2023.4.26 新曲 発売 市川由紀乃
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妄想小説
ARUKAMO
EPISODE Ⅲ 陶磁器
全10話
本日4/10配信開始
かのゲーテが、
「今世紀最大の天才」
と称した英国の詩人、
ジョージ・ゴードン・バイロン
(1824年没・36歳)。
バイロンの余りにも有名な言葉。
Truth is stranger than fiction
事実は小説よりも奇なり。
鰯の頭が愚作に込めるのは、
妄想は事実や小説より奇なり。
これがバックボーン。
すなわち、
価値のない鰯の頭さえ、有難いと信じ。
誰もがあり得ないと否定する
ことさえ、逆説的にアルカモと
受け止め展開する。
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SMKYの一人、浜まり㉜。
表の顔は弁護士。(ヤメ検)
*検察官(検事)を辞めて弁護士に。
東京大学法学部卒・第1類法学総合。
同大大学院卒・法曹養成専攻。
司法試験合格。
司法修習考試合格。
検事採用面接合格。
横浜地方検察庁・検事。
東京地方検察庁・検事。
その後、
東京地方検察庁検事退任。
東京港区に「浜法律事務所」開設。
裏の顔は、裏検。
*最高検察庁長官直属の任務。警察と検察
の調整組織。
更に二年後、
SMKYの一員に。
*裏検の別動隊(極秘諜報員)。
S志隈、Mまり、K京歌、Y唯。
仏教寺院の一人娘。
四年前に婿養子を迎え結婚。
子供は未だいない。
身長170cmのスレンダー美女。
◆
まりと夫の智之が、やって来たの
は。岐阜県の「奥美濃長良川温泉」。
二人で旅行するのは、
新婚旅行以来。実に四年ぶり。
日本名水百選の1番目に指定さ
れた「宗祇水」が流れる城下町
郡上八幡の温泉宿に投宿。
夫の智之㉞は、宗派を超えた都内
の某仏教系大学出身。
生まれは、真言宗の聖地・高野山
総本山「金剛峯寺」僧侶の五男。
四年前、同じ真言宗派の都内港
区高輪台の寺院に婿養子。
お相手が、一人娘浜まり。
宿のウリは、飛騨牛ステーキ。
仏教の戒律では、肉食禁止のハズ
なのだが、智之は肉が大好物。
夕食では、
表面を10秒だけ焼いた、中身は
生のままの「ブルーレア」のキン
グサイズ400㌘をペロリ。
足りずに、まりのノーマルサイズ
200㌘から100㌘を搾取。
部屋には、源泉かけ流しのアルカ
リ性単純泉の「部屋風呂」。
翌日。
レンタカーで、東海北陸道・東海
環状道を飛ばして「美濃焼」の
窯元がある土岐市へ。
なにしろ、日本の陶磁器の約半分
は美濃焼。主たる生産地は、土岐
市・多治見市・瑞浪市・可児市。
土岐市には美濃焼を代表する、
快山窯・樹窯・宗山窯・清山窯・
丹山窯・藤山窯・南楽窯など。
幾つもの窯元がある。
智之は、
「お経より陶磁器」と自負する
くらい、陶磁器に詳しい。
学生時代から、全国の窯元を訪ね
歩いている。
妻のまりは、陶磁器に全く興味が
ない。
そもそも、陶器と磁器の違いさえ
わからない。
簡単に言えば、
「材料が違う。陶器は粘土、磁器
は石の粉」
「焼き温度が違う。1200℃以下
が陶器。1200℃以上が磁器」
「素地の質感が違う。ザラザラが
陶器。ツルツルが磁器」
「熱伝導が違う。伝わりにくいの
が陶器。伝わり易いのが磁器」
と、智之が解説。
◆
成田国際空港の「税関検査」で、
凡そ100個もの美濃焼の花瓶が
押収された。
押収品は、かの国の国際空港から
直行便で到着した品。
インボイスには「不良品・返品」
と記されていた。
ところが、税関の検査員は。
二重底の花瓶から、
大量のコカインを発見した。
花瓶は、美濃焼の有名窯元の品。
だが、インボイスの表記には。
「濃」の字が「農」に。
つまり「美濃焼」が「美農焼」に。
文字の違いが、何かのリスクを
避ける意図があるのか、単なる
誤植なのか?
いずれにせよ、コカインは。
麻薬に関する国際条約で規制の
対象。
当然ながら、日本の「麻薬及び
向精神薬取締法」でも麻薬。
夫の智之は妻の浜まりから、
何も聞かされていないが。
まりには、
土岐市の「窯元めぐり」
に、目的があった。
(つづく)
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■主な登場人物(適宜掲載)。
▶俣阿野志隈。私立探偵。極秘諜報員。
▶浜まり。弁護士。ヤメ検。極秘諜報員。
▶京歌。極秘諜報員。志隈の妻。
▶白木唯。映像クリエイター。極秘諜報員。
▶鬼頭史郎。警視庁公安部/肩書不詳。
▶浜智之。まりの夫。寺の住職。
■本作品は、フィクション作品。
登場する、地域・人物・組織等の名称及び
写真・イラスト等は現存のものと無関係。
法規制度や時代考証などの齟齬は、容赦。
■添削・校正なしでの配信につき、誤字脱字
の程ご容赦を。
〈鰯の頭〉
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