ムスリムの女性が被る「ヒジャブ」は
散々登場したが。
男性用もある。
実は、一概にムスリムと言っても。
国によって、その国の民族衣装と
相俟って。
被り物だけでも色々ある。
基本形は、「クーフィーヤ」。
脱げないように、イカールと言うヒモ
の輪で押さえる。
直接宗教と関係ないが、伝統的な男性
の帽子と言えば、「フェズ」。
あの赤い、円錐台形の帽子。
皆さま!
大事なことを忘れていました。
実は、サーディン。
トルコ移住に合わせ、改名していま
した。
『 ムスタファ・サーディン 』
今夜から。ムスタファで登場。
〈今夜の主な登場人物〉
・ムスタファ(妄想作家・元商社マン・ト
ルコに移住し起業)
・劉詩(ピアニスト・中国人・ムスタファ
の非婚パートナー)
・アリ(トルコ帽の男)
ムスタファと劉詩の二人は、
朝食後、徒歩で。
旧市街の「ケメルアルトウ」の
バザールに向かった。
ここは、古き良き活気のある下町。
17世紀から続くバザール。
「無い物は無い」くらい何でも揃う
特に、クズラルアァス・ハヌ。
帝国時代に建てられた「隊商宿」は、
銀製アクセサリーや絨毯、アンティー
ク雑貨やお土産を売る店が並び。
イスタンブールにある「グランドバザ
ール」を小さくした感じ。
通路が、直角に交差していないので。
大抵の人は、必ず迷子になる。
◆
ここで二人が、
アクセサリーを物色していると。
背後から、赤いフェズを被った男が。
「Agora hatabelerine gittiniz mi?」
と、トルコ語で声を掛けて来た。
ムスタファが振り向いて。
「Ben gidiyorum」
と、答えると。
フェズ帽の男は。無言でムスタファの
手に一枚の小さな紙切を渡し、去って
行った。
アゴラ遺跡は、バザールから徒歩で
すぐの場所。
*アゴラとはギリシャ語で「市場、集会場」。
アレキサンダー大王の統治時代に建てら
れた3階建ての市場。その後地震によって
倒壊。紀元178年、ローマ帝国の五賢帝
の一人マルク・アウレリウス・アントニ
ヌスによって再建。
当然、今は崩れた石柱のみ。
まさに、遺跡。
ムスタファが受け取った紙には、
「ムスタファ様へ
ラ′アゴラ オールド タウン ホテル
179号室に、本日22時にお越しく
ださい。・・・ アリ」
と書かれていた。
このホテルは、二人が宿泊している
ところ。
「あの男、我々を尾行していたか?」
「どうして、アゴラ遺跡を訊いた?」
「22時に、部屋に?」
ムスタファには、紙に書かれた意味
の見当が付かなかった。
その後、
旧市街の「ケメルアルトウ」を散策。
アゴラ遺跡を観光、ホテル内で夕食。
明日の移動に備え、早めにベッドに。
部屋の電話が鳴った。
「ミスター、ムスタファ。皆さんお集
まりです。あなた達だけですよ。
直ぐに御出でください」
受話器から、トルコ訛り英語で。
若い男の、急かす声が響いた。
「この続きは、また明日の晩に」
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
小説の設定は、オスマン帝国やペルシャ帝
国やローマ帝国。中世ヨーロッパの国々。
さらにアジア諸国。ついに日本も。
最後は、回想録までも。
妄想小説ゆえ、どこが舞台なのか。
その日の、キーボード任せ。
*ヒジャブ:イスラム教の経典(コーラン)
では、女性は顔をヒジャブ(スカーフ)
で覆うことが義務と記されている。
歴史的事実との齟齬・時代考証の矛盾は
妄想小説の特権として、ご容赦願うなり
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆