ひとつのキーワードから。
無限に広がる「妄想・空想」。
あらすじはキーボード次第。
キーワード ㉜「瞳の母親」
◇
福岡県警の反町は。
疑義の解明に繋がる。糸口が絶たれた。
唯一の物証「骨壺」が消失した。
遺骨の一部からでも。
覚せい剤の使用を
刑事のキャリアを重ねた。反町は。
7年前の水谷刑事の「勘では。クロ」
の言葉が。頭に甦った。
物証とアリバイ崩しが困難。
ならば。「動機」。
人を殺すには。動機があるハズ。
まして知能レベルの高い。人間の場合。
反町の勘は。「男女の怨恨」。
反町は。14年以前の文夫の周辺を。
洗い直した。
その結果。
思いもよらぬ。事実が判明した。
◇
それは。
第三子・瞳が2歳のころ。田山家周辺
で取りざたされた。
「文夫より年男に似ている」
の噂の真実。
関係する病院を。入念に調べた結果。
「亜由美は。第三子を生んでいない」
「他人の子を。第三子に偽装」
「妊娠から出産までの偽装には。身近
に協力者の存在が必須」
「協力者は。美智子とハル」と判明。
そして。血液型に関する。
被疑者の。まさかの誤認。
◆
反町や水谷の勘が。当たっているなら。
文夫が。長い年月と。大金を投じ。
危険を冒した殺人が。
実に単純な。ミスによる。
無意味な犯罪だった。ことになる。
つまり。
O型の瞳は。
AB型の文夫の子でない。と同時に亜
由美の子でもなかったのだ。
「親のどちらかがAB型。もしくは
両方の親がAB型なら。O型の子は生
まれない」。
これが、正しい解釈。
それを単純に。
AB型の親からO型は生まれない。
自分はAB型。
自分の子にO型は。ありえない。
と解釈した。
だが。亜由美もAB型。
つまり。O型の「瞳」は。
亜由美の子でも。無かったのだから。
◆
では一体。瞳は。誰と誰の。子なのか。
更に内偵を進めて得たのは。
瞳の父親が年男。母親が「ルミ子」。
◇
文夫は。
27歳の夏。スナックで知り合った。
ルミ子と一月。同棲。
二年分の家賃を置いて。去った。
文夫より7歳下の年男は。
仕事仲間の誘いを避けて。
現場から急いで帰る兄を尾行し。
ルミ子との関係を知った。
文夫の居ない隙に。
ルミ子を犯し。関係を強要した。
そして。ルミ子に。
文夫と別れ。アパートを手に入れる手
立てを教えた。
「男が居ると。見せるだけでいい」
「男は俺が。連れて来る」
「兄は稀代の『お人好し』」
「自分から必ず去って行く」
「そして金を置いて行く」
年男が云った。通りになった。
女に飽きる性格の年男は。
数ヶ月で。ルミ子と別れた。
時を経て。
博多のスナックで。二人は再会。
年男とルミ子は。共に既婚者。
W不倫を続け。ルミ子が妊娠。
亜由美とも不倫していた。年男は。
文夫に関係をバラす。と脅し。
妊娠、出産を演じさせ。ルミ子の子を。
亜由美の三女に。仕立てた。
其々に逢瀬の場を提供し。事態を知る
美智子は。
西欧帰りで。男女の関係に大らか。
ハルをも。巻き込み。
悍ましき。舞台を演出した。
美智子の最大の誤算は。
「お人好し」のハズの。
文夫が。亜由美を薬殺。
しかも。11年もの。
時を経た後だった。こと。
空想作品につき、現存するものと無関係です。
また同様に、時代考証の矛盾についても容赦を。
(つづく)