2023.4.26 新曲 発売 市川由紀乃
有明佐賀空港は2016年に、
「九州佐賀国際空港」
と、名称を変更。
以来、
仁川国際空港便の増便。
金海便、大邱便の就航。
台湾桃園国際空港便の就航。
上海浦東国際空港便の就航。
など、国際化を目指した。
だが、
最盛期の2018年度で、
23万人の国際線利用客数。
翌19年度は、半減。
20年以降は、国際線打ち切り
により、利用客数はゼロの状況
が続いている。
最大の要因は、コロナ禍。
ここに来て、
コロナ禍の終息を迎え。
同県は、国際空港の復活を目指し
水面下の動きを活発化している。
その動きの一つが、
「陸上自衛隊への導入が進む
輸送機オスプレイの本格配備」
更に力を入れているのが、
隣県の福岡国際空港の「国際便」
を、移管吸収しようとする案。
元々、
福岡国際空港は早くから、移設の
動きがある。
市街地に近く、アクセツは良いが
騒音対策や新滑走路の増設に、問
題を抱えている。
関空のように、海上空港も検討さ
れたが。
博多湾は、
玄界灘を漁場とする、漁港。
補償金で、決着する話ではない。
福岡国際空港と九州佐賀国際空
港の距離は、凡そ60㎞。
「九州横断自動車道」利用で、
凡そ70~80分。
成田~羽田と、ほぼ同じ。
福岡国際空港の「国際便」を、
九州佐賀国際空港へ吸収しよう
とすれば。
新たな滑走路やターミナルビル。
更には、鉄道路線や道路などの
インフラ整備が必要。
不動産業、建設土木業。
はたまた、商業・サービス業が
相俟っての利権の争奪戦。
夜な夜な、
佐賀の「唐人街」や「白山」
では、政官財の密談接待が。
中には、人目を避けて。
博多の「中州」や
長崎の「思案橋通り」まで、
足を延ばす輩も。
◆
白木唯の心に、
PV完成打ち上げ飲み会の席で。
ADの西川が話した、
「刺殺と花瓶盗難は新空港絡み」
「今、県政が大揺れ」
この言葉が、気になっていた。
警視庁公安部の鬼頭史郎と、
私立探偵の俣阿野志隈が。
例の如く、神田のガード下の
焼き鳥屋で飲んだ。
翌日、
御成門の「浜弁護士事務所」で。
SMKYの四人が、顔合わせ。
志隈が、口火を切った。
「今、佐賀県政は未曾有の状況」
「それは、空港拡張を巡る
利権争い」
「だが、これは表面上のこと」
「実は佐賀県全土が、かの国に
買取られると言う。荒唐無稽
な話が、真しやかに広がって
いる」
志隈は、話を続けた。
「この数年前から。佐賀県産の
陶磁器が大量に、かの国へ輸出
されている」
「その一方。県内の窯元の経営権
や経営主の名義が、密かに書き
換えられている」
「更なる驚きは」
「世界のオークション市場で、
日本の古伊万里焼の品々が
大量に出品され、高額落札が
続いている」
「三大オークションハウス。
ザザビーズ、クリスティーズ、
ウエストオークションズでの
その総額。凡そ7千億円」
「同県の令和5年度の一般会計、
特別会計の合算予算額に匹敵」
「世の中が。ロシアのウクライナ
侵攻、エリザベス女王死去、韓
国雑踏事故、カタールW杯など
に気を取られている内に。
こんなことに」
そこで、
今回のSMKYのミッションは。
「かの国発の偽古伊万里焼を、
オークション市場から排除」
と言う、やりがいのある案件。
◆
世界のオークションハウスに
出品される「古伊万里焼」。
多くの品は、
上海に在籍する鑑定師、
「中日美術鑑定協会」なる組織
が、鑑定書を発行している。
SMKYは、ここに目を付けた。
元来、
骨董美術品の真贋鑑定は難しい。
有力な拠所が「鑑定書」なのは
古今東西、変わらない。
SMKYの戦略は、
「鑑定疑惑を、オークション
市場に巻き起こす」
と言う、奇想天外なもの。
(つづく)
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■主な登場人物(適宜掲載)。
▶俣阿野志隈。私立探偵。極秘諜報員。
▶浜まり。弁護士。ヤメ検。裏検。
▶京歌。極秘諜報員。志隈の妻。
▶白木唯。映像クリエイター。極秘諜報員。
▶鬼頭史郎。警視庁公安部/肩書不詳。
▶浜智之。まりの夫。寺の住職。
▶渡良太。「電博企画」のプロデューサー。
▶大竹啓吾。映像カメラマン。
▶西川徹。ADアシスタントディレクター。
■本作品は、フィクション作品。
登場する、地域・人物・組織等の名称及び
写真・イラスト等は現存のものと無関係。
法規制度や時代考証などの齟齬は、容赦。
■添削・校正なしでの配信につき、誤字脱字
の程ご容赦を。
〈鰯の頭〉
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