楽しみにしていたトルコ周遊旅行。
初日の夜から、思わぬアクシデント。
ムスタファには、
を、受けざるを得ない理由がある。
トルコへの移住は、単にビジネスだけ
では無かった。
日本にいては、命が危ないと思った。
建設土木界のフィクサー、黒田組の
組長「黒田賢治」から狙われている
のだ。
「詩、僕らは急ぐ旅ではない。あと三
日イズミールに滞在しても、なにも
問題はない」
とムスタファは、アリの提案を受け入
れることにした。
〈今夜の主な登場人物〉
１ Mrアリ・・トルコ人、「ユダ」の男。
２ Mrムスタファ・・日土混血、貿易商。
３ Ms劉詩・・中国人、パートナー。
４ Mrラファエル・・フランス人、大学教授。
５ Mrローガン・・米国人、老齢夫婦（夫）
６ Mrsローガン・・米国人、老齢夫婦（妻）
７Mrジョージ・・英国人、会社社長。
８Mr レオナルド・・イタリア人、歌手。
９Missオリヴィア・・スウエーデン人、学生。
10Mrマーク・・オランダ人、学生。
《番号は便宜上のもの》
◆
翌日、午後１０時。
179号室に姿を見せなかったのは。
フランス人の大学教授「ラファエル」
と、アメリカ人の老夫妻「ローガン」
の計、三人。
つまり、部屋にいたのは７人だった。
アリがグラスにワインを注ぎながら。
「ラファエル教授とローガン夫妻の姿
が見えませんね」
「何か、あったのでしょうか。無事だ
と良いのですが」
と、不敵な笑みを浮かべた。
翌朝、
ドア下から差し込まれた、地元紙に。
『イズミール港に絞殺体』
『夫婦死亡・アゴラ遺跡で落石』
二件の、死亡事件事故の記事が。
絞殺死体の記事は、
昨日早朝、積込み中の作業員が荷物の
陰から発見。死亡推定時間は三、四
時間前。パスポート及び名刺から、
殺されたのはソルボンヌ大学教授
ルイ・ラファエル氏。死因は、首を
ヒモで絞めた絞殺。
落石事故死の記事は、
昨日夕刻、修復中の石柱が突然落下。
観光客の老男女を直撃。パスポートか
ら、旅行中の米国人ローガン夫妻と
判明。
この日の、午後１０時。
179号室に、
Mrジョージ氏と、Mr レオナルド氏
の二人の姿が無かった。
すなわち、部屋には５人だけだった。
アリがグラスにワインを注ぎながら。
「どうやら。イギリスの会社社長
ジョージ氏と歌手のイタリア人、
レオナルド氏の姿が見えませんね」
「何か、あったのでしょうか。無事だ
と良いのですが」
と、不敵な笑みを浮かべた。
翌朝、
ドア下から差し込まれた、地元紙に。
『７つの教会に撲殺体』
『バイク壁に激突・薬物使用か』
二件の、死亡事故の記事が。
撲殺体の記事は、
スミルナ教会の祭壇で、鈍器による
撲殺体を発見。教会の牧師によれば、
日課の「主の祈り」に訪れたら、男が
頭から血を流して倒れていた。既に死
んでいた。警察の調べによると、被害
者はイギリスの実業家マーク・ジョー
ジ氏。イズミールには商談で訪れてい
たもよう。
＊「７つの教会」とは、初期のキリスト教
に於ける主要な７つの教会のこと。その
一つが、スミルナ（現イズミール）教会。
バイク激突死の記事は、
昨夕、エフェソスの世界遺産の城壁に
大型バイクが激突。運転していたイタ
リアの人気歌手レオナルド・ダンテ氏
が即死。警察のその後の調べで。体内
から、大量の違法薬物の摂取を確認。
◆
この日の、午後１０時。
すなわち、最初の夜から数えて四日目
の夜になる。
179号室の部屋の前に、現れたのは。
ムスタファと劉詩の二人だけ。
スウエーデンの学生Missオリヴィア。
オランダの学生Mrマークの二人。
そして、
ドアをノックしても、返答が無く。
「ユダ」を名乗る男、アリも現れなか
った。
「この続きは、また明日の晩に」
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小説の設定は、オスマン帝国やペルシャ帝
国やローマ帝国。中世ヨーロッパの国々。
さらにアジア諸国。ついに日本も。
最後は、回想録までも。
妄想小説ゆえ、どこが舞台なのか。
その日の、キーボード任せ。
＊ヒジャブ：イスラム教の経典（コーラン）
では、女性は顔をヒジャブ（スカーフ）
で覆うことが義務と記されている。
歴史的事実との齟齬・時代考証の矛盾は
妄想小説の特権として、ご容赦願うなり
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