に 

2023.4.26 新曲 発売 市川由紀乃

 

 

白木唯は、

有田焼(ありたやき)窯元(かまもと)を撮影で訪ねる前。

全国各地の陶磁器を一応、学習。

名称(産地)の違いが分かっても。

正直のところ、見た目での判断は

難しいと感じた。

 

調べると、

 

 

佐賀県の「伊万里焼(いまりやき)有田焼

肥前(ひぜん)(やき)」も。

 

 

長崎県の「波佐見はさみやき」も。

はたまた、石狩県の「九谷焼くたにやき」も。

元をただせば、有田焼」。

 

 

 

 

 

 

 

16世紀末、豊臣秀吉の朝鮮出兵

の命を受けた佐賀藩の鍋島(なべしま)藩主

朝鮮人陶工(とうこう)李参(りさん)(ぺい)を日本に、

連れて帰ったのが、はじまり。

 

の日本名は、(かな)()江三()兵衛(さんべえ)

17世紀初頭、有田に移住。

ここで、焼かれた磁器が有田焼の

始まり。

 

伊万里焼、有田焼、肥前焼、

波佐見焼は、伊万里港から海外へ

輸出されたことで。

これらを総じて、「伊万里焼」と

呼ばれた歴史がある。

 

17世紀半ば、有田焼の産地で

技術を学んだ後藤(ごとう)(さい)次郎(じろう)が。

石川県の九谷村に、窯を築いて

始めたのが「九谷焼」。

 

従って、専門家でなければ。

本当のところ、見分けは難しい

 

 

(ゆい)ら三人が投宿した、

伊万里グランドホテル」。

ロビーに、「古伊万里焼(こいまりやき)花瓶(かびん)

が展示されている。

 

伊万里焼」と「古伊万里焼

の違いは。

その、「骨董品(こっとうひん)的価値」。

つまり、

江戸時代の物が古伊万里焼

明治以降が、ただの伊万里焼

 

この「花瓶」、

地元佐賀の大物政治家が、

寄贈したと言われる代物(しろもの)

時価、「何百万いや何千万円

とも。

 

         

 

翌朝、らが出発しようと、

一階ロビーに集まると。

そこに、複数の警察官が。

 

状況が、直ぐに理解出来た。

どうやらロビーの「花瓶」が、

何者かに、持ち去られたようだ。

 

そんな盗難騒動を尻目(しりめ)に、三人は。

カメラ機材を乗せたレンタカー

で、有田町の撮影現場へ向かった

 

ホテルから窯元まで僅か20分。

一般道を南下するだけ。

運転していたAD西川徹が、

急ブレーキを掛けた。

 

どうした

カメラマンの大竹啓吾が、

声をあげると。

前方に人、人が倒れている

と叫んだ。

 

路上に、

車を停めて近づくと。

背広姿の中年男性が、胸部から

血を流し仰向(あおむ)に。

その横に、大きな花瓶が。

 

唯は直感的に

男は、死んでいる

花瓶は、ホテルにあった物

と、思った。

 

たちの通報で、

すぐにパトカーと救急車が到着

救急隊員が救命処置を試みたが、

男は既に、息が途絶えていた。

 

そして、ホテル支配人によって。

盗まれた花瓶だと、確認された。

 

 

NHK佐賀放送は、

昼のニュースで、事件を流した。

 

今日午前930分ころ、

県道498国見(あじさい)道路(ロード)の伊万里

と有田の中間の路上で、中年男

性が胸部を刃物で刺され死亡。

佐賀県警伊万里署によれば、

死亡したのは。佐賀選出国会

議員の地元秘書田島(たじま)洋平(ようへい)

 

伊万里署長は、殺害事件として

 捜査本部を設置。犯人逮捕に

 全力で臨むと発表

また、遺体の傍で発見された

 古伊万里焼の花瓶は。今朝、

伊万里グランドホテルから

盗難届が出されたものである

ことから、関連を調べている

 

 

殺害発見現場の、

第一発見者及び通報者として。

三人は、昼近くまで警察に足止

昼食抜きで、

煙突から立ち昇る白煙」の

映像を撮り終えた。

 

       

 

帰京後の二週間。

唯は、

酒造メーカーのプロモーション

映像の制作に没頭

 

酒造りの工程

お酒を楽しく(たしな)む場面

幸せを謳歌(おうか)する人々

好感度の企業イメージ

の映像を撮り。

ナレーション収録などで、

二日ほど徹夜の編集作業

 

そして、

和のテーストが醸し出す

 


気品
ある企業」の、

18(3分)0(プロ)(モー)PV(ションビ)(デオ)仕上げた

 

映像制作の責任者(でん)(はく)企画

(PD)ロデューサー(わたり)(りょう)()は。

作品の出来栄えを高く評価

クライアントも大満足

との連絡を、唯に伝えて来た。

 

今夜は、

制作スタッフの慰労を兼ねた

打上げ飲み会

会場は、

銀座の「佐賀食材専門店」。

 

 

 

広い店内は、

全てが鉄板カウンター席

最高級の佐賀牛ステーキは勿論。

佐賀産の新鮮な魚介や野菜を使

った和食が楽しめる。

どうやらPDの、馴染(なじ)み店。

 

渡が、「これは絶品」と奨めた

のは「佐賀牛せいろ蒸し」。

食した誰もが、

とろける~う

と、異口同音(いくどうおん)を発した。

 

 

何気に、カメラマンの大竹が。

あの殺人事件、どうなった?

と、口にした。

 

すると、AD西川が。

詳しく知らないけど。あの事件

 で、佐賀の県政が大揺れ

実はオレ。黙っていたけど、

 伊万里の出身。地元に帰った

 のになぜ家に寄らない。と親か

 ら文句の連絡が

その時の電話で、あの殺人。

 新空港建設の絡みらしいと。

 あの花瓶の盗難も

と、言った。

 

県政が大揺れ

新空港絡み

この二つのキーワードが、

白木唯の心に、引っ掛かった

 

 

(つづく)

 

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■主な登場人物(適宜掲載)。

俣阿野志隈。私立探偵。極秘諜報員。

浜まり。弁護士。ヤメ検。裏検。

京歌。極秘諜報員。志隈の妻。

白木唯。映像クリエイター。極秘諜報員。

鬼頭史郎。警視庁公安部/肩書不詳。

浜智之。まりの夫。寺の住職。

渡良太。「電博企画」のプロデューサー。

大竹啓吾。映像カメラマン。

西川徹。アシスタントディレクター

田島洋平。国会議員の地元秘書(刺殺)

 

■本作品は、フィクション作品

登場する、地域・人物・組織等の名称及び

写真・イラスト等は現存のものと無関係。

法規制度や時代考証などの齟齬は、容赦。

 

■添削・校正なしでの配信につき、誤字脱字

の程ご容赦を。

 

〈鰯の頭〉

 

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