2023.4.26 新曲 発売 市川由紀乃

 

 

 

首尾よく、

窯元の妻「(さくら)㉜」と、

会食の機会を持った、まり

 

ミッションは、窯元(かまもと)内偵(ないてい)

素性を伏せての、隠密行動が

Aプランだったのだが。

の余りにも、屈託のない応対(ゆえ)

に。プランを急遽Bに変更した。

 

 

私の職業は、秘書でもモデルで

も。通訳や外交官でもないわ

と言って、名刺を差し出すと。

 

弁、弁護士さん?ですか

と、二人は驚いた様子(ようす)を見せた。

 

まりが描いた、

プランBシナリオは。

自分の素性を明かす。

目的の一部を伝え、協力を要請。

と言うもの。

 

 

今夜お二人は、このホテルに

泊まる予定よね。少しだけ私

に付き合って頂けるかしら

お二人にとって、悪い話では

 ないハズ

 

その前に。私が本物の弁護士

 か、確かめる方法を教えるわ

ご自分のスマホで。(日本)弁連(弁護士連)(合会)

HPから名刺に記載の登録番

号をアクセス。写真付きのプロ

フィールで確認できるハズ

 

翔平君、お名前は新庄翔平さん

 ね。カリスマ美容師スゴイわ。

 法政の法学部卒とは、異色ね

 

二人は、(きつね)(つま)まれたような顔

で、スマホの画像まりの顔

見比べた。

 

 

会話の場所を移した。

そこは、

ザ タワーホテル ナゴヤ」の

一室。

パークビューテラス・スイート

 

 

 

地元の興信所の追加報告で、

根口夫婦の関係は不仲

夫にも妻にも不倫相手がいる

結婚一年後に突然死した、桜の

父親に関し。桜は夫の吉彦(よしひこ)に、

疑念を抱いている

これらの情報を、まりは得ていた

 

 

桜さん、夫婦仲は?

 

最悪よ。あの人、何を考えてい

るのか恐い

窯元を(のっ)()るために結婚。父を

 殺したかも。証拠はないけど

 

他に気になることは?

愛人は?

 

愛人がいたらいいのに。その方

が離婚出来るし

それほど商才があるように、

思えないけど。最近、羽振りが

いいわね

私は親の代から、一度も稼業に

 携わらず関心も無いわ

 

横で翔平が、口を挟んだ。

私のお客さんで運送会社の

社長夫人が、こんなことを

 

S窯の(荷物)で、ヘンなことが。

成田(成田国際)(空港)運んだ品が、一週間後

に全品が返却。同じことが、

 関空(関西国際)(空港)も。セントレア(中部国際空港)でも

積み荷の税関印は、かの国

 の空港みたいと言っていた

 

 

ここで、まりは。

二人へ接触した理由(わけ)

一部を話し、協力を求めた。

 

ご主人の吉彦氏は、かの国の

 麻薬組織と関っている可能性

がある。それと愛人がいる

 

協力してくれるなら、窯元の

稼業を守り、そして桜さんに

有利な方法で離婚させてあげ

るわ

 

一週間以内に半日だけ、ご主人

(窯元)宅から遠ざけて欲しい

私を信じるか否か、貴女次第

と、言うと。

 

 

桜は、翔平の顔を見ながら。

わかりました

と、即答

 

そして、

主人の愛人って、誰?

と聞いてきた。

 

岐阜の二十歳(はたち)のキャバ嬢よ

と、だけ答えた。

 

 

ご主人を、どうやって

家を空けさせるの

の翔平の問いに。

それは、(へびの)(みち)

(じゃ)の道は(へび)ってことよ

 

私が友達と、一泊の旅行をす

 ると言えば。あの人も、これ

 幸いと愛人と外泊するハズ

と桜。

 

 

次の日、桜からのメールに。

二日後。午後から翌日の昼

まで、吉彦は留守

と、書かれていた。

 

 

(名古)()ラブホで、

愛人と過ごし帰宅した吉彦

目にしたのは

 

無残に荒らされた、窯元の工房

完成品、未完成品を問わず。

花瓶の焼物だけが消え

事務所内の帳票類が、持ち去られ

ていた

 

ところが、

従業員の騒ぎに反し、吉彦は。

警察へ、盗難届を出さなかった

 

花瓶や帳票類を、持って行った

のはZ会の連中

だと、思ったから。

 

 

 

 

東京湾に面し、

近くに「東京ヘリポート」が。

ここに、警視庁の倉庫がある。

その中で、

成田空港で押収した花瓶と、

土岐市の窯元から、持ち出された

花瓶の鑑識が、進められていた。

 

         

 

空港の花瓶10個、全てから

コカイン。

窯元の花瓶50個中、40個から

コカインを発見。

コカインが見つかった花瓶(40個の)は、

何れも関空(関西国際)(空港)セントレア(中部国際空港)経由で

返却された物だった。

 

押収した帳票類を精査すると、

不思議なことに。

送り状(インボイス)の全てが、

」の文字が「」。

つまり、

美濃焼」が「美農焼」。

 

おそらく、

印字を担当した、かの国の者

 の単純ミス

と、判断された。

 

(つづく)

 

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■主な登場人物(適宜掲載)。

俣阿野志隈。私立探偵。極秘諜報員。

浜まり。弁護士。ヤメ検。裏検。

京歌。極秘諜報員。志隈の妻。

白木唯。映像クリエイター。極秘諜報員。

鬼頭史郎。警視庁公安部/肩書不詳。

浜智之。まりの夫。寺の住職。

根口吉彦。窯元「S窯」の主人。婿養子。

根口桜。吉彦の妻。

翔平。カリスマ美容師。桜のセフレ。

 

■本作品は、フィクション作品

登場する、地域・人物・組織等の名称及び

写真・イラスト等は現存のものと無関係。

法規制度や時代考証などの齟齬は、容赦。

 

■添削・校正なしでの配信につき、誤字脱字

の程ご容赦を。

 

〈鰯の頭〉

 

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