好物なのだが。
「料亭かめ中」、
十人用の和室の完全個室。
正座する智之の前に現れたのは、
草月流の小谷薫の夫/小谷光一。
「突然のご連絡にも係わらず、
ご足労をお掛け致します」
と、智之が差し出した名刺には。
「私立探偵/浜智之」
住所・電話は俣阿野探偵事務所
になっていた。
光一の勤め先に、電話したのは
数日前のこと。
電話口で智之は、
「貴方の奥様が、ある人物と密会
している。との匿名のタレコミ
が当事務所に寄せられた」
「本来、探偵事務所は密告で調査
を行うことは無い。何故なら、
手数料が発生しないから」
「ただこの度は、対象者が話題の
人物故。調査内容の如何では、
貴方から頂けると思い。同じ様
なケースは、よくあるので」
「もし、関心があるなら。奥様に
は内緒で、出向いて欲しい」
と、告げていた。
席に着いた光一は、心の中で。
「まさかと、思いながらも」
「探偵にしては、顔の艶が良い。
背広の生地も高級」
「こんな場所で？」
と呟いていた。
それを見越したように、
「この料亭。創業は大正期。来週
には、その幕を閉じるので場所
代はタダ。料理は出前」
「よって、赤坂芸者は来ません」
と、ジョークを飛ばした。
仲居が、突き出しとグラスをテー
ブルに並べると。
その数が、三人分。
そこに現れたのは。
肩まで伸びる長髪に、キザな鳥打
帽を乗せた男一人。洲崎剛一。
光一と剛一、二人のコウイチ。
思わず、互いの顔を凝視した。
（つづく）
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次回配信は
１１月９日
よろしくです
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■主な登場人物（適宜掲）
▶俣阿野志隈 私立探偵・極秘諜報員
▶浜まり ヤメ検弁護士・極秘諜報員
▶俣阿野京歌 志隈の妻・極秘諜員
▶白木唯 映像クリエイター・極秘報員
▶白木香織 ㈱MJ社長・唯の異母姉
▶浜智之 まりの夫・寺院の住職
▶深川舞 ㈱MJ・事業部長
▶鬼頭史郎 警視庁公安部・SMKY窓口
▶小谷薫 華道家・草月流師範
▶小谷光一 薫の夫・外資系金融会社役員
▶轟翔平 TV局サブプロデューサー
▶王浩宇 ロビイスト・中国マフィア「上海蟹」
■本作は、フィクション作。
登場する地域・人物・組織等の名称および
写真イラスト等は、現存のものと無関。
諸制度や時代考証などの齟齬は、ご容赦。
■添削・校正なしで配信。
誤字脱字の程、ご容赦。
鰯の頭
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