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予告
ARUKAMO
EPISODE Ⅸ
小器用
全5話
9月15日
配信
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小器用な男。
浜智之のことを言うのか。
「小器用」とは、(こぎようとも読む)
なんでも一応は、上手に出来る
さまを言う言葉なのだが。
実は、この言葉。
あまり高く評価しないときに、
使う言葉なのだ。
高野山総本山「金剛峯寺」の
僧侶の五男として生まれ。
学力も運動も容姿も、そこそこ。
婿養子ながら、高輪台にある由緒
ある寺院の住職。
妻は、その寺の一人娘で。
東大法学部卒のヤメ検弁護士。
国内の多くの寺院は、経営難なの
だが。
浜智之のところは、それ程には
檀家の目減りも無く。お布施や
寄付金に困ることは無い。
最大の要因は、寺の歴史的価値。
加えて、若き住職の手腕。
法要での法話に長け。
如才なさとフットワークの良さ
が、檀家から高評価を得ているか
らだ。
趣味に至っては、
陶芸の腕前は、プロの陶工並み。
外車収集では、境内の駐車スペー
スはディーラーの展示場並み。
グルメでは、和洋中の創作から
評論まで。
この趣味全てを器用に熟す、
自他共に認める「小器用男」。
ホームズ
その浜智之、幼少時の夢は探偵。
シャーロック・ホームズと言うよ
り、エルキュール・ポアロに。
ポアロの方が、モテルから。
「私立探偵をやりたい」と、
俣阿野探偵事務所に、やってきた
のだ。
相談を受けた俣阿野。
智之氏に、
「民間に探偵業務認定試験なる
ものがあるが。私立探偵になる
のに、受験や合格の必要などな
い。特段の資格がなにも無くて
も、誰でも明日から出来るのが
探偵。やりたいなら、どうぞ」
と言った。
そして、
「老婆心ながら、探偵では食えな
い。でも副業なら、いいのでは」
「ある意味、小器用が探偵の必須
条件かも。君に向いてるかも」
と、智之氏を喜ばせた。